市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

安全を考えていないのは誰だ?

あまりにバカバカしくて論評をする気も起きない。
名古屋城天守の木造化問題だ。

天守閣部会の会長瀬口なる人物は、「石垣部会は安全性を考えていない」と口走ったらしいが、
それでいて、木造天守にはエレベーターは要らないだとか、瓦の色は何色にするというような話をしているのか?
名古屋大学の名誉教授と言うのはこの程度で勤まるという事なのか?

追記:
瀬口氏は、名古屋市立大学の教授でしたね。

名古屋市立大学教授 瀬口哲夫に対する非難の声 - Togetter

なんの因縁やら。

本当に「史実に忠実な木造復元」をするのであれば、ヒトは入れられないだろう。
火災などの天災に対応できない。
エレベーターの話ではない。エレベーターは災害発生時の避難には使えない。

もし、名古屋城天守を史実に忠実に再建するとすれば、
最上階のフロアまで38.45mの高さとなり、通常の建物でいえば13階から14階の高さになるという。

階段の踏み込み面は最小で20cmしかない。
蹴上がり高(1段の高さ)は最大で29.4cm(一般的な階段は17〜18cm)
階段のこう配は最大55.77度になるという。(一般的な建物では35度)

上るのも大変だが、降りるのはもっと大変だ。
55度という、上から見ればほとんど真下に見える。これは梯子だ。
この急な階段を30cmの落差で降りなければならない。
踏み代はわずか20cm。女性でも足の裏が収まらない。

火災が起きたら、地震が発生したら。
こういった階段を不特定多数の人々が安全に降りてゆけるのだろうか。

平時においても、この階段を上り下りさせるのは危険を伴うのではないのだろうか。

ましてや名古屋城天守は、隣接する小天守を通らなければ石垣の下、内庭に下りられない。
避難経路は一つしかないのだ。(当たり前だ、戦闘要塞の入口が複数あるわけがない。防衛しやすいように入り口は一つしかなく、すなわち出口も一つしかない)

天守閣部会は、名古屋城天守について、木造再建したのちは観光客の出入りを禁止するつもりなのだろうか?

それなら瓦の色だろうと、エレベータ撤去だろうと好き勝手に話し合えば良い。(おもちゃを手にした子どもだな)

しかし、現在の鉄骨鉄筋天守と同等に、観光局観光客の入場を許すのであれば、その来場者の安全を最優先に議論するべきなのではないのか?
この論点を話し合わずに、エレベータ撤去やら瓦の色やら。バカバカしいにもほどがあるだろう。

なぜ、この議論が最優先に話されるべきか。
それは、来場者の人命が重要である事も当然だが、上にのべたような、避難路の問題が大きくのしかかっているはずだからだ。

つまり、現在の天守。そこに設置されている東側の外階段。
これと同等の外階段、避難路を設置するのかしないのか。
これは瓦の色以上に天守の意匠を左右するのではないのか?

木造天守といえども、不特定多数の来場者を受け入れるのであれば、二方向避難路を確保するのは当然の事だ。
もし、小天守から出火して出入り口がふさがった場合、天守には退避路は無い。全方向に数メーターの高さがある石垣となってしまう。この外階段を設置しないのであれば、来場者は入れられない。

それも一つの見解だろう。
「史実に忠実な天守」とする為に、一般観光客の出入りはさせない。

文字通り、原寸大木造模型を500億円で作ろうというのであれば、そう決断して頂きたいものだ。

そうではなく、漫然と上記のような危険な建築物に、不特定多数の観光客を受け入れて、万が一出火などして、被害者が出たならば、それこそが「安全を考えていない」ということなのではないのか?

これを無責任。というのではないのか?

何がエレベーターの撤去だ、何が瓦の色だ?

バカか。

12月25日には名古屋市会「産業・歴史文化・観光戦略特別委員会」が開かれるらしい。

ここに「特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)」が提出されるそうだ。

名古屋城全体整備計画」はまだ確定しておらず、この「保存活用計画(案)」を議論する段階には至っていない。それなのにスケジュール通りペーパーを出すのはお役所仕事らしい。

こんなもの、承認したならば、その委員会も永遠に顕彰すべきだろう。
将来、災害による被害者が出たなら、その共犯がこの委員会の市議だ。

無責任な裏書きをした犯人だ。

そもそも、この書面には嘘がある。

これは2万人アンケートやタウンミーティングでも繰り返された嘘だ。

今回の木造復元案は、現鉄骨鉄筋天守に対する耐震改修よりも優位性があると言われている。

現鉄骨鉄筋天守は「耐震改修」をしても「40年しかもたない」と語られてきた。

「耐震改修」というのは、文字通り震災に対する対策であって、「何年もたせるか」という長寿命化の改修とは異なる。「耐震改修」とは建築基準法が求める不特定多数の来場者を受け入れるにあたっての、当然満たすべき最低限の安全性を実現させるための改修であって、「長寿命化」のための改修ではない筈だ。

「長寿命化」は別に、「長寿命化改修」を行えばよい。
それを行えば「40年しかもたない」などという事は無い。

それは大阪城を見ても明白であるし、何より、名古屋市の本庁舎を見れば判る。
名古屋市の本庁舎はあと「40年しかもたない」のだろうか?

嘘だ、あまりにもアンフェアだ。

この長寿命化工事を行い、その他必要とされる工事(最上階の防火対策など)を行った場合の費用と効果、それと ―瓦の色が何色だろうが、エレベーターがあるのかないのか判らないけれども― 木造復元天守の案を併記して示すべきだろう。(この木造復元天守に、ヒトは立ち入れるのだろうか、それとも相変わらず外階段が付くのだろうか)

この「保存活用計画(案)」でも、「長寿命化工事」を行った場合の費用と効果は欠落している。
このような重要な情報が欠落している文章は不当であり、議会に上げるレベルに達しているとは思えない。

ましてや、議会が承認などしたなら。


来年の2月には大きな壁が立ちふさがるだろう。
河村市政にとっては珍しくもない。SL走行やら地域委員会同様、この名古屋城天守木造問題も暗礁に乗り上げる。暗礁に乗り上げて動きが取れなくなるだろう。

もし、名古屋市の市会議員の中に、竹中工務店に親族が勤めている人が居るのであれば、そっと教えてあげるべきだ。「そろそろ退け時だよ」と。