嫌なものを見た。
私は通勤の都合上名古屋の繁華街「錦三」の辺りを通ることが多いのだが、夕方、「夜のお姐さん」たちの出勤時間に、そうした女性に声をかける若い男性の姿が目につくようになった。
事情通に事情を聞いたところ「割の良いアルバイトを紹介しますよ」と誘って、いわゆるAV(Audio Visualではない方)への出演を促すらしい。錦のお店に出ているような女性なら、見てくれは良い。そしてこのコロナ禍で、そうした「夜のお姐さん」たちも収入が減っている。それを見越して声をかけているというのだ。
第一波の自粛騒動のときには、店舗閉鎖に伴って補償も色々と工夫された。第二波が現実のものとなって、「自粛」の「要請」はされているが、強制力はなく、そして補償もない。困るのはそこで働く人達だ。彼ら、彼女らは、好き好んで夜の街で働いている人ばかりではない(好き好んで働いている人もまたいるけれども)
「板子一枚下は地獄」というような、ギリギリのところで、生活とプライドを守って暮らしている、その弱みに付け入るように甘い言葉をかける。
まさに、この世の地獄だ。
そうした感染拡大に怯える市民を尻目に、このバカはこんな記者会見をしている。
この状況で何を半笑いで伝えられるのだろうか。
他人の痛みなどなにもわからないのだろう。本当のバカだ。
一時間もある動画、無理して見る必要はない。頭にくるだけだ。
具体的な政策は一切なし、途中で検査体制の質問が飛べば、具体的なエビデンスは示さず否定し、そうした報道を非難するだけ。つまり、自己弁護と自己正当化に終止している。
陽性判明者で入院できていない者についても、当局を庇うだけ。本当なら軽症者受け入れ施設の不足を指摘し、施策強化すべきだろうが、市長は自己弁護をするだけ、記者はこの当然の追求もせず。
「隔離」がどうしたとか、幼稚な言葉遊びに費やす時間がもったいない。
検査、発見、隔離、治療 これ以外に感染症に対応する方法はない。単純な原理原則に立脚すれば、こんな言葉遊びが如何にバカバカしくムダか解ろうというものだ。
緊張感の欠片もない、弛緩した記者会見である。
最近、ある人とギリシャ哲学について会話している時に「ギュゲスの指輪」の話を思い出した、この話にはじめて触れた頃には判らなかったこの寓話の意味を、今になってはっきりと理解することができた。
プラトンの「国家」(ポリティア)にある話だ。
ギュゲスという羊飼いがある「指輪」を見つけた。この指輪をして玉受けを回すと自らの姿を消すことができる。(姿が消える「指輪」といえば、トールキンの「指輪物語」(ロード・オブ・ザ・リング)を連想する方も多いだろう。ーー関連しているとも言われているがトールキン自身は何ら言及していないようだーー)
ギュゲスはこの指輪の不思議な力を使い、やがて王の座を手に入れる。
この逸話を引いてグラウコン(プラトンの兄)はソクラテスに「ギュゲスのように誰にも知られずに、不正を働いて、栄華を極められるのであればそれでいいではないか。世の人々は、良い評判が利益につながると説き、正義を勧めるが、欺き続ける事ができるのであれば、正義などなす必要はない」つまり、「バレなきゃ何やったって良いではないか」と問いかけた。
それに対してソクラテス(ソクラテスの言葉として、プラトン)が主張するには「正義とは社会から要請されたものではない。不正に身を委ねる者は、自らの精神を醜く、汚すということであり、外的な状況がどうあろうとも ーーたとえ栄華を極めようともーー 、その状態は惨めなものなのだ」というものだった。
つまり、誰にもバレなくても。やり放題やって、外面だけ誤魔化して評判を手に入れても、そうしたさもしく、姑息な生活態度は、自分自身を醜くするというのである。(いかにも、プラトンの倫理観)*1
「指輪物語」においては、指輪の不思議な力で姿を隠しても、冥王サウロンの視界からは逃れられない。逆に姿を隠すことでサウロンに注視される。陰でコソコソと不正な事をやっていても、自分の良心(それも、そうした事を続けていけば、酷く歪んだ良心だろう)の追求から逃れることはできない。*2
市民が感染拡大に怯えていても、そうした困窮に思い至らず、思わず皮肉な半笑いを浮かべてしまうことにもなるのだろう。ーーそんな醜い者にはなりたくないーー。
現在、安倍首相が国会にも出ず、記者会見も開かず、国民の目から逃れているように見える。まさに、「ギュゲスの指輪」をしているように見える。こうして(人の噂も)75日経てば、悪評も終息してしまうとでも思っているのだろうか。
感染拡大が急速に広がる名古屋において、保健所は業務量が逼迫し、軽症者用の宿泊施設の準備もない。まったく文字通り「無策」であるにも関わらず、そうした姿を報道しない。
市民の目には触れない。
市長と、市政記者クラブが共同で、河村たかしの姿を市民の目から隠している。
さて、そういったところで、河村たかしに対する「冥王サウロン」たる、当ブログが、無能市長河村たかしの実像のほんの一端を公開していこう。
ご覧いただいているのは7月14日(火曜日)の市長動向と、市長の退庁時間だ。
市長にはタイムカードなど無いので、市長室秘書課に情報公開を求めたところ、公式文書はないが市民に対する情報提供はできるとして、報道発表による「市長の一日」の抜書と、メモをもらった。それによると7月14日、火曜日には河村たかし名古屋市長は、午後1時の来客対応のあとは、公務がなかったために、午後2時に退庁している。お家にお帰りになっている。
なぜ、7月14日の市長の退庁時間について、私が情報公開を求めたのか。
カンの良い方はおわかりだろうと思いますが、その日の午前11時30分頃。名古屋市の名東区役所において、生活保護を担当する区役所職員が刃物で刺されるという事件が発生している。
https://web.archive.org/web/20200717045314/https://www.chunichi.co.jp/article/88700
社員が会社の窓口で顧客に刺されたというような事件が起きた場合、民間企業の社長、経営者はどういう対応を取るだろうか。
事件に対するコメントを発表するなりして、社員/職員を守るような対策を取ろうとはしないものだろうか。
少なくとも、なにも対策せずにとっとと(午後2時に)退庁するということはないだろう。
地元マスコミは報じない、市民の目には触れないまま。ギュゲスの指輪で姿を隠した、身勝手な殿様は、誰はばかることなく好き勝手を行う。市民の目に市長の実像が見えないように、職員も、市民も彼の目には入ってなどいない。
追記:
情報提供をいただきました。
14日 2時に退庁した後の足取りのようです。
なんかみんな記念撮影しとんなあ
— ぷっちょ⛽️ (@boldreward688) 2020年7月14日
ってみたら、焼肉屋に河村市長いたwwwww pic.twitter.com/IlIvoaEI5R