市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

制度設計ができない人

地域避暑地

 昨年の夏前に「地域避暑地」というアイデアを出した。
 東京電力原発事故で節電が叫ばれていた頃だ。*1

 地域避暑地とは、名古屋市内にあるコミュニティセンター、各区役所ロビーや空き部屋、生涯学習センターなど。一部屋をクーラーを効かせて開放し、猛暑の午前10時ごろから午後4時ぐらいまで「地域避暑地」として自由に利用してもらおうというアイデアだった。
 特に、独居老人や、暑さに弱い乳幼児を抱えたお母さん方に利用してもらえば、利用者同士の交流も起きるかもしれないし毎年起こる不幸な事故も未然に防げるかもしれない。
 実際に、昨年の夏には各地のショッピングモールに子どもを連れて一日中滞留し続けるお母さん方が多かったと言う。個別にクーラーを付けていては電気料金の負担も大変なのだろう。
 しかし、そうはいってもショッピングモールで一日過ごすというのもなかなか大変だ。
 コミセンであったり、生教であれば畳の部屋も用意できるだろうし、テレビぐらいは準備しても良いかもしれない。一定程度の節度を保って飲食も可能だろう。

 何よりも、地域間の人的交流が図られる機会を少しでも増やして、ご老人と子育てママが一日過ごしていれば、お母さんにとっては子育ての話を聞けるかも知れないし、ご老人にとっては小さい子どもとふれあう機会というのはよろしいのではないか?*2

 と、思っていたが、なかなか実現はしなかった。

 立川市では実現したようだ。
 http://www.city.ichikawa.lg.jp/res03/1111000030.html#02-2

 ある方にこの案を相談したところ「多分、実現は難しいだろうね」と言われた。
 「市当局は、このプラン、多分乗ってこない」との事だった。

 上記の様に、地域内の住民のコミュニケーションを図りつつ、節電と言う社会的責任にも寄与する政策であろうに何故?と、少々不満気に聞き返すと。
 「市当局にとって、こういったプランで一番気にするのは危険は無いかという事なんだ、こうやってヒトを集めて居てもらうのはいいけれど、その人の間でいざこざが起きたときにどうするのか。また、これは実際にあちこちの図書館で起きている問題だけれど、所謂ホームレスの人が避暑に訪れるだろう事にどう対応するか」

 この時にはこれ以上は反論しなかったけれども、トラブルの発生リスクぐらいはヘッジできなければならないだろう。または利用の前に一冊取っても良いかも知れない。
 また、図書館で起きているホームレスの問題は私も知っている。実際に現場では非常に苦労されているようだ。私も書架の間で眠りこけるそういう人を何回か見た。
 けれど、本来はこういった人が顕在化することで、行政の仕事ができるのではないかと思う。行政は基本的に受身の業務しかしないけれども、顕在化した問題については対処して欲しいものだと思う。

制度設計の矛盾

 こういった考え方を敷衍していくと、市当局は「ハコ物」は作っても、それを使わせないというインセンティブが働く。
 トラブルが発生した場合、その責任を取れないから*3いっそ使わないでおいてもらいたい。ということになる。利用者数がゼロであれば、事故もゼロで問題はないですからね。

 しかしこれが本末転倒の議論である事は容易に理解できる。

 そもそも、さまざまな施設は、地域の住民が利用するために建てられたのだから。

区役所民営化

 さて、本日のニュースで「区役所の民営化」が打ち出されたようだ。

河村市長、区役所の民営化検討指示 2012年2月4日 13時04分

名古屋市河村たかし市長は、区役所の民営化を本格的に検討するよう担当部局に指示した。市長は「競争にさらされている民間会社なら、より柔軟な発想でサービスもよくなる」と話している。業務の効率化を目指す行財政改革の一環。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012020490130435.html

 なんとなく市政記者も判ってきたようで、中日新聞以外はどこも追いかけていないようだ。最近で言うと「待機児童対策のための小学校校庭における仮設託児施設」も結局口先だけの政策になってしまった。また「寄附政策」もご本人からは何も打ち出してこない。というか、まともに考えているようには思えない。
 ちょっと前になると、もう本人も忘れているだろうけど「相生山の問題」というのもある。ありゃあ結局どうなっちゃったんでしょうね?

追記:区役所民営化については中日だけが報じているのではなく、最初報じたのは毎日新聞で、中日が後追いになっているはずだという指摘が来ました。
確認:毎日の報道は民間校長の件で、区役所民営化については中日の先行である事が確認できました。

 この区役所の民営化、民間委託もそんな話で、ほぼ100%立ち消えになる。に、500ペセタ!って所ですが。

 ツイッター上で興味深いツイートに出会いましたので少々考えてみましょう。

 区役所を民間委託した場合、委託料は入札という事になるのでしょうから、予め決められた金額で受託すると言うことになりますでしょう。つまり、入札してしまったら受託業者はがんばって利用者数を増やすとか、サービスを向上させようというインセンティブは働きません。そもそも、区役所にとって「来場者を増やす」って何?

 すでに、ここに「ニーズとウォンツの混同」があるのです。

 受託業者にとっては入札以降、受託金額は変わらないのですから来場者、処理業務量は少ない方がコストを圧縮でき、利益に繋がります。つまり民間の受託業者にとっては、「ニーズ(必要)」があっても区役所に来ない(または、来れない)人が居た方が利益になります。
 神野直彦教授の著書を紹介した際に触れましたが( 「財政のしくみがわかる本」のご紹介 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 )人間の欲望には2種類あって、民間業者が競争しているのは「ウォンツ」についてです。これを混同して「ニーズ」についても「競争にさらされている民間会社なら、より柔軟な発想でサービスもよくなる」などとみなしているならば、市民生活に大変な歪を起すでしょう。

 例えば、外食産業は「ウォンツ」を満たす為に競争しています。だからといってあなたは、ご自分のお子さんに毎日の食事を外食産業にゆだねる事ができますか?
 バランスの取れた食事、適度な味付け、カロリーというのは「ニーズ」です。で、あれば嫌いなピーマンでも食べられるようにするのが「ニーズ」の食事です、家庭の食事です。それは外食産業では真似ができない事です。

 この河村市長の考え方は、ネグレクトの親の言い草に似ています。「ちゃんと食費は渡しているんだから、自分でコンビニでも行って買えばいいんじゃない」ね。

 河村市長は本質が判っていないから、制度設計ができないのです。

減税やめました日本

 さて、久しぶりに河村市長が全国的なニュースに取り上げられましたね。
 ところが、論調は厳しいですね。

名古屋市長インチキ臭〜!“減税日本”が減税タナ上げ (2012.02.04)

 看板は一時外します−。「減税日本」代表の河村たかし名古屋市長(63)は3日夜、橋下大阪市長と次期衆院選での連携に向けて会談し、政策の目玉である減税施策をいったん棚上げすることを確認した。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120204/plt1202041439001-n1.htm

 特に、わざわざ大阪まで橋下市長に会いに行ったのですよね。
 これはあまり関係ないですけど、この深夜の会見では相当にお酒を飲まれた会見だったそうですけど、国民や国家の事を考えての会見だったのですか?
 それとも3都市構想から自分が外された事へのクレームのつもりの会談だったのですか?
 なぜ、こんな時に酒が飲めるのか私にはわかりません。

 いままで散々、財政状況をとか、議会の民意を無視して、ご自分の「減税政策」に固執されたのに、今、国政での連携で橋下市長から言われたら一夜で、それも酒の席の会話で、減税政策を引っ込めるのですか?

 その軽さが「インチキ臭〜!」と言われる理由ですな。

 ある方が、これからは「減税やめました日本」に看板を替えるべきだ。と言われていましたので、作ってみました。減税日本のホームページにサイズも合うはずですからどうぞお使いください。


*1:名古屋においては発電量のインフラバランスから節電は必要なかったという人が居る。確かに総論としては必要なかったかもしれないが、コストを考慮した場合、その消費量を少しでも抑えておくということはより必要な東北・東京エリアに間接的に電気を(安価に)送ることになると考えた

*2:そりゃあ、全ての老人が、小さい子どもが好きだという訳ではない。こういう施策を行えば、騒ぐ子どもたちを疎ましく思う老人が居てもおかしくはない。そしてこういった調整がまた、地域の課題であり、力になる

*3:民間であれば、施設は利用されれば利用されるほど収益に繋がる筈なので、利用が増え、その利用により発生したリスクについては保険などでヘッジしている。しかし自治体にとっては、事故は起きないことが前提なので、保険でリスクをヘッジするという発想はないのだろう(行政の無謬性)/先日の「若干のリスク」と逆の話のようですが、これは運用上の現実のリスクであって、制度上の予見すべきリスクとは異なります