本日、千種区の名古屋市職員が無免許の上飲酒をして車を運転し、当て逃げ事故をしていたという報道があった。職員の不祥事に行政トップの責任を追及する声は時にあがるが、私はこういった声に懐疑心がある。行政トップが如何に聖人君子であろうと、数千、数万に及ぶ全職員の言動には、なかなか責任を負えるものではない。(名古屋市の職員数は約2万5千人)
なので、この事をもって河村市長を批判するような事もしないが、しかし、河村市長のこういった行政への熱意といったものは、サッパリ感じられないね。
河村市長から職員に綱紀についての訓辞というのは有ったのだろうかね?
そもそも河村市長はどの程度区役所職員の業務について承知しているのだろうか。
なんでも、この職員は勤務時間内にこの事故を起した可能性があるということで、そんな時間に飲酒をしているという事がすでに驚きだ。
本日は、これ以外に3点ばかり、それぞれはあまり関係のない話題を。
1)取下げられた異議申立
2)口から出任せの事例
3)奇跡の一本松は奇跡か否か
取下げられた異議申立
こちらの記事( 減税日本に人なし(2) - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 )で取り上げた、減税日本ナゴヤから提出された請願に対する異議申立について、取下げになったという情報が入った。
別に何もこのブログで扱われたからなどではない。
この異議申立をそのまま扱うと、総務環境委員会で採択された委員会決議は保留となり、本会議で再度採決が取られる。その際、異議申立をした減税日本ナゴヤから異議の理由が述べられる事になるが、採択を決議した総務環境委員会としては、採択した経緯、つまり、その異議に対する弁論を行う事になる。
つまり、減税日本ナゴヤの異議申立(松山市議か山田市議)に対して、減税日本ナゴヤ所属の議員(湯川総務環境委員会委員長)が反論を述べる事になる。
そもそもこの異議申立自体、いったい何を目的としているものかサッパリ判らない。
申立者となった人に、納得のいく説明をしてもらいたいものだが、減税日本ナゴヤを除く全会派(自民、民主、公明、共産、新政会)が1と2については採択としているわけで、法の精神や社会常識からいっても採択が順当な判断であろうと思われる。それに異議を申立るにあたっては余程の高度な法理論があるのか、問題提示がなければならないだろう。とてもじゃないが私にその「理屈付け」を依頼されても思いつかない。
と、なると本会議で減税日本ナゴヤが異議の理由を滔々と読み上げても、誰からも賛同を得られないまま粛々と採択が追認されるだけだ。つまり、また減税日本ナゴヤの本会議場での敗北が積み上がるだけじゃないのか。
本当に、いったいこの異議申立は何を目的としたものか。
提出段階で、異議申立によって打開される、変化する状況が展望できていればよいが、単に「出すだけ」の意思表明では自己満足でしかない。
更に、それを直前になって取り下げるというのは(以下、放送に不適切な為割愛)。
この取下げによって、また議運の審議時間が無駄に流れたようだ。
今後は「議運離脱宣言」に準じて、お静かにお願いいたします。
口から出任せの事例
さて、その減税日本ナゴヤの生みの親、河村たかし名古屋市長ですが、このブログでは「無能市長」「嘘つき」「棒鱈」と散々言ってきました。最近、あるところで行われた「市政報告会(タウンミーティング)」に参加させていただきました。参加された方々はリコールや減税日本への支援もされた方々だそうで、幾つかの事柄については、私とは意見が異なりました。(公務員給与を下げるべきか下げざるべきか、とかね)しかし、この人々は「河村市長が市長として仕事をしていないなんて、とっくの昔に知っている」と言われていました。
こういった支援者の方々ですら、あちらでもこちらでも河村市政の綻びが露になると、河村氏の有能、無能という判断については「無能」と断じる以外にないとご理解いただいているようです。
今また、減税日本ナゴヤ市議団の「議運離脱宣言」について、話がウヤムヤになっていきそうです。それにともなって河合市議の辞職勧告もウヤムヤになっていくのでしょう。南京発言もウヤムヤのままです、減税政策自体が5%なのか10%なのか、それとも「大阪維新の会」との連携を考慮して取り消すのか、これもウヤムヤです。地域委員会はどうなるのでしょう。先日酷い事例をご報告しましたが、今年の事業でも首を傾げるような事例が発生しそうです。河村市政になってから何も決まらない事柄が山と積上げられています。
そして、ちゃんと市民も気が付いていますよ。
このブログはそれを先鋭的に文章化しているだけのようです。
(一番、気が付いていないのは減税日本ナゴヤの市議たちかもしれない)
さて、そんな「無能市長」「嘘つき」の事例をまた一つ公表しましょう。
名古屋の土地開発公社による「塩漬け土地問題」というのがあります。先の6月定例会で「なごやサイエンスパーク事業」について、大学誘致を断念し、土地を売却するなど「損切り」をする意向を表明しています。この問題について「名古屋市民オンブズマン」は古くから追及をしています。
そして、2009年に名古屋市市長選挙を控え、各候補にこの問題を問い質しています。河村たかし衆議院議員も市長候補の一人として回答を寄せています。
2.塩漬け土地問題についてお尋ねします。
名古屋市土地開発公社は、別紙のとおり2008年3月末現在で約71ヘクタール、簿価で約937億円の土地を保有していますが、市が時価評価したところ、約498億円の価値しかありませんでした。
(略)
なお、名古屋市は、2006年度から土地開発公社に対して「利子補給」をしており、その額は2007年度には13.7億円にも上っております。①市長に当選された場合、なごやサイエンスパーク事業を見直すおつもりがございますか。
(河村候補の回答は「ある」)
②①で「ある」と回答された場合、具体的にどのようにするおつもりですか。
(河村候補の回答は「別紙1」)
③その他塩漬け土地問題に関してのご意見がございましたらお書きください。
(河村候補の回答は「別紙1」)
「塩漬け土地」問題に関して
長年にわたって事実上放置されてきた「塩漬け土地」問題は、名古屋市の財政に大きな影響を及ぼしかねない、まさに看過できない問題であり、市長就任後、速やかに対策に乗り出す。
まずは、「塩漬け土地」を含む(引用者:①)「土地開発公社」のこれまでの運営・経営状況などの実態を調査し、結果を全面公開する。当然、なぜ、これほどの(引用者:②)「塩漬け土地」が発生したのか、経緯や原因、さらには責任の所在も含めて明らかにする。
その上で、「塩漬け土地」を今後どのように処理していくべきか、さらには「土地開発公社」の存廃も含めた公有地取得方式の在り方についても、名古屋市として本格的に議論する。そのためには、「緑の審議会」では不十分であり、(引用者:③)民間や学識経験者など外部の専門家も含めた「検討委員会」を作って対応する。「なごやサイエンスパーク事業」についても、この委員会で議論することになる。(引用者:④)この委員会での議論は、今回の市長選挙の「マニフェスト」で約束したように、情報公開する。
と言うわけで、市長任期も残り半年あまりとなった今年(2012年)9月10日付けで、以下のような文書を「行政文書公開請求」として名古屋市に要求した。
2009年4月名古屋市民オンブスマンの行った市長選挙立候補予定者アンケートにおいて、河村氏の回答した「塩漬け土地」問題に対する具体策のうち、
①「「土地開発公社」のこれまでの運営・経営状況などの実態を調査し、結果を全面公開する。」とした情報
②「「塩漬け土地」が発生したのか、経緯や原因、さらには責任の所在も含めて明らかにする。」とした情報
③「民間や学識経験者など外部の専門家も含めた「検討委員会」を作って対応する。」とした委員会の開催実績、議事録
④「委員会での議論は情報公開する。」とした公開情報
その要求への回答が9月21日付で出された。「実施機関」は「名古屋市長 河村たかし」である。決定は「公開しない」というつれないもの。
公開しない理由は「公開請求に係る行政文書を作成していないため、存在しません」
つまり、何もやっていないのです。
河村たかし市長はこの問題について、実行するといった事について何もやっていません。何も実行していないからそれに伴う情報も文書も存在しないのです。市の担当者からそう説明を受けました。(そもそもここで述べられている「検討委員会」など存在し無い事は周知の事実ですが)
もう一回言います、何もやっていないのです。
このオンブズマンの指摘にあるように、開発公社の所有する土地が約500億円の時価として、その金利を年1.2%として算出すると、年間6億円となります。これだけで議員報酬半減など吹っ飛んでしまいます。簿価の約937億円が債務として積み上がっているとすれば、その金利負担は年間約11億円になります。市長給与の減額や退職金程度で補える金額では有りません。
つまり、とっととこの問題を処理しなかった為に、河村市長は自分が胸を張って誇示する市長給与の減額と議員報酬の半減以上の損失を、名古屋市民に与えている事になります。
というよりも、オンブズマンに向けたこの回答は一体なんなのだろうか。こんな「口から出任せ」をよくも言って平気で居られるものだと思わざるを得ない。*1 *2
ちょっと真面目に前向きに、調整を進めれば4年で50億円を超える金利や事業費負担を削減でき、それを自身が公言していたのに、何故何もやらなかったの?
めんどくさかったから? 50億円からかかった話なのに?
追記:情報提供を受けました。
「平成23年1月1日現在の土地開発公社の時価は266億円です。
平成24年3月31日現在の積み上げ価格は621億円です。」との事です。
なごやサイエンスパークBゾーン 6年間にかけた費用判明 : 市民オンブズマン 事務局日誌
「なごやサイエンスパークBゾーン」の部分だけで5年間で17億円の利子補給をしています。
奇跡の一本松は奇跡か否か
考えると恐ろしくなってくる河村市政からちょっと離れて、「奇跡の一本松」のお話をしたい。
当ブログでは上のバナー風リンクにあるように、陸前高田市の「奇跡の一本松保存募金」を肯定的にご紹介している。
しかし、こちらに紹介するようなご意見もある。
【赤木智弘の眼光紙背】一本松の奇跡なんて無かった
こちらに震災の前の松原海岸の風景が紹介されている。
学力低下への挑戦 俺たちの旅~奥の細道②~
私は、7万本もの松原を押し流した津波に、たった一本だけ生き残った事をもって充分に「奇跡」であると思うし、赤木氏の言うように移設をして塩害を防止するというのは現実的だったか疑問に思う。
とはいえ、例えばこの松を残す事業が「国営防災メモリアル公園整備事業」として進められるとすると、その奥に一抹の割り切れないものも感じる。つまり、「そんな金があるのなら、もっと切実な問題に金を出せ」という事だ。
しかし、こういった形で事業を進めることで、地元の雇用を生み出すことも事実だろう。
つまり、この事業は、陸前高田の現地の予算を使わずに、後背地の有志からの寄附で賄われ、現地の雇用や経済の活性に帰す事ができれば良いということになる。
(なんとなく、日本テレビの24時間テレビに似ている。この松は、同番組でマラソンをするタレントに近いかもしれない。それがどういう意味があるのかは判らない。赤木氏の言うように、その意味自体を考えてみると首を傾げるのが理性的な態度とも言える。しかし、結果として相応の金銭が集まり、相応の福祉向上に繋がるのであれば肯定てきるのではないか?
勿論、その利害損得を勘案しても有り得べきでないとする態度も理解できる。)
そういった意味で、当ブログでは赤木氏の批判を受入れたまま「奇跡の一本松保存募金」へのリンクはこのままにおく。政治とはこういったものだろうと思う。異なる意見、立場、価値観の中で共通に生きていける場所を確保する事。
異論について聞く耳を持てなくなった段階で、それは政治ではなく、単なるわがままな妄言でしかない。
*1:追記:情報提供を戴きました。河村市長(当時は候補)は、この文章について「読んではいるかもしれない」けれども、内容について覚えているか非常に微妙だと言う意見を頂きました。「この文章についてはC紙のT記者の作で、河村候補は禄に読みもせずにオンブズマンに横投げした可能性もあります。」という事だそうです。なら、C紙は是非、事後処理を紙面で展開すべきではないでしょうか。候補に施策を提案する事は悪いことではありません。しかしそれが実現化されない場合、その評価を特に、責任をもって行うべきではないでしょうか。
*2:追記:更に情報を戴いた。C紙のT記者が関与するのは市長になってからなのでこの文章は違うのではないかというご意見を頂いた。当時、河村氏のブレーンとして市庁に乗り込もうとしていた人物がいて、その方が書いたのではないかというご意見だ。ただ、この場合も「読むぐらいはしていただろうけど、意識し続けていたかは疑問」ということだった。ちなみにこのブレーンもすでに離反してしまっている。