市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

議長居座り問題の語られない責任者

追記:月曜日の早朝3時にメールが飛び込んできました。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120319k0000m010098000c.html

名古屋市議会:中村議長、19日にも一転辞職表明

中村孝太郎議長(66)が議長を辞職する意向を固めたことが18日、関係者の話で分かった。早ければ19日中に正式表明する。

 中村氏側は、19日に提出される予定の辞職勧告決議案が可決されれば今後の政治活動にも影響が及ぶのは必至と判断したとみられる。
(毎日新聞 2012年3月19日 2時30分(最終更新 3月19日 2時35分))

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120319k0000m010098000c.html

日曜日の深夜2時半?
というよりも、月曜日の早朝2時半にネタを取ったの?
凄い!

月曜日の出来事と次期議長について

 中村議長の議長居座り問題について、週末の間変化は見られなかった。16日(金曜日)には、「土日に辻立ちをして市民に支援を呼びかけます」と語った中村議長だったが、17日(土曜日)に2時間ほど辻立ちをしただけで、日曜日は実行しなかった。

 この土曜日の辻立ちも、2時間の内、拡声器の電池が切れたのでコンビニで買う(10分:以下カッコ内の時間はおおよそ)、缶コーヒーを買って喉を潤す(10分×2回)、他の街宣者との調整(10分)、街宣場所を移動(5分×2)、マスコミの囲み取材対応(30分)等々で、拡声器から声が出ていた時間は全部合わせても20分にも満たない。
 そして語っていた内容は「議会改革の為に議長を続けます」ということで、前を通る住民も、ほぼ反応はゼロと成っていた。

 特筆すべきはこの街宣に、中村議長一人だけで*1「中村議長を支える市民の会」(つまり、ナゴヤ庶民連)は誰一人付いていなかった。

追記:19日、議長が一転辞任の意向を表明したと報じられた。
庶民連は中日新聞の報道に、次のようなコメントを寄せている。

議長を支援していた市民団体や後援会有志は「この週末、議長と連絡が取れていない。強引な手法で翻意を促されたのなら認められない」などと反発している。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012031990091119.html

 辻立ちにも同行せず、「連絡が取れていない」(つまり、会う事もしないまま?)という姿勢は奇異に感じる。
 こういった責任や行動を一切せずに、口先ばかりの態度を何と言えばいいのだろうか。(たぶん、「社会的責任を果たしていない」と言うんだろう。そして、それは船橋氏の定義から言うと、「市民ではない」のだろう)

 3月19日(月曜日)には、よほどのことが発生しない限り、中田ちず子副議長の下で、予算が成立するだろう。そうなれば、なんとかこの混乱も実態的な被害が無く収まるかもしれない。なにせ、相手は「将棋のルールを知らないまま将棋指しに、そんな将棋じゃダメだ!差し手について、市民の意見を聞くべきだ!」と言っているみたいなものなので、ここで予算審議まで混乱させられたらいよいよ市民生活に影響が及ぶ。

 ただ、ひとつ気になるのは。(例えば、この異様に長ったらしいブログを読むなどして)それなりに、名古屋市政の出来事を追っている人々にとって、この混乱は「減税日本ゴヤ」またはその支援団体であった「ナゴヤ庶民連」つまりは河村市長の側の内部事情から発生した事であって、先のリコール運動などで批判された「既成政党」は一切与り知らぬ事柄と判る。
*2

 しかし、市民の中にはまだ「河村市長VS既存政党」という判り易い図式を描いている人々が居る。

 市政に興味を持っている人々ならば、この騒動を受けて「もう議長ポストは減税日本ゴヤなんかに任せられない*3」という声を聞くが、そんな人はほんの一握りで、大多数の人々にとっては、「減税*4党の議長が『議会改革』を訴えて議長ポストを下ろされた。また既成政党が意地悪をしているのじゃない?」という理解に傾くように思える。

 特に、ここで中村議長の次に、自民党(第二会派)などから議長が出ようものなら。
 「なんだか判らないけど『議会改革』を訴えていた減税党の議長が引き摺り下ろされて、自民党が議長の座を奪ったみたいよ。酷い事をするね」というような話に成りかねない。

 先のリコールなど、完全にこのような誤解が拡大した結果だろう。

 ここは、議長ポストについて、減税日本ゴヤが責任を持って引き継ぐべきだろう。 *5

中村議長を支える市民の会会見より

 先のアーティクルで「中村議長を支える市民の会」(以下では「庶民連」とする)の会見記を見させていただいたと言った。その中で特に気になった「無責任発言」については、にわかに信じられなかったので確証を得られるよう確認した。つまり、あの発言は間違いなく「庶民連」の船橋旭氏が自ら語っていることは確認済みである。

 しかし、以下の発言はそういった確証を取っていない。なので、発言の細かなニュアンス等々は間違っている可能性もある。

 「庶民連」の主張では、議長を持ちまわるという慣例自体がいけない事だといっているようである。それに対して記者が「中村議長が議長になった経緯も、最大会派の最年長者ということで、慣例でなったようなものなのだから、市民に見えるように選ぶべきだとするならば、一旦辞職して議長選挙に立候補すればいいのではないですか?」という質問に、明確な回答はなかった。どうも、彼等は現在の「減税日本ゴヤ市議団」は既成政党に取り込まれて、または洗脳でもされて、既成政党の権益のために改革を忘れた存在となっている。とでも、思っているようだ。

 「議会改革について、中村議長は公用車を使っていた。本人も使わないと言っていたのに、使っていた。既得権益に浸かっていたのは中村議長自身ではないか。昨日、改革をしてこなかった人が、明日やると言われて、どうやって信じろと言うのですか?」というような記者の質問に。
 「本人がやると言っているから、僕たちはそれを信じます」ときた。

 ところで、このテーマとなる「議会改革」について、中村議長は「公用車の廃止」と「議長室が大きすぎる」というような「問題点(?)」を持っているようだが、「庶民連」は何を改革のテーマとしているのだろうか。
 彼らが7月に提示した「議会改革特別委員会設置の請願書」という文章があるらしい。(議長宛に提出されているこの「請願書」は、不思議な事に議会には届いていない。いったい何処で止まっているのか?)
 ここに7つのテーマがあるので書き出してみよう。
 
   ① 政務調査費自治法に則った使途基準制定
   ② 市民の参考人制度の拡充及び本会議の*6おける3分スピーチの実施
   ③ 本会議場では一問一答式の議論、議員間討議ができる
   ④ 本会議場で請願・陳情者の直接説明ができる 
   ⑤ 執行部側に反問権を与える
   ⑥ 住民投票条例の制定
   ⑦ 議員と市民が意見交換できる政務調査費による議会公聴会の開催

 この中で、⑤と⑥は河村市長の主張をそのまま入れたような意見ではないだろうか。そして、そもそも⑥は「議会改革」なのだろうか?
 ①に関しては、自治法に政務調査費の「使途基準」というものがないから、既存議員は苦慮しているんだけど、そういった経緯はご存じない?今は裁判所で出た判例(これも一つの「慣例」なんですけどね)などに準じて「使途基準」を定めている。

 こんなかたちで「使途基準」を定める事ができたら、それは議員自身が大助かりに違いありません。なぜって?訴訟リスクから開放されるのですから。

 ③については、形は異なるが議論は今でも行われている。
 そもそも、いたずらに議論を続ければ良いというものでもない。実際に、今は各委員会において非常に真剣な委員間討議(議員間討議)が行われている。
 そして、本会議においても真剣な議論は実現されている。実は今2月定例会においても、河村市長の南京発言問題について、共産党の田口かずと議員と自民党の藤沢忠将議員の間で緊張感のある議論が戦わされている。(地方議会にはなじまないテーマだと思うけど)

 リコール運動の際に「議員はたった80日しか働いていない」という河村市長の言葉を真に受ける市民が大勢居た。これは「知らないから、仕事が無いと思ってしまう」という誤解だろうが。こういった議論も「知らないから、無いと思ってしまう」という誤解の一つだろう。

 興味深いのは②、④、⑦といった議会における市民参加を増やせという要望だろう。

 特に、⑦などは、別に「政務調査費による」と限定しなくても、名古屋市議会基本条例(第4条の4)に制定された「議会報告会」が条例どおり開催されれば実現は可能である。そして、それを阻んでいるのは河村市長ご本人であり、この請願のように「議会公聴会」を「政務調査費」によって開けということは、政務調査費は会派に対して支給されるものであるから、会派毎に開くべしとするのだろうか?
 そもそも、そのような政務調査費の支出は合法なのだろうか?

 つまり、これなども議会報告会の開催を阻害し、それを政務調査費で行えばよいと言っている河村市長の主張を「議会公聴会」という言葉に摩り替えて主張しているに過ぎない。

 先に、④について一言。どうですか総務環境委員会の藤田委員、この請願を受け止めて、試行的にこの請願の請願者である船橋旭氏を委員会にお招きして、とっくりとご意見を拝聴されたら。そして、その様子は是非市民に開かれた、インターネットによる中継をお願いしたい。

 そして、最後に②であるが。

 結局ね、この請願書は「僕の話を聞いて」と言っているだけなんだよね。

 船橋氏は「今実施されている3分間スピーチについて、なぜ市長の言うように本会議場でさせないのか」と言っている。
 (ねえ、僕ちゃん、もしもそれを実現して、どういう効果があるの?)

 けれども、本当に不思議なことがある。

 船橋氏は「僕も3分間スピーチを3回ほどやっています」と言っている。

 よほど、名古屋の市政に対して訴えたいことがあるんでしょうね。
 なら、市民に対しても表明すれば良いのではないの?

 その3回にわたる3分間スピーチの情報を、なぜご自分では発信されないのか?

 結局、自分の話を聞け、聞いたら聞き入れろ、聞き入れるのなら、その通り実行しろ。と、どんどんと要求を拡大して、つまりは自我を肥大化させているだけじゃないですか。

 正直言って、もうこれは社会学政治学、地方行政学の扱う問題ではない。(以下自粛)

語られない責任者

 今後、中村議長の行動やその支援者について、マスコミは歯切れが悪く口ごもったような報道を行う可能性もある。
 こうやって分析していくとそういった領域に足を踏み入れているように感じる。

 ではなぜ、このような現実から遊離したような人々の行動が、名古屋の市政に影響を与えなければ成らなくなったのか。または、彼等の自我がここまで肥大化した原因は何か。

 それは、河村市長の「嘘」を報道してこなかったマスコミにも責任の一端はあるのではないだろうか?

 実際に今も、記者たちは中村議長や庶民連の主張について、懐疑的な質問を投げたり、論調も厳しくはなっている。けれども、一般の市民の受け止め方は相変わらず「河村市長VS既成政党」だ。それは、この問題を扱う時間や紙面が、圧倒的に少ないと言うせいでもある。(そして今後は口ごもったような報道になるのだろう)

 しかし、実際には河村市長のリコールにおける扇動や、減税政策における主張の財政学的誤りは気が付いていたはずだ。今思うと、リコール運動において、一方的に「既得権益を守る、悪の親玉」のように扱われた伊藤選管委員長の主張のほうが正しく、彼の行動を「民主主義の破壊」とまで言っていたリコール運動体こそが、民主主義を破壊していたのではないのか。

追記:そういえば、ある人が「市政記者クラブの記者の内で半数程度は減税政策が本当に経済効果があると思っている様だ」と言っていた。
 しっかりしてくれよ!
「正しい経済学」が導く減税の意味(後編) - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 は公共経済学の基本から説き起こしている。間違いない「正しい経済理論」だ。
そしてこの話題について。
204億円の幻想 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 の嘘は明白ではないか。

 それ以降、地域委員会、待機児童対策。マスコミのミスリードは目に余る。

 中日新聞は東県議の二回目の薬事法違反については報道もしていない。リコール署名簿の流出について、市民に注意喚起もしなければ、市長の責任も追及しない(いったい「調査報告」というのは何時発表されるのか?そして、なぜ河村事務所に、署名簿の電子コピーが存在したのか。問題を追及しない中日新聞は共犯に思える。)

 このリコール署名簿の流出問題において、請求代表者の責任も追及しなければ、船橋氏も勘違いするというものだ。自分たちが好き勝手かき回しても、その責任は問われないと。

 今まで、彼等の主張が入れられなかったのは、それが河村市長と同様に、現実から遊離した主張だったからだ。逆に、彼等の要望が実現したリコール署名については、彼等はあたかも成功事例のように捉えているかもしれないが、客観的に見れば、署名簿流用、流出という歴史に汚点を残す失敗事例となっているだろう。

 こういった現実を(河村市長も含めて)彼らに突きつけていないから、何時までも現実から遊離した空想の世界で遊んでいるのだ。それを許した一端は、現実を伝えてこなかったマスコミに責任がある。

 例えば、私は河村市長の南京発言は間違っているというスタンスを取っており、一方にはあの発言を支援する人々がいるのは理解できる。だから、ここでは一旦、その差異はおくとして、では、実際に河村市長はあのタイミングで、あの発言をしてどのような状況を作りたかったのか。

 そして、あの発言以降、例えば明日の市長会見でも、どのような行動を取って来ているのか、または取っていないのか。明確で具体的な行動報告を求めるべきだ。(外務省口上書問題についても)

 河村市長の口から出任せを、そのまま現実であるかのように報道するから、市民の市政に対する認識が歪むのである。


*1:一人だけ支援者らしき人がついていたが。

*2:減税日本ゴヤの内部で、中村議長に辞任を求める運動が起きていたとしても、それは昨年の6月に起きた、則竹問題に端を発する中村議長自身の失言による辞任騒動の影響で、減税日本ゴヤの浅井団長が議長任期については預かるとして、この2月程度まで1年間の任期とする約束(フォーマルな約束ではない。)を元に、浅井団長などが動いた事なのだろうから、他会派にとっては全く関係がない話だろう。/それが実行されないとするならば、浅井団長が他会派に対して行った釈明が何であったのかという話に成るだけだ。/その1年間の任期という話も、失言を受けて、中村議長の識見に疑問を持った他会派が6月の定例会後即座の辞任を迫ったのに対して「8月に同窓会があるので、それまでやらせて欲しい」という懇願を受入れて1年としたものではなかったのか?

*3:というか、減税日本の市議は一人も要らないからさっさと辞めてくれ!

*4:減税日本ゴヤという正式な会派名すら、そんなに浸透していない

*5:こうやって、「責任をもって辞退する」のではなく、「責任をもって引き継ぐべき」という、一見常識とは異なる結論に行き着くところが、"esoteric" ですね。

*6:ママ