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教育委員会や図書館協議会の同意はあったのか?

 小牧市は新図書館建設に対する住民投票の実施を受け、4回の住民説明会を実施、「住民投票のお知らせ(以下、単に「お知らせ」と表記)」を小牧市全戸に配布した。

 住民説明会の模様は  小牧市新図書館建設計画説明会 で取り上げさせていただいた。

 「お知らせ」については 「住民投票のお知らせ」徹底批判(その1)  及び (その2) で取り上げた。


 これらの中に、「教育委員会委員、(略)、図書館協議会、(略)にもご理解いただき、進めてきました」(「お知らせ」5ページより)との説明がありました。(画像をクリックすると拡大表示されます)



 住民説明会における説明では、10ページ目に。
 「H26.4 図書館協議会で基本計画の一部見直し(官民パートナーシップの取組み)について同意
 教育委員会で基本計画の一部見直し(官民パートナーシップの取組み)について同意」

 と明記してあります。
 現在の新図書館建設計画について(PDF)小牧市

 ついては、小牧市に対して「図書館協議会教育委員会が同意したとする事実が判る書類」の提示を求める情報公開請求を行いました。

 それに対し、
 「平成26年度第1回小牧市図書館協議会及び小牧市視聴覚ライブラリー運営委員会会議録(平成26年4月21日開催、以下「当該図書館協議会議事録」と表記)」と
 「平成26年第4回定例教育委員会会議録(平成26年4月23日開催、以下「当該教育委員会議事録」と表記)」がそれぞれ示されました。

 ここに、示された
 「当該教育委員会議事録」については、関連部分を

 「当該図書館協議会議事録」については、そのすべてを公開いたします。(画像をクリックすると拡大表示されます)





 結論から申しますと、私には図書館協議会教育委員会も同意したとか、理解したというようには見えません。

 つまり、小牧市は住民説明会で事実と異なる説明をしている事になりますし、「お知らせ」という公報に事実を逸脱した説明を掲載している事になります。
 (精一杯、気を付けて、上品に表現していますが、どんな下品な表現もできる事柄であると思っています)

 まず、「当該教育委員会議事録」について見ていきましょう。真っ先に気が付くのが、「議案」や「報告及び連絡事項」に「図書館」という文字がありません。つまり、この日の定例教育委員会の議題に図書館の問題は載っていないのです。議題に載っていない事柄について、教育委員会が「同意」を示せるのでしょうか?

 気になるのは「お知らせ」の表現です。「お知らせ」では「教育委員会委員(略)にもご理解いただき」という表現を使っています。これは個別の委員が理解したというだけで、確かに説明を聴いたという事実には違いないでしょう。日本語には「理解した」という言葉には「同意した」という含意も有りますが、文字通り「(内容を)理解しただけ」という意味にも取れ無くはありません。しかし、それでも、後述するような問題は孕んでいます。

 さて一方、住民説明会において示された資料、説明においては、教育委員会が同意したとなっている訳で、すでに、議題に載っていない段階で、この表現は問題であると指摘せざるを得ません。

 内容を見てみましょう、「当該教育委員会議事録」によれば、議事が進み、やっと3ページ目(文章の5ページ目)で委員長が次のように発言します。

 議案の審議に入る前に、山下市長より今回付議されております議案に関連する、新図書館について、お話したい旨、申し出がありました。

 「議案の審議に入る前」に「付議議案に関連する」「お話し」として、発言されている訳です。
 そして、山下市長の発言を受けて、委員長は次のように発言されています。

 市長、ありがとうございました。
 今、市長さんのお考え、お気持ちは充分理解させていただきました。なお、お願いするとすれば、この新しい図書館、20年、30年の批判に耐えられるような立派なものを、早期に建設されるよう、切にお願い申し上げます。
 市長におかれてましては、公務多忙のため、ここで退席されます。ありがとうございました。

 そして「(山下市長退席)」

 これ以降、「議案審議」に入り、図書館の話題は出ていません。

 この委員長の「お考え、お気持ちは充分理解させていただきました」という発言で、「教育委員会が同意した」とか「教育委員会委員が理解した」と見做すのはあまりに乱暴ではないでしょうか?

 また、この山下市長の発言を詳細に検討してみると、お話の趣旨は二つあるように思えます。一つは5月1日に「新図書館の建設推進室」を立ち上げるという事と、「官民パートナーシップ」を導入するという事でしょう。この「官民パートナーシップ」に関しては、

 新図書館の設計段階から、市及び建設業者にアドバイス支援を行う、連携民間事業者を公募型プロポーザル方式によって選定をいたしまして、既存の図書館の枠にとらわれない、施設を目指そうと考えております。

 とあり

 管理運営体制としても、民間の事業者のノウハウや、柔軟な企業経営力を最大限活用できるように、指定管理者制度の導入を考えている。

 とするだけで、この設計段階と、管理運営段階で同じ業者に一貫して任せるというCCCの表現でいえば「一気通貫でブランド管理」( 平成27年7月28日 第1回新小牧市立図書館建設検討会議 )するという説明にはなっていません。

 つまり、建築コンサルタントや開発デベロッパなどを招いて、設計におけるアドバイスを受け、運営においては現本館で実績のある指定管理者制度を利用(現本館では、館長は市職員)するのかといったイメージになるのではないのでしょうか?

 また、山下市長は次のようにも発言しています。

 長い間、これまでも教育委員会でご議論いただきましたことに、敬意を表しますとともに、今までの議論を充分踏まえまして、これからも教育委員会の皆様と勉強しながら、(略)

 当然、ここで「踏まえる」としている「今までの議論」とは、「新小牧市立図書館建設基本計画」の事であるはずだ。

 また、「お知らせ」には

 新図書館の建設は(略)基本計画を踏まえています。

 と、明記しています。

 しかし、結果として現建設計画は基本計画とは異なったものとなっています。
 (床面積、蔵書数等)

 こうした仕様の変更について、教育委員会に付議したという事実があるのでしょうか?



 さて、次に図書館協議会における議事を見ていきましょう。
 こちらには市長の出席もありません。

 重要なのは次のやり取りではないでしょうか。

 (B委員)議題の基本計画「一部見直し」という意味を知りたい。指定管理という運営方法も見直しの一部として考えられるが、建設という面の見直しを含めるという考えでよいのか

 (事務局)基本計画については、検討委員会や意見交換会パブリックコメント等十分検討し、策定されたものである。先ほど説明したとおり図書館としての機能や考え方については見直す必要はないと考えている。ただ、運営方法については、計画では当初直営で行うというものであったが、先進事例も出てきたので指定管理者制度の導入という方向性の見直しを示させていただいた。

 「機能や考え方については見直す必要はないと考えている」と説明している。

 またこういった発言もある。

 本日は、新図書館に指定管理者制度を導入するということで説明させていただいた。基本計画にのっとり、民間業者等の経営能力を活用させてもらうということで、公募により選定していきたいと考えている。

 この日図書館協議会に説明した内容、「一部見直し」とは「新図書館に指定管理者制度を導入する」ということで、それなら現本館の運営と大差はない事になる。

 また、ここでは機能や考え方を見直さないとしているのであって、床面積や蔵書数などといった重要な機能の変化については説明されていない。というよりも、それらは見直さないと言っているのだ。

 くどいようだが、現建設計画は基本計画と大きく異なっている。


 まったく、説明が食い違っているように思える。

 住民説明会も、公報である「お知らせ」も、公金を支出しているのであって、その様態が条例に定められている「公平性」を保っていないと批判を受けている。

 そればかりか、その記載内容にこのような事実との相違があるとするならば、その支出はいよいよ適法であったのか疑わしくなるのではないだろうか。

(平成27年10月18日 公開)


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