市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

地域委員会のモデル実施内容の検証「提言書」を受けて。

このブログは、そもそも名古屋市の河村市長が進める
「地域委員会」の在り方に付いて、
当時地域委員であった玉置氏と議論を深めるつもりで開設したものだった。

2011-03-03 インデックス (このインデックスも更新すべきかな?)

その後、玉置委員は玉置市議となられて(あ、ここ敬語)
今は、議会も開催中なのでブログも更新が中々出来ないと思いますが、
私は私で勝手に進めてみます。

名古屋市HP内の市政情報「地域委員会」が更新されました。
ここに、

地域委員会のモデル実施内容の検証として。

提言書(平成22年11月30日付け)が公表されていますので、
これをベースに2点ほど指摘をしたい。

1.地域委員会の制度的意義付けはこれで良いのか。という点について。

「提言書」の7ページを見ると。

「地域委員会は実質的には同法第138 条の4第3項に定める
「執行機関(市長)の附属機関」としての位置づけに加え、
意思決定機能についての地域代表性を持つものと考えられる。」


この言葉を逆に読むと、
地域の代表者が地域の意思を決定して、
市長の附属機関として(予算を決定する)と読めます。

「したがって、市長は地域委員会からの提案を尊重し、
市長の担任事務である予算の調製において
その内容を十分反映させ、予算案として議会に提出する」


市長裁量の予算にこの地域委員会の予算が市会に提出されます。

さて、つまり、地域委員会の意思決定に付いて、
市長裁量が先に選別権を持つ事となります。

9ページ目を見ると。
その予算(地域予算)について
「今回のモデル実施においては、使い途の制約が多すぎるとの指摘が相次いだ」

との記述があります。
これは各地域の議論を見ると、
そもそも市としての事業にそぐわない提案であるとか、
他地域との連携が必要な提案。

更に、他地域との公平性(今回は、モデル地域に、特別な1千万円が配布される
訳ですから、その辺りの配慮もあったことでしょう)も勘案されたようです。

ですので、「提案書」には、「地域予算編成マニュアル」の策定が謳われています。

しかし、予算使途を予め策定するのでは、
わざわざ地域の実情を汲み取る地域委員会を作る必要は無く、
このような市庁側からは思いも付かないような予算要求こそ、
地域委員会の存在意義な訳ですから、
このマニュアル化は具体性を持ち得ません。

と、なるといよいよ市長裁量権が大きく物を言うわけです。

つまり、地域委員会の予算要求に関して、
市長がダメと言えばダメで、

誰も口を挟めません。

更に、地域委員会と市長の間で、
この予算要求についての異議が発生した場合、
その調整役は市庁の事務方しかないと言うことになります。

制度的に、地域委員会を通じて、
市長の独裁権を強化する制度にも見えるわけです。

さらに、「地域委員会」の中の図をよく見てください。
ここには、「学区連絡協議会」は存続されていますが、
「区政協力委員」は見当たりません。
市当局、または市長と地域の齟齬が発生した場合、
その調整役でもあった「区政協力委員」が外されている意味は
どこにあるのでしょうか。

2.そして誰も居なくなった。

6ページを見ると。「4 会議運営と事業の担い手」として、

「会議における協議以外に、
多大なエネルギーが必要となっていた。
モデル実施ではこの部分が区及び公所の職員により手厚くサポートされていた。」


とあります。
以前、この会議について、参加者、傍聴人数などを出して、
地域委員会の今後に危惧を示しましたが、
実際にはその予算から、
各事業を実施する必要があるわけです。

例えば、
「中川区豊治地域委員会」の事業評価書があるわけですが、
この中の2件目「地域安全パトロールの実施」の項目を見ると、

「中川警察署の講師協力で、学区内8自治会それぞれの地域状況に沿っ
た防犯講習会を実施した。」

「防犯講習会は経費0円で8回実施、内容がわかりやすく、延べ402名
の住民が参加し」


とあります。

今、名古屋市には264学区(21年)あるわけですか。
ここで、まあ、平均として4回の講師派遣を
それぞれの所轄署にお願いするとしましょう。
とすると、1056回の講習となります。一回に4時間とすると、

528人日

つまり、名古屋市内に愛知県警から専従講師として2〜3人の方を
各地区巡回してもらうような形になるわけですね。
(経費0円で、つまり、県の予算で)

「提案書」の指摘に戻りましょう。

「しかしながら、全学区における本格実施を見据えた場合には、
区及び公所の職員によるこのようなサポートは不可能であることから、
各地域委員会が独自に実施することが求められる」


つまり、勝手にやれと言うことでしょうかね?誰が?


さらに11ページを見てみましょう。

「地域委員会の活動を支える仕組みとしては、
学区内の有志個人やNPO等の協力も得て」


とあります。少々飛んで。

「こうしたボランタリーな市民の他、
特に任期満了後の地域委員会委員や
学区連絡協議会の構成員が、
地域運営の担い手として学区の活動をサポートすることで、
人材の発掘と蓄積を図ることも期待したい」


すでに各学区協議会の、
特に防犯であるとか、防災の関係者は、
構成員の高齢化を嘆いてお見えですよ。

実際に、地域でやる人が居ないので、
冬の夜の防火見回りを
ご高齢の委員の方がなさってお見えです。

その「人材の発掘」こそ大問題で、
それが出来るのなら、
とりあえず、今すぐに、
各学区連絡協議会にノウハウを伝授して頂きたい。

先に、私は「地域コミュニティを破壊するもの」と言うエントリーで
何故、今、各学区協議会の活動に活力が無いのか、
各地域の自治に何が足りないのか、
そして、「新しい公共」と高らかに謳い上げられている中で、
地域の実態の何が問題かを指摘したつもりです。

このような産業構造であるとか、
いっそ、ベーシックインカムなどの大胆な社会改革を進めない限り、
小手先の学区協議会から地域委員会への移行も、
「そして誰も居なくなった」という結果になりかねません。