今、テレビでは朝まで生テレビが放送されている。
テーマは「橋下大阪市長」で。
ツイッター上で橋下氏( @t_ishin )が直接、田原総一郎氏に対論を呼びかけて、実現した番組だ。( 参照 )
面白い番組になるとは思えない。なぜなら、橋下氏は「言い逃れ」にかけては天下一品だからだ。彼は現在、市長であり、基礎自治体の執行権者そのものなのだから、こういった対論じたいあまり意味が無い。特に、「朝生」という場には特殊な「空気」がある。
橋下氏は本来、議論で勝つことよりも、様々な異論を聞いて、執行に生かすべきだろうに、多分、ここで行われることは橋下氏の自己正当化の言葉が積上げられるだけに違いない。(実際に、開始早々そういった傾向が見られる)
結局、マスコミで人気を得るのは。特にテレビと言うメディアで人気を得るのは独特なキャラクターで、それが市民のための市長にふさわしいキャラクターとは思えない。(※1)
一昨日お知らせしたように 河村市長国政転進? ともう一件。 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0 報道ステーションサンデーにおいて河村氏に対する番組が作られているようだ。放映内容がどこまで切り込めるのか判りませんが、メディアの特性として、「差」であるとか「コントラスト」というものが視聴者をひきつける。さて、どれだけの「段差」があるのだろうか?
そのような中で、また一つの矢が放たれたようだ。
「市長の品格 河村たかしの功罪」
政令市全国初のリコールを徹底検証!
あのリコールとは何であったのか?
減税のウソ!について現職名古屋市議が「河村たかし」の真実を語る。
すごい。
更に別の書籍も出るという情報が寄せられている。
「中部財界」という雑誌は休刊してしまったけれども(その理由も名古屋の経済の地盤沈下というものだろう)このような名古屋を中心とした経済月刊誌が、また新たに創刊されるそうだ。出版主体は株式会社中部財界フォーラム社( 問い合わせ電話番号:052-979-2003 )で、雑誌名は「月刊 東海財界」というそうだ。
この創刊号もやはり河村市長を扱っている模様だ。
「河村たかし名古屋市長徹底解剖」と立体構成特集が組まれており、「取材記者による覆面記者座談会」という記事と、「河村市政熱狂の裏で、なぜ市長から人は離れるのか」という題名の記事が含まれている。なかなか興味深い視点だ。
さて、27日には東京で「おもしれーナゴヤを売り込め」大作戦と称して、チラシを撒くと言われていた。 名古屋市政を考える会 - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
写真は、報告された現場レポート に添付されていた写真と、その模様を放送したニュースのキャプチャのようだ。別に人だかりができるわけでもないし、東京側で受け入れ体制があったわけでもないようだ。(一般的に、他の地域から「観光大使」などがイベントを行う際には、受入れ自治体側も対応するだろうけど)
いったい、なんのためにこれやったのでしょうか?(とりあえずコストはかかっているですよね、彼らの時間というのは経費ですし、そこそこ高いでしょうし)
また、この前日には各会派を回って予算説明されたのですよね。予算説明をした次の日に、その場で更に交渉されたような事柄について、調整などをせずに東京でチラシをまくのですか?
というよりも、そもそも各会派と会談を持っても、その次の日には東京に行っちゃうって?会談以降の自分のアクションというのは無くても良いと判断してスケジュールしているのでしょうか?
なんとなく、この辺りも民間企業のビジネスなんかしている人間の目で見ると奇異ですよね。
如何ですか?
あなたが誰かとビジネスをしていて、その大切な根幹に係る事柄について、打ち合わせの会合を持ったとするではないですか。その次の日にその相手が、例えば見本市で一日自社を開けるというのって考えられます?
会合後に、調整してみると再度意向を確認したりといった細部の詰めって発生する筈で、それが現場を離れてしまってはできませんからね。というか、このスケジュールではそういった詰めをしようってつもりが無いじゃないですか。
これって、その会合自体の軽視ではないのでしょうかね?
まあ、そんな態度であるから「ボロ」が出ているのですけど。
で、結局これですね。
2月にも橋下・石原会談…新党結成構想は?
大阪維新の会代表を務める橋下徹・大阪市長が、2月にも石原慎太郎・東京都知事らと名古屋市で会談することがわかった。
石原知事が呼びかけたもので、大村秀章・愛知県知事らも出席、大都市制度の問題を中心に協議するという。石原知事が模索する新党結成についても話し合われるかが注目される。
橋下市長や松井一郎・大阪府知事が27日、報道陣に明らかにした。橋下市長は石原知事について、「自治体で一番の顔。大都市の統治機構を変えないといけないと東京で言ってもらえるのはありがたい」と語った。
一方、石原知事らの新党結成構想がテーマになるかどうかについて、松井知事は、「(石原知事からそのような話は)全くない」と話した。
(2012年1月27日23時08分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120127-OYT1T00916.htm
すごいニュースですよね。橋下市長と石原都知事が、わざわざ名古屋で会合を持つ。
その場に大村知事の名前は出てきても、河村市長のカの字も出てこない。
まあ、石原都知事は河村市長の減税政策を「財政のどういう裏付けがあるのか知らないが一種のポピュリズムだ」「減税、減税とそれに飛びつく国民がばかだと思う」と手厳しく批判していましたからね。
橋下大阪維新の会が、石原都知事及び、旧自民党系の離脱者を糾合する第三極となるならば(大村さんもそうでしょうし、大阪維新の会の市議、県議にもこういった傾向の人は多い)そこに河村さんが参加できないのは理の当然でしょうね。
※1:テレビにおける「人気」というのは所謂「脊髄反射」といったもので決定される。理性的な判定ではなく、情動的な選択がなされるのである。
理性的な判断というのは、必ず情報の受け手側が情報を受け取って論理を再構成するという作業が必要なのだが、テレビというメディアは受け手側(視聴者)にこの「再構成の時間」を与えない。その代わりテレビの中の情報について、テレビの中の誰かが再構成までやって、そのまま飲み込める形にする(実際に、今、朝生というテレビ番組で、再構成すべき情報が再構成されないまま田原氏に棄却された。田原氏がキャスターとしてうける理由は、朝生という番組から、複雑な、受け手側(視聴者)が再構成しなければならないややこしい情報については棄却してしまうというところにある。
つまり、朝生を見ている視聴者は、例えば議論の流れを止めて自分の中で再構成、評価をするような手間を掛けさせない。それぞれの提示者が主張をどう「口当たり良く提示できるか」の競い合いになる。(多分、その一番の成功者は姜尚中氏だろう/誤解無く、蛇足を加えますが、私は姜氏の論考は好きですよ)
蛇足ついでに、あと2つ。
1つめ、こういったテレビのメディアとしての特性に合っているのが、池上彰さんもそうだろう。彼の仕事というのは、ニュースと言う情報を口当たり良く飲み込めるように「プレゼン」することでしょう。
2つめ。このようなテレビメディアの異常性を浮き出させたのがシドニー・ルメット監督の映画「ネットワーク」だろう。ニュースや社会的問題を「ネタ」として商品化される異常性はこの映画ですでに指摘されている。
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