減税日本が二つに割れた。
3月19日
注目された名古屋市会2月定例会(24年度予算審議議会)の最終日となった。
早朝(というよりも、18日深夜)に中村議長の辞職表明が報じられ、最終日の予算審議は正常化されるものと思っていた。
ところが、なにやら慌しいのである。
減税日本ナゴヤは朝から団会議を開いていたようだが、この席上に幾人かの人物が現れない。まず、富田市議。この方はご家族に不幸があり、議会を休まれるという連絡があったようだ。*1 そして、田山幹事長の名札も未登庁ままだ、さらに舟橋氏のグループも何処に行ったか姿が見えない。玉置市議が慌しく3階にある減税日本ナゴヤ市議団の控え室と、2階の議長室の間を駆け足で往復する。
議長室から中村議長が現れて記者に緊張が走る。議長はそのままお手洗いに。
このようにざわついた空気の中、舟橋氏が市長室に河村市長を訪ね、離団届けを手渡したという噂が駆け抜けた。本人も離団の意思を表明したということで、テロップ(速報)を流したテレビ局も現れた。
その後、この意思表明は流動的なのではないか。また、しっかりと離団の意思を確認した記者が一部であった事などから、ひょっとすると早まった報道だったのかもしれないというような空気も流れた。
そのような周辺の喧騒をよそに、議場内では粛々と予算審議の意思表示が行われ、次々と議案が採決されていく。議場を仕切る議長役には中村議長が座っている。
辞表を提出し、各会派に詫びを入れ、混乱無く予算審議を進め、議長辞職の手続きを進めるという交渉が実って、最終日に通例どおり自ら挨拶を行い、辞職をすることが叶った。
議会は一旦、不信任を全会一致で採択した議長を受入れた。(こういった柔軟性が「慣例」にはあるのだろうけど、それも「支援団体」は否定するのだろうか?)
予算審議が恙無く終わり、議長の挨拶と共に、正副議長の改選が行われた。
そして、2月定例会は新しい議長の宣告によって終了した。
減税日本新政会
終了後の様々な情報を総合する。すでに 減税日本ナゴヤ 議員情報 (3-01) インデックス | 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! は更新されているので、このインデックスに準じて確認すると。
離団したグループは「減税日本新政会」という名前の会派を作った。
河村たかしを代表とする地域政党「減税日本」の党籍はそのままである。
つまり、あくまで市議会会派を割ったということになる。
メンバーはインデックス順に、
玉置真悟(千種区)
舟橋猛(名東区)
中村孝太郎(昭和区)
堀田太規(天白区)
鈴木孝之(天白区)
加藤修(中村区)
の6名となる。
「新政会」とした理由は「リスタート」という意味を込めたようだ。
会派名に「減税日本」を残し、地域政党「減税日本」に党籍を残している事からも判るように、「減税政策」をはじめとするいわゆる「3大公約」については墨守する決意とのことだ。
彼等は昨年末の減税条例の採択において「10%原案」に賛成の意思表示をした市議たち(個別の六人)である。
つまり、「3大公約について、市民との約束であるので、その約束の10%減税を否決できない」と、現行の修正案5%減税と共に、10%原案にも賛成の意思表示をした。そして、「今後も行政改革を進め、公約である10%減税実現を目指す」としている。
二重のネジレ
これから述べる事は非常に入り組んでいる。ややこしいので気をつけてお読みいただきたい。私もなるべく丁寧に書きたいと思う。
まず、中村議長に辞任を思いとどまらせた「支援者団体」(つまり「ナゴヤ庶民連」以下単に「庶民連」)はどうなったのか?
ということである。
単純に受け止めると、中村議長を支えるという会まで作ったのだから、そのまま中村議長と共に、新しい会派を支援するのだろう。と、思えてしまうのだけれども、それが全く逆なのである。
今回離脱したメンバーは「庶民連」とは最も遠いメンバーである。*2言ってみれば「減税日本の中の反庶民連セクト」が、「庶民連」に担ぎ上げられた中村議長を奪還して、強制改宗(逆洗脳?)したのが今回起こった事柄の様である。*3
では、今回の会派分裂は「庶民連」の影響か。というと、そうでもない。「庶民連」の影響はそれほど残存の市議団にもない。しかし、この中村議長の辞任拒否問題の中で出てきた、様々な市議団内の現執行部のもつ問題に匙を投げたのが、今回の離団騒動であろうと思われる。(その内徐々に明らかになってくるであろうが、漏れ聞いている事柄は確かに呆れ返るほどのポンコツぶりだ)
減税日本ナゴヤの市議は、それぞれが「市民税10%減税」を明確に公約として掲げているにも関らず、昨年の定例会で「5%修正案」を可決し、「10%原案」を否決した。それでいて「公約どおり、恒久減税条例を可決させました」と広言して憚らない、これはおかしい。
私は減税政策自体が、デフレ経済下においては間違っていると思う。*4であれば、この「新政会」とも政治的スタンスは異なるといえるが、「新政会」が市民とした公約を守ろうという姿勢は評価できる。
さて、では「庶民連」は全く消えてしまったのか?
どうも、そうではないらしい。
ここからは、この新会派「減税日本新政会」は脇において、既存の「減税日本ナゴヤ」だけを捉えて見てみたいのだが。
本日は上にも書いたように、議長・副議長の改選が行われた。
議長は、昨日のアーティクルで書いた危惧が当たってしまって、自民党の中川氏になってしまった。明日からのマスコミの論調、そしてそれを受けての市民の誤解が怖い。
その問題も、一端は脇におきましょう。
副議長の改選でちょっとした椿事が起きた。
副議長に立候補したのは共産党の田口市議(共産党は、とりあえず論理的に全てに立候補しますからね)と減税日本ナゴヤの田山幹事長だ。
「議会改革」の一端として、議長・副議長の選定は密室で決める事はせずに、本会議において、立候補者の主張を聞いて、市議が無記名投票して決めるという事になっている。
田山市議が副議長立候補の演説をしている時に議場からブーイングが起こった。
「市民の3分間スピーチを本会議場において行う」
「議会休会中の委員会室など会議室を市民に開放する」
「子ども議会を本会議場において行う」などの政策を突然、表明したからだ。
追記:下のコメント欄に指摘を受けたように、「子ども議会」については中川議長の就任演説でした。混同いたしました。訂正します。
追記(3月21日):情報を戴いた。田山氏は演説の中で「大学生によるディベート大会を本会議場で開催したい」というような事をいっていたので、それと混同したのではとの事であった。
そうかもしれない。
なんにせよ、委員会室や本会議場が閉会中使われないのは非効率だとか、「市民に開放すべき」という文脈で河村市長が煽り、庶民連がそれに飛びついたという経緯はあるようだ。
「議会改革」の一環で、議長・副議長の選定を本会場で、市民に見える場所で行うようになっても、中々実態が伴うには時間がかかる。去年は、せっかく演説によって選定するという「開かれた議会」の為の措置であったのに、減税日本ナゴヤの則竹団長(当時)が立候補も演説もしていないのに副議長選挙で6票の得票を得、せっかくの「議会改革」を踏みにじる行為であると批判された。
そして、今年のこの田山副議長の選定は、河村市長直々のご意向だそうである。
その為に、各会派が調整して、副議長ポストを田山市議だけの立候補としたようである(こういった話し合いに、共産党は論理的に乗ってこないのは常識ですから一々説明しませんが)
つまり、形は「開かれた選定」であっても、それを言い出している河村市長自身が制度の精神を踏みにじっているのですよ。(と、私の水晶球が言っている。おっと、エビデンスもない事を決め付けて書いてはいけませんね。私の水晶球がそう言っているのです)
その各会派の話し合いの中で、まあ我慢して田山市議の副議長ポストを受入れているのに、その田山市議が持ち出した「議会改革」とやらが、今回の混乱を引き起こした「庶民連」の言っているような事であれば、形だけ混乱の謝罪はしたけれども、本当のところは判っているの?という事になるでしょう。
演説の際にブーイングが起こった理由である。
更に田山市議の副議長、得票数は35票(減税日本ナゴヤ:22+公明:12。もう一人誰かが入れてくれたんだね)
無効票が34票。
副議長に信任した市議は過半数に満たない。
実は、この前。休憩時間に減税日本ナゴヤの予備室(通称「まなちゃん部屋」)に浅井団長、田山幹事長、山田市議、余語市議の4名が篭もって作業をしていたようである。
ここで田山市議の副議長立候補演説の原稿が書かれたらしい。
3月11日。中村議長の突然の議長留任騒動の直前、ウィル愛知に中村議長を呼び出した「ナゴヤ庶民連」は、その前に山田市議を呼び出している。11日の団会議の際に、山田市議は一時、団控え室から居なくなったという証言がある。
11日にウィル愛知でどのような話し合いがもたれたのか。
そしてこの「狂気の種」はまだ根深く名古屋市政に根を張ろうというのだろうか。