市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

社会を教導するものはメディアの力である(3)

§5 「怪文書

 今回のリコール署名簿流出事件において、様々な問題点が見えてきた。減税日本及び、河村市長については既に信を置く能わずと断じているので、驚きもしなかったが、そこそこ信頼していたマスコミにおいても、ここまで事実を曲げられるのには驚いた。
 マスコミは嘘は書いていない。そういう意味では河村市長よりは賢い。しかし、それは賢いと言うよりも「狡猾」と言う言葉がしっくりと来る。嘘は書かないのである。しかし、事実も書かない。

 名古屋の市民の大部分は、東県議が二回目の薬事法違反を起こして、ご自分のHPを半閉鎖状態にされたことは知らない。3Eラボ
 それまであったシアバター販売についてのお詫びは消されているし、今回の違法販売についても何の説明も無い。
 この事実を知るのは、名古屋市の中でも、このブログを読まれた一部の方達だけである。

 実は、以前大騒ぎになった「ポスター代水増し請求疑惑」が今年の市議選でも浮上してきている。この問題についても、4年前には大々的に報道されたが今回はなぜか沙汰止みである。
 この事実を知るのは、名古屋市の中でも、こちらのブログを読まれた一部の方達だけである。


 リコール署名簿の流出ファイルについては、その所在が不特定多数の人々に知れ渡り、拡散をしてしまった。その際に拡散を止めたのは一市民の行動であった。
 この事実を知るのは、名古屋市の中でも、一部の方達だけである。

 この拡散において、そもそも流出が大々的に報じられた7日以降、この18日に至るまで、当該ファイルを削除しようとした形跡が無い。故意にファイルを放置したとすれば、河村市長、三宅県議、または相談を受けたであろう愛知県警の対応に問題が無かったか疑問が残る。
 この事実を知るのは、名古屋市の中でも、このブログを読まれた一部の方達だけである。


 特にこの一連の報道を追うと、その異常性を際立たせるのは中日新聞である。
 中日新聞を読んでいると、これらの危機について何も知らないままでいる事になり、東県議は二回目の薬事法違反になどなっていないと思うようになる。
 これは異常である。

 県議が自らの業務で薬事法違反に問われたと言う事は、この県議が自らの業務を成り立たせる法律、法令にどのような態度で挑んでいるかという傍証であり、非常に重要な問題であると考える。化粧品を扱うものが、薬事法に無頓着なら、県議となっても地方自治法に無頓着であろう。私が千種区民か名東区民であれば、東県議の地方自治法に対するペーパーテストでも求めて、及第点に至らなければ県議をお辞めいただくのが適当だろうと考えるが、このような問題意識も中日新聞を読んでいる限り市民は持つことが出来ない。

 こういった遵法精神の無さ、法律の軽視が、このリコール署名簿の流出につながっているし、名古屋市会において、条例に明確に定められた議会報告会開催に予算を付けないという市長の違法状態を放置する事につながっている。更には昨日(20日)財福委員会で指摘されたように、今次提出されている減税条例自体が地方自治法第222条違反の代物なわけで、提出すると言う行為自体が違法なわけだ。

 これら、伝えるべきであろう議論があるにも関わらず、わざわざ2年前の海外視察を持ち出して「地方議員の海外視察廃止」のキャンペーンを打つ?
 それが中日新聞が判断する名古屋市会、愛知県議会における問題の優先順位だそうだ。

 この9月定例市会において、東郷市議の個人質問に応えて河村市長は「怪文書」の存在を口にした。「怪文書」とは何か?気になった私は関係者に調査をかけた。

 リコール署名簿流出の初期に報道各社に向かって、流出の事実を示す(アドレスを記載した)ファックスが送られたと言う事は既に報道されている。このファックスに河村市長への批判があったことも報道されている。(毎日報道
 このファックスは報道機関に送られたもので、その他に河村市長や河村事務所、市当局、警察などの司法関係などにファックスが送られた事実は無いらしい。
 また、流出騒動(9月7日)以降に報道や河村市長宛てに別の文章、ファックスが送られたと言う事もないようだ。つまり、市長が本会議で答弁した「怪文書」というのは流出騒動の初期に出た「報道関係向け」のファックスの事であるらしい。

 実は、このファックスは、初期の報道に書かれていた、?河村市長への(リコール署名募流出問題に対する調査実態の)批判?リコール署名簿の電子ファイルが置かれたアドレス。だけではなく、第三の話題が書かれていたらしい。河村市長自身が報道各社に語ったところによれば、それは「則竹問題」だと言うのだ。(その他にも、河村市長自身の金銭問題についても書かれていたという噂も流れているが、これについては真偽がわかりません。これを確認するために時間を取られています)

 内容については判らないものの、則竹元市議についての事柄が書かれていて、それを河村市長自身が「怪文書」と呼称するほどに気にしているということが気になる。また、そもそもどうも、報道関係向けだけに送られたファックスを、なぜ河村市長が内容を知っているのかと言う事も気になる。

 通常、報道関係にこのようなファックスが送られてきた場合、報道関係は送られてきた事実については報じますが、その文章に主張がある場合、それを紙誌面に載せることはありません。それは、違法行為によって為された主張を紙誌面に載せることで、違法行為を助長する恐れがあるという判断からです。ですので、今回のリコール署名流出犯(仮)から送られたファックスの文面を公表しないことは報道倫理に照らして正当なことです。

 また、報道は自分たちに送られた情報は、報道における情報源の秘匿を考慮して、捜査関係機関に対してもその情報を出さないことがあります。つまり、捜査関係者がリコール署名流出犯(仮)の捜査にそのファックスが見たいとしても、その任意提出の要請に応えない可能性があります。(長崎市長射殺事件

 では、報道が一方の当事者に情報を流すことは正当な事でしょうか?

 実は、今回、リコール署名流出犯(仮)からファックスが送られてきた報道機関はほぼ特定されています。私の調べではテレビについてはNHKのみ。
 新聞については毎日、中日、読売だけのようです。
 朝日、産経については今一つ確証が取れていません。また、テレビについての調べも素人の私が仕事の片手間にかき集めた証言から得られたものでありますので、事実はわかりません。NHKの某デスクに直接確認したところ「NHKにはファックスは来ていない」という証言もありましたが、私は信用することが出来ません。(その傍証は示せませんので、敢えてこのデスクの発言を嘘であるとは断じませんが、信用することはできません)

 そして、漏れ聞くところによると河村市長はこの「怪文書」について、その文面をすべて承知しているようです。つまりは、どなたかが「御注進」したのでしょうか?

 なんとなく、森元総理の「指南書事件」を想起させる事柄ではないですか。

 新聞倫理綱領(平成12年6月21日)

「(略)
 国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。
(略) 
 正確と公正:新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

 独立と寛容:新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。
(略)」


 どこかとは名指しはしません。名指しをするに足る確証は掴めませんでした。

 しかし、どうにも片方に阿り、歪んだ報道を続けるものは、歴史に指弾を受ける事でしょう。また、あなたが権力者である名古屋市長にいくら尽くしても、その情報を本会議場でべらべらとしゃべるようでは、その秘匿を守れるわけが無いのです。
 指南書が必要であった森元首相も、その器量にあわせて座を奪われました。指南書が必要な者は、そもそもその器量が無く、いくら尽くしても尽くしがいなどありません。

 この簡単な歴史の教訓を「御注進」しておきます。