市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

参議院選挙を終えて

 現在21日(日)の午後10時になるところです。

 参議院選挙においては自民党公明党の、つまり政権与党の参議院における獲得議席過半数を超え、いわゆる「衆参のねじれ」が解消されました。

 これ以降、国民生活や現実を放置したような空想的、観念的な「政治議論」は止めて、事実に立脚した政権運営を行っていただきたいものだと思います。

 愛知県選挙区においては退行著しい民主党の中にあって、大塚耕平候補は人物も良く、能力も高いために議席の確保が有力視されていました。*1
 また、自民党三河尾張で二議席を目指す構えを見せたが結果として候補を一本化して万全を期した。

 公明党は愛知県選挙区から撤退し、早い段階から運動を展開していた候補を比例に回した。結果として1議席をめぐって革新、宗教、なぞの人物、そして第三極が乱立することとなった。

 この三番目の席をめぐって、選挙戦の序盤で共産党の評判が上がった。

 その為に、自民党支持層の中から「今回の選挙は自民はもう大丈夫だ。このまま行くと共産党が第三議席目を取りそうなので『みんな』か『維新』に入れる」という声が聞こえた。

 また、共産党議席を取るぐらいならと、公明党の組織内に『みんな』の県選挙区候補への投票指示が出たという情報ももれ伝わってきた。

 自民党の某大物氏は「名古屋市議会に比べて愛知県議会が活性化しないのは、批判政党たる共産党が居ないからだ」という非常に高い見識を示されたが、果たして、愛知県民はどのような判断を下すのだろうか?

 さて、本業に戻りましょうか。

 この選挙期間中、というか選挙の前から私は完全に減税日本を無視していました。

 どんな批判をしたところで、減税日本を利する可能性もある事から、投票箱のふたが閉まるまで「宇田候補」の「ウ」の字も言う気はありませんでした。


 様々な情報が寄せられています。

 選挙期間中、市議、県議には宇田候補と帯同しなくて良いとされ、独自の活動をと指示されたそうです。その為に東区選出の某市議は自転車に宇田候補のポスターを付けて走っていたようですが、その自転車で信号無視をしていたという情報も寄せられました。

 また、選挙期間中ナゴヤドームにおいて中日戦が行われたのですが、地下鉄駅とドームを結ぶカルポート東において、敷地内で来客者に河村市長自らが街宣活動、チラシ配りをしていたことを当駅駅長に見咎められ排除されたようです。*2


 また、このような写真も送られてきました。7月17日に送られてきたのですが、減税日本ゴヤ元団長、名東区選出のあさい康正市議の事務所で宇田候補の個人演説会でも行おうとしたのでしょうか?
 ところで、個人演説会場を示す外看板は合法ですが、標記が必要な筈です。この写真を見るところ標記は見当たりません。

 さて、健闘空しく散った宇田候補ですが、そもそもどのような戦略があったのでしょうかね?

 昨日のエントリーで私は「政治とは調整の技術である」と述べましたが、実は河村市長はこういった調整といったことができません。河村市長が利害を調整して課題を解決したなんて話を聞いたことが無い。(利害関係者の対立を激化させた話は幾つかある)

 上でも述べたように今回の参議院選挙:愛知県選挙区においては公明党が早々と候補を比例に回したのですから、残り1議席を巡って調整をする余地はあったのかもしれません。先の衆議院選挙においてはあれだけ大阪やら東京を飛び回って大騒ぎをしたのですから、ここで自民党の大勝ということになれば第三極の退潮は確実となります。
 維新、みんな、さらに生活、みどりなどの大同団結を図ることができれば文字通り第三極を打ち立てることもできたでしょう。しかし河村市長はそのような調整に動くことはありませんでした。自党の候補を立てて、黙って自分に寄って来るのを待っているだけ。

 まったくの無策。

 却って、候補が乱立する結果となったわけです。

 宇田候補にとってもこの流れが理解できなければ、奇跡的に議席を獲得できたとしても永田町で何もできないでしょう。*3

 この宇田候補は「日本政策学校」というところで政策を勉強されたそうですが、まあ、それ自体が間違いの元ですね。その「日本政策学校」とは何か自体、スクリーニングできなければ実態政治などできはしません。*4

 しばらく前にある人が河村市長の古くからの支持者と話し合う機会があったそうです。そしてその人の河村市長への市長としての評価は酷いものだったそうです。「何もしない、何もする気が無い」とのこと。けれども、そういった政治家としての資質と選挙で応援することは違う。のだそうです。

 今年の市長選挙において打ち出された市長選挙マニフェストも酷い代物でした。結局、河村氏は政策立案能力も政治的能力も無いことは明白です。

 しかしそれでも応援をするというのならそれこそ「愚考権」というものかもしれません。昨日のエントリーを参考にすると「無責任な愚考権」ということになりそうですが。

 まったく無効な「政策」を「政策」と訴えるとすれば、知っていてやるならば「詐欺」です。知らずにやるのならこんな不幸は無い。

 宇田候補にも、ここで目を覚ましてこれ以上自身の人生を無駄にしないためにも、何が間違いであったかをハッキリと指摘しましょう。

 結論を先に言います。
「宇田さん、政治を基本に戻って勉強し直すか、そもそもこの道は諦めるべきです」
 少なくとも、河村氏や正体不明の私塾の言うことを真に受けていては政治は無理です。



 宇田候補は7月20日の午前5時にこういった文章を掲載しているようです。
 http://uda.dreamlog.jp/archives/29722014.html

 余りにも面白いので魚拓も取りました。( 魚拓 )


 一行目から間違っているんですね。

 河村たかし市長率いるナゴヤ・アイチの地域政党減税日本」は、この参院選国政政党を目指して立ち上がりました。

 「国政政党」というのは、様々な解釈も可能ですが、公職選挙法で定義された言葉としては2種類の要件があります。*5
1.所属国会議員が5人以上
2.所属国会議員が1人以上、
  かつ、前回の衆議院選挙、前回、または前々回の参議院選挙において全国を通じた得票率が2%以上のもの。

 減税日本は候補を5人出していないために1の要件は満たせません。
 また、2の要件を満たす可能性がゼロとは言いませんが、実態的な運動、つまり全国規模で2%以上の得票を獲得するための運動をしていません。*6

 ちなみに、「減税日本」ではなく、前回の衆議院議員選挙における「未来の党」の愛知県内における得票数をご存知でしょうか?13区(2区は擁立せず)合計で 481,024票です。これを全国の投票数 61,669,472 票と比較すると 0.78% になります。
 また、前回の投票者数から2%を算出すると 1,233,389 票ということになります。123万票を獲得するために、減税日本、宇田候補はどのような運動をされたのでしょうか?

 この台詞は誤った記述でしょうか。
 それとも、判ってこのように書いたのでしょうか?

 ひょっとするとこれは誰かの台詞の受け売りかもしれません。
 その台詞を言った人は、それを誤認して語っているのでしょうか?
 それとも知っていて言っているのでしょうか?

 昨今の政治の劣化は酷いものがあります。その根本的な原因は「自分で情報の裏を取らない」という無責任な態度にあります。

 こういった一言でも、どのような根拠があっての発言なのか。

 ・・・それ以降も酷い文章が続きます。

○「保守政党の根本規範であるべき『減税』」
 今の日本は、王室と民衆といったトレードオフの関係で税制がある封建社会ではありません。日本における課税はその大部分が社会保障費、政策支出として納税者、国民のために使われます。
 「税の機能」というのは今の学習指導要領では小学校の6年生で習うそうです。そこから勉強しなおす必要がありそうです。

○「未だ『特権階級』に支配され続ける日本」
 これを本当に信じているとしたら、正気を疑います。まるで陰謀論ですね。
 そもそも、グローバル・スタンダードを云々と言われますが、日本と米国における行政機構のサイズを比較されたことがありますでしょうかね?

 すでに日本は世界でも有数の「小さな政府」を実現しています。

 ご自分で調べて「裏」を取ってみてください。

○「ナゴヤ・アイチから『庶民革命』を成し遂げるために」
 河村氏の掲げた「減税論」が世間で受け入れられず、広がりを持たないのは、それが経済理論的に間違っているからです。
 この間違いに気がつかずに、今後もこれを言い募るとすれば宇田さんの人生が無駄になります。早く気が付かれることです。

 確認の方法は簡単です。

 河村さんに直接聞いてみればいいんですよ。

 「アレコレの理屈はいい、河村さんのその減税理論は、経済学者でいうと、どこの誰が訴えた理論なのですか?」と。

 答えられない筈です。
 河村氏が「信頼できる経済学者」と太鼓判を押すリチャード・クー氏ですら、「私は前述のようにバブル崩壊以降ずっと、『減税より公共事業』を提唱してきた」と記述しています。
 「なぜ日本の金利が低いのか」に真面目に答えてみる(前編) - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

 つまり、河村流減税論は誤りであり、そんなことを「信じて」いても何も良いことはありません。

 ページが尽きましたので、フランス革命の話や所得再配分の話、「保守とは何か」等々指摘したいことは山ほどありますがここまでで止めておきます。*7

 元衆議院議員、テレビに出ていた人、市長。そんな肩書きにだまされることなく、しっかりと自分自身の目で見、耳で聞いて、その人の言っていることは論理的に正しいか? 事実に立脚しているか。確認していただきたいものだと思います。


*1:去年の年末、大塚氏が民主党衆議院候補の選挙手続きで、ひとでごった返す選挙管理委員会室で席待ちしていたのは笑えた。一言二言世間話をしたが、相変わらず礼儀正しく親しみやすい人だ。

*2:当地は交通局の管轄、つまり名古屋市の公有地のはずです。そこで市長が選挙活動?

*3:そもそも理解できないから減税日本から立候補できたとも言える。

*4:ということは、そこに近づく河村市長も!

*5:卑しくも公職者や公職者を目指すものが「国政政党」というからには、このような法に根拠を持った言葉を使わなければならない。

*6:私は選挙直前に、某政党の候補と話す機会を得ました。その人は自分の落選は当然覚悟の上。大票田の名古屋で自分が出て、党に一票でも入れていただければと述べられた。これはこれで立派な態度だ。ちなみにその方のポスターは言に違わず候補者名よりも政党名の方がよく目立つ。

*7:リクエストでもあれば書きましょう。