市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

すでに“詰んでいる”河村市長/地域委員会・市民意見交換会に出席して

 河村市長肝いりの地域委員会のモデル実施「検証のための市民意見交換会」に出席してきました。

 千種区内においては、すでにこのブログでも触れたように「Myちくさ21」主催の「市政出前トーク」が行われていたり。河村市長の支援団体であるナゴヤ庶民連の会合が行われていたりして、住民の間でも活発に「地域委員会」というものに対する関心がたかまり、研究が進んでいたように思う。


 そういった中で全市の先頭を切って、千種区においてモデル実施された「田代学区」の「地域委員会」への住民からの意見が出されたわけなんだが、これがビックリ。述べ26人の発言者の内、賛成・推進派はたったの2名。大多数が「地域委員会」の推進反対、または制度の見直しを求めていた。私としては「アートピアホール」で野次られながら突出発言(?)をしていたことから考えると、なんとも心強い気持ちになった。(毎日の報道読売の報道

 しかし、実はこの現象は何も私の声が市民に行き渡ったからとか、このブログの主張が受け入れられたからなどとは考えてはいない。この会場で「地域委員会」に否定的な意見を表明された方々は、多分、大多数、私の存在などご存じない。それぞれの方が、それぞれの立場で「地域委員会」というものと出会って、そして問題を感じて意見を表明されたものと感じる。

 なんにせよ拙速過ぎる。

 そんなに一期、4年で名古屋市長としての実績を上げて中央にアッピールをして、そして国政復帰して首相を狙うというのなら、もっとちゃんとした制度設計と、ご本人をリーダーとした手厚い育成努力が必要だろう。制度設計についてはいい加減で、そしてそもそも未だにご本人自身がその制度をご理解されていない(後述します)
 更に、その運営に問題があってもすべて「丸投げ」− 各区における地域委員会会合に対して、河村市長が出席されたのはそれぞれたったの一回 − 。これを見ても自身の市長臨席はセレモニーとしか捉えていない事が判る。更に、この千種区田代学区においては、わざわざ意見書を提出したのに対しても直接説明しようともしない。
 こんな態度で「新しい制度」が地に足を付ける筈がない。


 この意見交換会でも出された問題点として「執行機関と議決機関」という問題がある。どういうことかというと、名古屋には区政協力委員であるとか学区連絡協議会などの名古屋独自の地域団体が存在しています。これらの制度に問題が無いとは申しませんが、名古屋の整備状況は全国的にも優れているものではないかと感じます。ところが、こういった地域コミュニティの担い手である各種団体も「高齢化」や「都市化」「景気後退」によって、その担い手を失いつつあります。これが「執行機関」としての問題点です。
 これらの事は既にこのブログの初期にも触れております。( こことかここ ) つまり、地域課題の解決に必要な施策は「執行機関」をいかに梃入れするのかという問題に尽きると思うわけです。

 河村市長は本日(8月29日)の市長会見でも「児童虐待不登校対策に地域委員会」というような発言をしていますが、これも「地域委員会」を「執行機関」であるかのように捉えている誤解から来ています。
 「地域委員会」は「議決機関」であって「執行機関」ではありません。「議決機関」をどのようにこねくり回しても「執行機関」の梃入れにはなりません。逆に「議決機関」の存在そのものや、その「議決機関」が選挙によって決められるという、地域に不必要な対立を持ち込むような制度のため、「執行機関」の担い手が手を引く可能性すら考えられます。(「地域委員会の図式化及び地方自治の図式化」

 再度申し上げますが、地域コミュニティの再建の為に必要なのは、各種「執行機関」(≒「地域団体」)への梃入れであって、不要不急な「議決機関」の押し付けではありません。河村市長自身、「地域委員会」が執行機関であるかのように混同して語っています。誤解しています。または、市民を誤解させようとしています。

 こういった市長の発言を聞けば市民は期待します。「区政協力委員」や「学区連絡協議会」における様々な問題や、それら団体の高齢化、担い手不足。つまりは、地域コミュニティの活力の再生に、「地域委員会」を導入すれば解決が付くのではないかと。河村市長はそう言っていると。
 しかし、実際に「地域委員会」を開いてみれば河村市長の言うような、手品や魔術のような効果は無く、「地域委員会」は「議決機関」としてあるだけ。地域委員の方々も苦悩します。
 この田代学区の地域委員会の議事録にも苦悩の姿は刻まれています。地域委員を辞任して、執行機関として地域団体に移ろうとする委員も居たわけです。

 現場では、そこまで思いつめてもいるのに「言いだしっぺ」の河村市長は相も変わらず「地域委員会さえ導入すれば地域の課題は全部解決」というような誤解したままの発言を続けるわけです。

 これらの無責任な発言は現実に制度を実施して、その運営に携わってみれば「嘘」であることが明白にわかってきます。つまり、河村市長の政策というものは、論理的な破綻を含んでいますから全てにおいて実施後に破綻が明白になってきます。

 つまり、私の発言や、このブログの趣旨が広く行き渡ったからではなくて、河村市長の発言の「嘘」が明白に見えるようになったから、この千種の意見交換会において住民から「地域委員会」への否定的な意見が噴出したと言えます。(実は、真っ先にこの「嘘」に突き当たったのが「地域委員」の皆さんであったのだろうと思います)

 この後、市当局は「中期戦略ビジョン」に準じて、平成24年度の40地区実施を考えていると聞きます。「中期戦略ビジョン」自体、議決を経ていない上に、未だに裁判所に送られたままの扱いなのですが、この「地域委員会」についてだけ実施しようとするのでしょうか?

 河村市長はこれだけの市民の声を無視してまで、この制度を拡大実施するのでしょうか。そこまで無理をするのならすればいい。その時に各区、各地域の住民に河村市長の「嘘」が明白に判るときが来るだろう。河村市長はすでに“詰んでいる”のである。


 尚、29日における西区の意見交換会には出席できません。
 (こちらへの出席が決まっておりましたので)
 西区においては、田辺市議が指摘されたように、電動青パト自転車が運用されていないのではないかという問題が提示されています。これも「議決機関」としての「地域委員会」の問題ではなくて、「執行機関」自体の担い手の問題であろうと思います。
 必要な事は「執行機関」への梃入れであって、「議決機関」の在り様などではありません。というよりも、「地域委員会」は必要ありません。


 26日の千種区意見交換会において提示した問題点。
 議事録より様々な問題点は把握できました。また、ツイッター上などでも様々な問題点はいただきましたが、実際に委員経験者などから取材した論点は、他の方からは指摘されないのではないかと思い、限られた時間でもあることからこの問題点を指摘する事にしました。

「千種田代学区事情聴取による問題点」

昭和塾堂は名古屋市民が誇るべき歴史的建造物であり、
所有、管理されている城山八幡宮様に敬意を表しつつ、
市民としてこれを守る事は非常に意義深いものであると思う。

先日、亡くなられた佐藤委員長は
この昭和塾堂の保護・活用を希望されていた。

今回、地域委員会を開催するに当たり、
昭和塾堂の保護・活用を市長に求めた佐藤氏に対し、
河村市長は「それなら地域委員会でやればよい」といわれ、
佐藤委員長は地域委員を受けられたという。

ところが実際に受けてみると、
昭和塾堂は私的な所有物となり、
地域予算による私有財産の形成に当たるとして、
昭和塾堂に対する保護の実現は不可能となった。

今、河村市長は

地域委員会は「児童虐待」や「孤立老人」の対策に
最も効果があるような事を記者会見など、
公の場で述べておられるが、

実際に「児童虐待」が議題に上ったのは2地区であり、
そのどちらも具体的な施策はまとめられていない。

それどころか、
名東区貴船地区の議事録によると
最終的には
「民生・児童委員協議会の中で議論し」と投げている。

任期2年の地域委員会では
このようなクリティカルな問題は扱えない。

河村市長は
何でもかんでも地域委員会で解決できるような軽口は
今後、亡くなった佐藤委員長の為にも慎むべきであると考える。