市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

リコール署名運動に「正義」はあったか?

 何度も言いますが、このブログは特定の個人や団体を誹謗中傷するような意図を持って書いているものではありません。そしてできるだけ実証的に主張を構成しているつもりです。そういった中でもしも、対象となる個人や団体を誹謗しているように見えるのならば、事実がその個人や団体に誹謗されるだけのものであったと告げているのだろうと思います。
 また、公人についてはその名をあげて批判の対象としていますが(勿論、批判の根拠も実証的に積上げているつもりですし、主観的な判断については慎重にけじめをつけているはずです)私人については名をあげて批判はしていません。
 けれども、本日の検証については、この一般市民を対象としなければならないので、その名を上げます。その詳細については名古屋市公報、平成23年1月6日号(第889号)の93ページから記載されています。
 もう一言申し添えるならば、私は特定の個人や団体を批判しても、その存在までは否定はしません。そんな事が人間にできるとは思えないからです(決定的に疑問を持つ事もありますし、いっそその対象者が消え去ってくれれば、非常に大勢の人々の幸せが訪れるだろうにとも思う方が居ない訳ではありませんが、そんな主張はいたしません)
 私は人間の心の中であるとか、人間の本質などというものは、私自身では判りえないと思っています。多分、自分自身の心の中の真実や、自分自身の本質すら判りえないでしょう。ですので、語れることはその表層です。その人物、集団の行為しか語りません。
 ですので、批判の対象も、その個人や団体の行為に対してだけです。その個人や団体の人格(団体に人格があるとも思えませんが)に対してどのような言葉も投げていない事を予め申し添えておきます。


 名古屋の現在の市政がまともであるとはとても思えません。その一端が「リコール署名運動」にあったと思えてなりません。リコール署名運動の際に行われた違法行為や同義的問題行動については今は触れずにおきます。また、リコール署名の後の流出問題であるとか、偽造の問題についても稿を改めます。ここでは、その「リコール署名運動」自体に正当性があったのかどうかを検証してみたいと思います。

 平成22年12月20日、10人の請求代表者によって、「名古屋市議会解散請求」(リコール請求)が提出されました。上に書いた公報にその請求の要旨が載っています。


「庶民革命の為には、名古屋市議会を変えねばなりません。
河村たかし市長選挙一丁目一番地公約と政策は、議会によって実現を阻まれて
います。
? 市民税10%減税継続 ― 日本初の市民税10%減税は名古屋の金看板。景
気回復の牽引車。減税財源はすべて行財政改革で、起債はあてられていま
せん。減税額の一部を寄付し、市民の選択(税金か寄付か)で地域社会を
作ります。
? 地域委員会継続 ― 選挙で選ばれたボランティア委員が地域予算を決定
し、地域社会を作ります。これこそ本当の住民主権です。
? 市会議員報酬年1,630万円(制度値)を 80 0 万円に ― 議員の家業化・
指定席化をストップします。
名古屋市議会を解散し、名古屋市民の、名古屋市民による、名古屋市民の為の
議会を作ろう。
名古屋で生まれようとしている「民主主義のつくしんぼう」を育てよう。
そして日本中に発信しましょう」
名古屋市公報より)

 この文章が、本当にあの大騒ぎのリコール署名の請求要旨です。

 昨日アップした「ネットワーク河村市長」の要請書もそうですが、どうにもこの言語感覚には辟易させられます。「一丁目一番地公約」であるとか「主権在民三部作」など。何かを語っているようで、実は何も言っていないフレーズ。それも私には知性を感じられないこういった薄っぺらい言葉。それを、そこそこ地位も年齢もある方々が振り回して違和感を感じないところに、既に私は異常性を感じるのですが、まあ、これについては確かに主観でしょう。では、これらの言葉が「正しい」かどうかを検証していく事にしましょう。

 先ず「庶民革命の為には、名古屋市議会を変えねばなりません。河村たかし市長選挙一丁目一番地公約と政策は、議会によって実現を阻まれています」という一番最初のフレーズは、最後のほうの「名古屋市議会を解散し、名古屋市民の、名古屋市民による、名古屋市民の為の議会を作ろう」という部分が受けているのでしょうね。
 つまり「河村たかし市長の公約を実現するためには、名古屋市議会を解散して、名古屋市民の、名古屋市民による、名古屋市民の為の議会を作ろう」と言ってみえますよね。ところで、先日、税の滞納問題において、減税日本ゴヤの市議は「立候補まで名古屋以外に住んでいた議員が多く」というコメントが新聞報道でありました(2011年7月6日 中日 この文章の最初のセンテンスと最後のセンテンスをつなぐ、主たる主張においてすでに「 名古屋市民による」という言葉が「嘘」ということになります。確かに違法ではありません、しかし、ならばこの言葉とは矛盾しておりますし、選挙公報に堂々と断り書きを載せるべきでしょう。また、一人二人ならレアケースとも言えますが「名古屋以外に住んでいた議員が多く」とは何事でしょうか。

   「? 市民税10%減税継続」について。
日本初の市民税10%減税は名古屋の金看板。
   ― 減税自治体構想自体は杉並区のほうが早く、また堅実ですね。
   ― また、単年度の実施としてならば半田市でも行われました。
   ― ここまでして無理に「日本初」にこだわる理由は何でしょうか。
   ― 河村市長のアピール以外、名古屋市民に何かメリットがあるのでしょうか。

景気回復の牽引車。
   ― 「市民税 10%減税の導入に伴う経済的影響等について 試算結果」
   ― 平成21年12月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
   ―  ( http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000012/12673/houkokusho.pdf )
   ― において、景気回復、刺激効果は否定されていますね。
   ― 逆にお聞きしたい、そして立証責任は請求代表者にある。
   ― いったい、どのような根拠で減税が景気回復の牽引車であると言えたか。

減税財源はすべて行財政改革で、起債はあてられていません。
   ― 残念ながら、市債残高は339億円増えている。
   ― 「減税の為の起債はしない」という事ですが、全体の残高は増えています。

減税額の一部を寄付し、市民の選択(税金か寄付か)で地域社会を作ります。
   ― これが興味あるのですが、請求代表者の方々はそこそこの納税額を納めて
   ― いらっしゃるらしいのですが、いったい減税された市民税から、幾ら
   ― 寄付されたか教えていただきたい。
   ― また、名古屋市でもNPOを指定して「寄付控除」制度を設けましたが、
   ― どの程度の効果があったか公表していただきたい。
   ― そして、その際に河村市長はこの寄付制度を市のHPのトップに置くと
   ― 明言されましたが、実施されていません。
   ― そもそも河村市長には
   ― 寄付文化の構築なんて意識はお持ちじゃないんじゃないんですか。

   「? 地域委員会継続」
選挙で選ばれたボランティア委員が地域予算を決定し、地域社会を作ります。
   ― モデル実施においては、予算対象事業が予め決められていましたね。
   ― ボランティア委員は結構ですが、その最終までの参加率はいかほどでしたか。
   ― そして、河村市長はモデル8地区に、見事に各一回ずつ顔を出されていますが、
   ― そんなに大切な制度であるにも関わらず、そんな参加率で良かったのですか?
   ― また、その議事録を読んでいるのでしょうかね?

これこそ本当の住民主権です。
   ― こういう言語感覚が辟易なんですが。「本当の住民主権」と言われるのならば、
   ― 何が「偽者」なんでしょうか。市議会ですか?国会ですか?すべて、住民の
   ― 選挙によって選ばれた議員によって構成されていますね。どう違うのですか?
   ― 何をもって「本当」「偽者」と言っているのでしょう。請求代表者の方であれ
   ― ば、誰でも答えられるはずですよね、答えて下さい。

   「? 市会議員報酬年1,630万円(制度値)を 800万円に」
議員の家業化・指定席化をストップします。
   ― かわいそうに、既に議員を辞めたがっている人も居るみたいですね、
   ― また、請求代表者でもあった方が議席に座らなかったとか。
   ― 「家業化・指定席化」どころか、まともなスキルを持ったヒトは敬遠する
   ― 職業に成りかねないのではないですか。
   ― そこまで議会を弱体化させて、結局利するのは行政当局ではないですか。

 リコール署名の請求代表者とは、次の10名です。
佐橋雅元さん(西区)、長谷川守男さん(中村区)、平野一夫(昭和区)、福島操さん(千種区)、藤澤豊治さん(中区)、舟橋旭(名東区)、牧田幸代さん(名東区)、三宅功(名東区)、村上一子(東区)、安井嘉明さん(中川区)。12月20日で辞退した4名も、途中までリコール署名を集めていたのだとすれば、市民に対して説明する責任があります。

 設問名古屋市民による」としながら、減税日本ゴヤから市会議員になったものの中に、名古屋市民でない者がいたことの論理的不整合の理由、及びそれを公報に明示しなかった理由。

 設問減税10%が「景気回復の牽引車」であると主張した根拠。

 設問それぞれ、減税を受けた際の寄付先、及び金額。

 設問「本当の住民主権」と「嘘の住民主権」の見分け方。

 設問議会を弱体化し、行政を利するだけの議員報酬削減が、
     いったい、市民にどのようなメリットをもたらすのか。

 設問そして、そもそも、
     あなた方請求代表者は、いったい誰の為にリコールを行ったのですか?

 「日本初」でもない減税自治体構想を「日本初」と言い募ってみたり、「日本中に発信しましょう」と名古屋市民の利害とは関係のない結語があってみたり。そもそも設問1のように「名古屋市民による」という言葉も怪しければ、「名古屋市民の為の議会を作ろう」という言葉も怪しいものと断じざるを得ません。
 やはりリコール署名の運動主体である「ネットワーク河村市長」がその7月11日付の要望書で、「私たち市民」という言葉を使っているが、この文章で言う「市民」はあくまで同団体の構成員であって、同団体に所属していない一般市民の意向は汲まれていない。そのなかで、あたかも自分たちの運動体が全ての「市民」であるかのように僭称して、その勉強会への参加を訴えている。「市民と一緒に話し合い勉強会などを開催し民意を再確認しませんか。決して一人の落伍者も出さないで頂きたい」おお気持ち悪い。再度言うが、ここでの「市民」とは彼等の団体のことであって、一般市民ではない。その団体の「民意を再確認せよ」ときた。「一人の落伍者も出すな」と。ああ、恐ろしい。脅しはまだ続くね「他会派との内通や分派行動、マスコミへのリークなど(略)秩序を乱し、(略)非協力的な議員に対しては、私たちは市民の直接請求権の行使も辞さない決意であります」おおこわ(ガリガリガリクソンの声で読んでください)おおこわ。
 自分たちの意向を汲まそうと、実力行使までちらつかせてね。「党議拘束」以上ですな。
 こんな事よりも、もっと広く一般市民との交流、事務所、連絡先の設定等。市議として地元の為にすべきことで、減税日本ゴヤの市議がやっていないことはあるのだけれどそれについては無視なんですよね。
 完全に、その向いている先は「市長のための市議」や「自分たちのための市議」であって、私のこのブログタイトルのように「市民のための名古屋市会」とは程遠いものであると言わざるを得ない。
 私には、あなた方の姿が「嘘の住民主権」であって、私の主張こそが「本当の住民主権」であると思えるのだが、如何か。