この地方の経済誌として「東海財界」という月刊誌が出ている。定期購読の他は千種の正文館やジュンク堂などの店頭に並んでいるが、この月刊誌は毎月のように名古屋市政、それも河村市政に鋭いメスを入れている。
この雑誌が3回にわたって名古屋市会の「リコール運動」についての検証を行ってきていた。そして今月の最終回ではリコール運動を支えた運動員の証言を紹介し、リコール運動や減税日本の市議会派の成立の模様、そして河村代表の政治姿勢を生々しく証言している。
この記事の中にこうある。
だが、実際に事務所内をのぞくと市議選の候補者は『公募』とは名ばかりで、河村市長のコネクションや政治的配慮で選ばれた顔ぶれ、岩岡氏らが反発した”きさくな仲間たち”の集団に目を見張る。当時、選考に深く関わった人物は「どの候補も下心しかない。そこから河村事務所が個人的な付き合い、利用価値の有無で選んだ」とこぼしていた。端的に言えば、岩岡氏らへの要請も、その利用価値の延長だった。当然ながら、陣営内では党首や選考の背景に気を使って「身体検査」もままならなかったという。
奇しくも河村政治塾において、山田講師が「自分たちは身体検査もままならなかった、他会派は警察からの情報を得ているので候補者の身体検査ができている」というような発言をしているが、減税日本の候補選考については、こういった「しがらみ」だらけの選考が行われ*1、結果として不祥事が相次ぎ、能力的にも乏しい者ばかりの集団となってしまったのだろう。
河村代表は市議会の「総入れ替え」を訴えたわけだが、それは表立って言われたような名古屋市民の為とは到底言えない。すべては河村代表がわがまま勝手な市政運営を行いたくて、その抵抗勢力*2としての議会を弱体化させるための、まったくの私利私欲の目的でしかない。
現在の減税日本ナゴヤの体たらくを見ればそれは明白だ。また、その市議選にすら落選し、直後の県議選挙に鞍替えした候補が多数含まれる県議会会派、減税日本一愛知の会にしても五十歩百歩*3だ。結果として名古屋市民や愛知県民の為になったという実績が爪の先ほどもあるだろうか?
どんな「既得権益を打破した」というのだろうか?
このような記述もある。
河村サポーターズの設立時から、リコールの主旨は組み込まれていた。議会をリコールするとは、つまり市議選を行うということ」(岩岡氏)。一般的な市民の認識では、当時のリコール運動は汚職事件や政務調査費問題が続いていた市議会への不信が”懲らしめ”として噴出したものだと捉えられている。その意見を認めつつ、同氏は次のような説明した。「我々が目指すのは選挙だった。上手に市民感情の上にスライドした」
まったく酷い話だ。
確かに、それまでの名古屋市の議会には汚職事件や政務調査費の不正支出問題などが起きていた。自民党会派はその為に二つに割れもした。そういった姿を見ていた市民は市議会に不信を募らせていたことは事実だったろう。しかし、リコールによって議会を解散し、市議報酬を碌な検証もなく河村氏の言うがまま半減してしまった。
この乱暴な「革命」の成果は、しかし、議会から良識派、清貧な議員をも排除することになった。
乱暴な「革命」が正鵠を射った試しがない。歴史が教えるところ、革命には二種類しかない。行き過ぎによる被害が深刻な革命と、その行き過ぎの被害すら伝えるものが絶えて被害の深刻さが意識されない革命だ。
このリコールを実現した原因に表向き、市議会への不信感が存在していたと記事はまとめる。この不信感に油を注いだのが報酬議論だ。
河村代表の著書、「国破れて議員あり」に次のような記述がある。
「名古屋の市会議員でも年収2400万円ぐらいある。費用弁償と政務調査費という手当がつくから、年収2400万円になる。それプラス政治献金、さらに何か悪いことをやっていれば、そのほかに変なお金がガッポリ入ってくる」
ある減税日本の議員から「こういった言葉を真に受けて入ったけれど、実体は全然違った」という言葉を聞いた。
この文章では政務調査費を「手当」と表現しているが、政務調査費の性質は「手当」などと呼べる代物でないことは減税日本の市議、県議の皆さんも理解しているだろう。河村代表は地方議員の政務調査費を衆議院議員の文書通信交通費と同様のものだと理解していたようだ。
減税日本の市議、県議に聞いてみたい。名古屋市会や愛知県議会の実態はこのようなものだろうか?また、政治献金やら変なお金がガッポリ入ってくるような事例はあっただろうか?
ありもしない「特権」やら「既得権」に踊らされていたのがリコール運動ではないか。
果たしてリコールは何のために行われたのだろうか?
名古屋市民の為、愛知県民の為になったとはとても思えない。
河村代表をはじめとする減税日本の構成員たちの、選挙自体が自己目的化していたとしか思えない。
彼らにとって選挙とは、河村代表が言うように「人生行き詰ったら、一発逆転、選挙に出てみることだ。間違って受かることもある」という身勝手で得手勝手なリクルート活動ではないか。
そこには有権者からの付託、市民や県民の福祉の向上などという観点は微塵もない。
そのような「下心」から議員になったような者ばかりであれば、今の体たらく*4は当然の帰結だろう。
こういったリコールの在り方、そして、現にいま、目の前にいる自分たちの事しか考えていない、減税日本ナゴヤの市議たち。
これを見れば河村氏の主張する「革命」なるものが単なるポピュリズムであり、河村氏自身が「総理を目指す」*5 という猟官運動でしかない。
私利私欲、それも幼稚で矮小な、身に余る地位が欲しいという私利私欲から出た行動でしかないのだ。
名古屋における減税日本のこれほどまでの崩壊は、実体として単なる一小人の妄想的私利私欲を、あたかも大層な「革命」であると喧伝した誤りであり、崩壊している現在が、その実態により近い結果なのだろう。
追記1:
この記事に捨て置けない書類が掲載されている。
リコール署名簿の受付とチェック作業のフローのようだが、この中に「スキャン(2台)」という記載がある。
河村事務所において、リコール署名簿をスキャンしていたということだ。
ここにも、リコール署名簿をリコール成立後、別の目的に利用(選挙利用)しようとしていた形跡が伺えられる。
理念も、大義名分もなく。単なる党利党略、私利私欲によって、大勢の名古屋市民が振り回されたのがリコール運動であったのだろう。
追記2:
この風船のように実態の乏しい人気で市長となった河村代表にはまだ3年の任期がある。しかし、現実にはすでに政権末期の様相を呈しているほど人が離れて行っている。
すでに「総理を目指す」どころか、永田町には足ががりと呼べるものもない。
小沢一郎、橋下徹、石原慎太郎、さらに小林興起、藤川某。すべて去って行った。
挙句の果てに「500万円未払い」で東京事務所の事務員に訴えられる始末だ。(「東京の猪瀬知事が5000万円をポンと貰ったその裏で、名古屋の河村市長は事務員に払う500万円を渋ったの?」とある人は言っていた)
こんな状態で河村代表にどんな展望があるのだろうか?
このまま国政復帰の可能性もなく、3年も名古屋で市長を続ければ、さすがに「バレ」ますよ。
3年後、石以て市長の座を追われるぐらいなら、すぐにでも「心臓病」でも「血の病気」でも「子育て」*6でも何でも理由を付けて、市長を降りては如何か。
まあ、そんな決断ができるぐらいなら、もう少し大成している事だろう。
追記3:
在名古屋中国総領事の張立国氏が離任されるということで、25日、そのレセプションが名古屋市内で行われたそうだ。
もちろん、名古屋市からも関係者は出席したが、河村市長には案内状が送られてこなかったそうだ。
こんな異常な事があるだろうか。
しかし、その異常な欠礼も、誰が見たって納得する以外ないのが、名古屋市の河村市長と中国の関係であると言わざるを得ない。
国政レベルでは安倍総理が靖国神社に参拝したそうで、これもいったい何を目的としているのか理解できない。(戦没者に慰霊する方法はコレだけではないだろう。天皇陛下を見習うことだってできるだろうに)
日中の関係が悪化する中で、名古屋には、特に大きな課題が残っている。
中国領事館移転問題がそれだが、さて、この問題に関して、名古屋市は何か1ミリでも進展したのだろうか?すでに隣接する愛知学院大学のキャンパスはその姿を現して、領事館予定地とされる空き地が異様な姿で横たわっている。(こうやって見ると、あまり大きくも感じない)
中国領事館移転反対の市民集会でも、経済的要因、人的交流を考えた場合、一定規模の領事館を建てることには理解できるという声もあった。しかし、なにぶん大きすぎるのではないかという疑念が払拭できないのだろう。中国側に縮小を願い出るなり、一定の用地解放、公共利用を願い出られないかという意見もあった。
儀礼的な離任レセプションに招待状も来ないような人間が、このような交渉ができるわけがない。
バカな政治的失言の後片付けもできないような人物が、永田町に受け入れられるわけがないということぐらいは理解すべきだ。
河村たかしは政治家ではない。ケーシー高峰師匠が医者ではないように、河村たかしは政治家風テレビ芸人でしかないのである。
追記4:
信念がないから発言がぶれる、誤魔化す。
失言が多すぎる。
河村市長「戦死は最高の美徳」 後に「訂正してもいい」
2013年12月26日20時44分名古屋市の河村たかし市長は26日昼、安倍晋三首相の靖国神社参拝について「現職総理だから行かないかん。祖国のために命を落とすのは最高の美徳の一つ」と語った。戦争の肯定とも受け取れる発言で、河村氏は同日夕、「戦争は最悪の悲劇だ。『美徳』はちょっと文学的な表現。訂正してもいい」と釈明した。
http://www.asahi.com/articles/ASF0NGY201312260005.html