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公共図書館とTポイントカード(11月9日 プレゼン予定稿)

こんにちは、
今日は、この小牧市に導入されようとしている
「ツタヤ方式」「武雄市モデル図書館」

その特徴として挙げられる
Tポイントカードによる図書の貸出しについてお話ししようと思います。

会場の皆さんは「Tポイントカード」はご存知ですよね。

コンビニなどでお買い物をすると「Tポイントカードはお持ちですか」とよく聞かれます。





こちらですね。

武雄市図書館に行くと、貸出カードとしてこの右側のようなカードを作ってくれます。


これ、中身はTポイントカードになっているんですね。


このカードの凄いところは、自動貸し出し機を使うと、1日1回まで3ポイント付けてくれるんだそうです。


図書の貸し出しは当然無料ですから、毎日貸し出しをすると一年間で約1000ポイント、年間1000円、ただでくれるというんです。


うらやましいですね。

しかし、おいしい話には裏があります。

今からその「裏」をお話しします。

 ー

皆さんが、ツタヤレンタルショップやコンビニで、DVDを借りたりお弁当を買った時に、Tポイントカードを提示すると、




その購入履歴は CCC に送られます。

CCCにはカード発行の際に登録した、皆さんの氏名や、住所、年齢、性別などの会員情報がありますので、


どこの誰が、どんなDVDを借りたのか、何時、どこのコンビニで、どういったお弁当を買ったのか、全て判ってしまいます。


CCCはそれを元にTポイントを付けてくれるんですね。

結構な事のように思えますが、この仕組みにはまだ続きがあります。



CCC はTポイントの為だけにデータを取るのではなく、
それを色々な企業に提供されます。

色々な企業は、皆さんの購入履歴やその傾向から、
たとえばどういったDVDを在庫すべきかとか、
どういうお弁当は夏には売れるのか、
冬は売れるのかという分析を行います。

こうして企業にとって価値のあるデータが得られるので、
皆さんには100円ごとに1円のTポイントをお支払いしてる事になります。

この利用に関して、
本当に問題が無いかどうか。

私は少々疑問を持ちます。参照

こういった資料もあります。


こちらの方、CCCの増田社長ですが、
増田社長が2006年の世界経営者会議という席上で
次のように話されたそうです。



「本のポイントビジネスを始めたのは、
本の売上を伸ばしたいのではなく、
本の購買履歴からその人の消費ニーズを察知したいから」

どういう事でしょうか、続きがあります。

「転職マガジンをかっているのが誰か分かれば、
その人は転職したい(ことが分かる)」


オチオチ、本屋で本も買えませんね。



「転職マガジンを買えば、その人は転職したい」
胃がんに効く食べ物」という本を買ったり、
「離婚の進め方」という本を買えば、

その人の消費ニーズが分かるといわれるんです。

こうした事はプライバシーの侵害じゃないのでしょうか。
世界経営者会議2006

実際にCCCはこうした問題も起こしています。


CCCは医薬品の販売データも収集しようとしたんですね。

ドラッグストアでTポイントを使おうとしたんです。

これは薬害オンブズパースン会議から違法性の指摘を受けています。




そりゃあそうですよね、
薬剤師の方が、お客さんの薬の購入履歴、
つまり患者さんの投薬履歴をCCCに送るという事は、
患者さんの病歴を知らせる事に等しく、
これは刑法の秘密漏示罪に当たります。

「Tポイントサービスに関する要望書」を提出 / 回答書受領 | 薬害オンブズパースン会議 Medwatcher Japan

現代はこういった情報の管理がうるさい筈なんですが、
中にはこういった事に疎い方もいらっしゃいます。


こちらの方。

この方が、今回の騒動の発端である、武雄市の樋渡市長であります。



この方は2012年の武雄市とCCCの基本合意の記者会見で、




「図書館で何を借りたかという情報は個人情報ではない」

とおっしゃいました。

これは今でもインターネットの
Ustreamでご覧いただけます。

武雄市とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の武雄市立図書館の企画・運営に関する提携基本合意について
(開始40分ごろから)

その後、扱いを整理されて、今では図書館から個人情報は送っていないと言っていますが少々疑問は残っています。

武雄市図書館のTカード番号で「本人が特定されない」のは本当か - デクノスティック

また、こういった問題もあります。

これは先ほどご覧いただいた武雄市図書館Tカードを発行してもらう時の規約ですが、この7条に凄い事が書いてあるんですね。



「諸規約及び諸規則〜の定めが異なる場合は、本規約が優先的に適用される」



つまり、

武雄市の条例よりも、CCCの規約の方が優先します」

と書かれているのです。

更に6条も凄い。
これを見るとCCCはいつでも規約を改訂できるとしている。

つまり、
CCCがある時突然、個人情報だろうと違法だろうとデータを利用します。
と規約を改訂したとします。

しかし、武雄市はそれを条例では止められない。
そういう規約なんですよ。
Tサイト[Tポイント/Tカード]


これは小牧市の個人情報保護条例ですが、
これとCCCの規約の整合の問題もありますが、
本日は時間の都合で割愛します。
(当日可能であればお話しします)
高木浩光@自宅の日記 - 多賀城市図書館は個人情報保護条例改正なしにTポイントを導入できるか




図書館には

図書館の自由に関する宣言」があります。


この第3に「図書館は利用者の秘密を守る」と宣言されています。



図書館で本を読んでいる時に、
どんな本を読んでいるのか、
覗き見するなんて許される行為ではありません。

一々、どんな本を借りたかなんて記録に付けられてはたまりません。



図書館とは皆さんのもの、公共の存在で、
大切な社会的共通資本です。

企業が勝手に壟断して良い物ではありません。






限られた時間ではお伝えしきれない情報がありますが、
お手元のレジメ、左下にQRコードがございます。

携帯電話やスマホでスキャンして頂くと、
今日のこのお話の資料などをご覧いただけますので、
お時間のある時にでもご確認ください。

ありがとうございました。


2014年11月9日
あさひホールにおける
図書館シンポジウムでのプレゼンの予定稿です。