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一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

平成25年11月定例会議会運営委員会

 名古屋市会11月定例会は明日12月6日に本会議を行い、幕を閉じる予定だ。
 本日(12月5日)には、締めくくりとなる議会運営委員会が開かれ、定例会の最終日に行われる各議事について打ち合わせが行われる・・・・筈だった。


 ところがあわや議会運営委員会が流会となり、そのまま明日の本会議も開かれないかもしれないという事態が起こった。

 本日の議会運営委員会の議題は7つあった。

 1.委員会付議案件の審査状況と本会議での取り扱いについて
 2.人事案件について
 3.意見書について
 4.決議案について
 5.問責決議案について
 6.常任委員会の閉会中所管事務の調査について
 7.その他


 これらをざっと説明すると。

議題1.委員会付議案件の審査状況と本会議での取り扱いについて
 市当局から提出された条例改正や、特に消費税増税に伴う各種公共料金の値上げ、転嫁、改定についてなど、各常任員会に分割付議され、各委員会で議論された議案に対する各委員会での結論についてや、明日の本会議における採決等の取り扱いについての打ち合わせ。
 いってみれば、議会の本業であって、毎定例会での主要な段取り。


議題2.人事案件について
 現在名古屋市は3人目の副市長ポストが空席となっていた、ここに市民経済局の新開局長を据えるという人事案が提出されていた。
 これについても議会からは特に異論は出されていない。

議題3.意見書について
 地方議会から立法府である国会、および政府に様々な政策提案が提出できる。これらの政策提案は議員提出議案として、所管する委員会に議題としてかけられ、採択されれば名古屋市会からの「意見書」として国会、および政府に送られる。
 今定例会においては7つの政策提案がなされ、その内の3つについて名古屋市会として容れられ、意見書として提出されることとなったようだ。
 これも波風の元ではない。

議題4.決議案について
 平成22年に行われた議会解散請求、つまりリコール運動に伴う「受任者名簿」について、減税日本はその名簿の選挙利用を行うと明言してきた。しかし、当時の受任者を募集するハガキには「名古屋市政改革活動の目的に限定し」と明記されており、国政選挙などへの流用は明らかに拡大解釈による「目的外使用」と言える。
 その為に当の「受任者」であった人たちの中からもかかる「目的外使用をしないように」との請願が議会に提出された。
 議会としてはこれが「目的外使用」であり選挙には使用しないということを確認する「決議」を行うこととなった。

 まあ、これが今回の直接の火種となる。

 この決議案に対して何が起きたか、それは後に述べるとして、とりあえず残りの議題もご説明しておきましょう。

議題5.問責決議案について
 この「問責決議」は減税日本ゴヤの湯川栄光議員に対して出される予定である。
 議員に対する「問責決議」は戦後の名古屋市会として初であり、さすがに「日本初」とか「日本一」が好きな河村市長のお弟子さんだけある。(という冗談はこれくらいにして)
 実はこの件はこの前の「決議案」とも関連してくる。「決議案」の項で触れたように受任者であった市民から、受任者名簿を選挙に使ってくれるなという請願が議会に提出された。この請願が提出された先が総務環境委員会であり、その時の委員長が湯川議員だったのである。

 委員会審議の結果、請願の中の選挙利用について行わないようにという決議を行うこととなった。この背景には、それまで減税日本は受任者名簿の管理をネットワーク河村において一元的に行い、所属議員の手元にはリコール署名簿や受任者名簿はないと回答してきたが、中村孝道市議の政務調査費の問題に関連して、元スタッフがリコール署名簿や受任者ハガキのオリジナルを提示し、それらが中村孝道市議の管理下にあったことが明白になったことがある。

 つまり、それまでの減税日本の説明に齟齬があり、彼らの管理だけに委ねていてはどこまでも「目的外使用」されてしまうのではないかという危機感があったのだろう。

 そこでこの「決議案」を市会として提案することとなるのだが、この「決議案」の発議者は当時の委員長である湯川議員となる。湯川議員は委員長当時、委員会の決定に従うとしていたので発議者になると思われていた。ところが突然意見を翻し発議者になることを拒んだそうだ。

 この騒動が前日、12月4日の議運理事会で起きていたそうだ。

 また、湯川議員にその拒否の理由を尋ねても「政治的信条である」と「目的外使用ではない」という二つの言葉を繰り返すばかりで、誠意ある説明をしようという態度が見られなかったらしい。この行為を受けて「問責決議」を行うこととなったそうだ。

議題6.常任委員会の閉会中所管事務の調査について
 これは閉会中も各委員会が所管事務の調査を引き続き行うことを確認するもので、閉会中の突発事項や重要事項に対応するルーチンワークである。


議題7.その他
 今定例会の議案外質問第一弾は11月26日の自民党浅井市議の質問であった。自民党は予想される敬老パスの負担金増について、実際に敬老パスを使われる世代の名古屋市民にアンケートを行い、負担金の増額がどのような結果をもたらすか研究されたようだ。

 この敬老パスの負担金増については市当局から「倍増案」が議会に示されていたが、河村市長が突然「2倍にするとは言っていません」「俺は上げん方がええと言っています」と言い出した。(平成25年11月18日市長会見
 記者が「市としては、倍増という方針ではないということですか」と聞くと「はい。決まっていません」と答えている。

 ここにおいて市当局は、今定例会に敬老パスの負担金倍増の条例案提出を諦める。
 条例の提案権者である市長が「決まっていません」と明言するものを条例案として議会に付議するわけにはいかないからだ。(あまりに当たり前すぎて書いていて変な気分になる)

 11月26日の浅井市議の質問に対して、河村市長は本会議場で次のように述べている。「私は、きちっとそれ(倍増案)を見たという印象がないんですよ」「2倍というのは市の案として聞いたのではないですけれども、誰かがしゃべったのは記憶しておりますが、市の案としては受け取っておりません」

 この河村市長の回答が正しいとすると、名古屋市の職員は市長の承認、同意も得ていない条例案を、議会に打診し、正副議長会などにも提出している事になってしまう。

 その為に、12月2日の財政福祉委員会において、こういった齟齬が起きた背景を探るべく、岩城副市長に出席を願い敬老パス負担金倍増案の市長への説明の前後関係を聞く機会が設けられた。

 この委員会の模様は同委員会の委員であり、審議に直接かかわった当事者でもある自民党の横井議員がご自分のブログに当時の模様を記述されている。
 横井利明オフィシャルブログ:客観的事実に反している

 その結果、どうも本会議における河村市長の説明とは食い違い、ちゃんと市長は倍増案を「見て」いる。

 そこで、この委員会審議を受けて、果たして河村市長の本会議における「見ていない」とする回答の真理をただすこととしたようだ。

 これが本日の議運最後の議題7だった。


 さて、では何が起きたか。

 実はこのスケジュールは議題4で止まった。

 議題4の「決議案」に差し掛かったところで突然河村市長が発言をはじめ、「決議案は憲法違反である」とひとしきり持論を述べると退席してしまったのである。

 議運の議長である自民党坂野幹事長が「決議案」の説明もまだ<始まらない>内にである。*1

 この異常な行動に議運は暫時休憩となり、市の幹部職員は市長の再出席を促した。


 ここで議会側の取りうる行動は二つしかない。
 一つは市長欠席のまま議会運営委員会を続け、明日の本会議も行うか。
 もう一つは議会運営委員会を流会とし、本会議も行わないか。

 議運に市長の参加は必須ではない。ただ、議会に対して各議案を提出している提案権者は市長であって、その市長欠席のまま各議案について議事を進行するという事は議会のあり方として本旨ではない。

 では、市長が参加しない限り、議運を流会にして本会議も行わないか。

 こうすると各議案の成立が遅れ名古屋市制に様々な影響が起こる。
 本会議を行わない場合でも「市長専権事項」として各条例案や価格改定は可能となるが、その場合当局提出の原案通りとなり、例えば議会で修正された市バス地下鉄の子ども料金、
身体障碍者料金への消費税転嫁の軽減措置は取り止めとなる。

 また、議題2の「人事案件」についてだけは議会同意事項となっていることから市長専権はできない。つまり副市長人事を成立させるためにはいったん退席した市長を再度出席させる必要がある。

 そもそも決議には法的拘束力はない、罰則規定も定められない。
 河村市長が主張するように、受任者名簿を選挙に利用することは目的外使用ではなく、それを止めるよう議会が決議することが憲法違反であるとするならば、堂々と受任者名簿の選挙利用を続ければ良いのではないだろうか。席を蹴って出て行っても議会が決議案をひっこめる筈もなく、「落としどころ」が判らない。

 一部の人からは「その後に控えた議題7の『嘘』 を追及されるのが嫌なので一芝居打ったのか」とも言われていた。

 実際、議運を正常化するまでに時間がかかり、結果的に最後の議題7は大幅に時間的制約を受けることとなったようだ。

 もし、河村市長が、この推測の見るように、議題7の追及を逃れるために、一芝居を打ったものだとしたら、これは非常に「酷い行為」だと言えるだろう。

 なぜならば、この河村市長の行動を受けて議運の理事の中には「流会」の意見も出ていたからである。その場合、上に述べたように様々な施策が原案通りとなり、市民生活にも大きな影響が出るが、もっとも割を食うのは副市長になりそびれた新開局長という事になる。

 その昔田中角栄は「政治家の官僚操縦術」として「人事と予算」が要諦であると語った。その後、竹下登小沢一郎と、この「人事と予算」を握った者が権力を握っていき、このポイントでミスを起こした者は力を失っていった。古来より「人事往来」「牛耳る」という言葉もあるように、この両者は組織運営の勘所といってもいいのだろう。

 そもそも下らない「食言」である議案7の為に、法的に誰が見ても怪しい議案4に強弁をかけて、組織運営に重要な議案2を蔑ろにするとしたら、河村市長は市長として必要な、組織運営のための人心掌握を失い、何を得たのだろう?

 本日の議会運営委員会の席上、議運の各議員、市当局の職員、記者など。皆、河村市長の行動に対して批判的だったと思われる。

 再開後も河村市長は強弁を重ねていた。

 「決議案に反対なら反対意見を述べる機会もあっただろうに、決議案について説明も聞かずに自論をまくし立てる態度はいかがなものか」というような批判に対して、「説明は聞いたじゃないですか」と言っていたが、皆、耳を疑い、怪訝な顔をしていた。

 議長である坂野幹事長が説明をしようとするのを遮って話し始めたのはつい1時間ほども前の事だ。その今さっきの事実認識すら怪しくなっている。

 本当に、政治的話題ではないく医療的話題になってきているのではないだろうか。

 ここで議題4について、本質的な問題点を指摘しておこう。

 そもそもいつまで「受任者名簿」を「受任者名簿」のままにしておくのだろうか?

 本当に、リコール運動の際の「受任者」を選挙における支援組織に変え、減税日本の支持基盤にしたいのであれば、とっとと「後援会名簿」なり「支援者名簿」に変えていけばいいだけなのではないだろうか?

 つまり、政治家事務所であれば当たり前に行う「後援者に対する活動報告」や「催し物のお知らせ」などを行い「定着点検」をする。

 こういった当たり前の活動をしていけば「受任者名簿」など参照しなくても、自身の「後援会名簿」を使えばよいだけなのだから何も問題はない。議論にすらならない。

 つまり、減税日本が当たり前の活動をしていないので、当たり前に問題とされる当事者の意向を無視した受任者名簿の「目的外使用」を強行しようとしているだけなのではないだろうか?
 そもそも空疎な「憲法論」などを持ち出す前に、ネットワーク河村だけが管理しているとしたリコール署名簿やら受任者名簿、ハガキ原版が中村孝道市議の手元にあった事実についてはどう申し開きをするのだろうか?


*1:このポイントは重要。河村市長が話し始めた時には、坂野幹事長はまだ決議案について説明も始めていなかった。