市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

平成24年6月定例会背景で何が議論されていたか(中編)

(前編)
1)河合市議@YAHOO智恵袋
2)財政出動
3)地域避暑
4)どこまでも「祟る」議会報告会問題

(中編)
5)議会改革推進会議について
6)論点1:小委員会を公開すべきか否か
7)減税執行部に退陣要求?

(後編)
8)論点2:議会報告会予算要求
9)それは政党の問題か?

議会改革推進会議について(5/9)

 議会改革推進会議(以下:推進会議)について、フォーマルな情報はこちらになる。
 http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/352-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

 概要として「名古屋市議会基本条例に基づく議会改革を推進することを目的に、議会改革推進会議が設置されました。」とされ、構造は各会派から2名(団長、幹事長が多い)の議員が参加し、全体会合を形成し、2つの小委員会を設けて第1で「議会報告会の実施、海外視察のあり方、議会基本条例の課題」を第2で「議員報酬、議員定数」について議論することとなっている。

 全体会合は原則公開だが、小委員会は非公開で議論される。

 この小委員会について、山田市議はブログで公開すべきと自説を展開し、「議論」を呼びかけているらしい。しかし、減税日本ゴヤの会派内では既に「公開すべし」という会派内の合意が為されており、そのように7月4日の全体会合で表明されている。

 また、小委員会を公開すべしという市民からの請願も山田市議(他一名)の紹介で提出されており、ブログで呼びかけている議論とは別に、市議会内では公開の為の論陣が張られている。

 これから、この議論が生まれたエッシャーの無限階段を上る為に、その議論の根本にまで「さかのぼる」。
 いくつかのポイントがあるが、大きな論点は3つで、その3つの論点がずれ込んで、この議論に行き着いている。


 この「小委員会を公開すべきか否か」を「論点の(1)」とする。

論点1:小委員会を公開すべきか否か(6/9)

 7月4日に開かれた推進会議の全体会合で、山田市議が減税日本ゴヤの会派意見として「小委員会を公開すべき」と申し出た。この際、浅井団長が「会派で合意していない/山田市議の個人的見解である」と述べ、山田市議と浅井団長の間で激しいやり取りが有り、結果浅井団長が折れて「会派からの意見です」と表明した。

 つまり、減税日本ゴヤは昨年の浅井団長(推進会議の座長)の決定した小委員会非公開の原則を今年になって変更して、公開すべしと言う意見に変わったようである。

 この中で山田市議は小委員会を公開すべき(減税日本ゴヤ、会派としての要望の)3つの理由を挙げている。

 1)議会基本条例第9条に会議は公開を原則とするとある。非公開にするのであれば、非公開にする理由を明示する必要がある。

 2)市民に近いテーマである議員報酬、議員定数、海外視察といった案件こそ公開の場で議論され、各会派の意向が市民にはっきり示されるべき。

 3)議論のプロセスが公開されてこそ民主主義の理念が保証される。

 まず、(1)についてだが、この主張はこの通りだろう。だから、そもそも小委員会を非公開にした昨年からの座長である浅井団長の、つまりは減税日本ゴヤの「非公開にした理由」を明示すべきではないだろうか。
 自分たちが非公開を決めておいて、それを覆そうというときに、理由の説明を求めるのは当然の事だろう。それをあたかも他会派が非公開にして、公開を求める減税日本ゴヤに反対しているかのように語るのはフェアではないし、そのような批判はもはや「矛盾」ではなく「異様」だ。

 次に(2)だが、これについては異論がある。異論があるどころの騒ぎではない。「何を勘違いしているのか、この馬鹿どもは!」と怒りたくなる。

 「議員報酬、海外視察」というテーマは議員に対するもので、「市民に近いテーマ」ではない。逆に市民から最も遠いテーマではないか。議員報酬や議員が海外視察に行くことが、いったい市民の生活にどう関るのか?

 議員報酬の実態や海外視察の意義を知らないまま、新聞報道などに煽られて「議員特権である」と息巻いている人々にとって「近い」だけで、市民生活には本来一切関係ない。

 私はよく行政をレストランに喩えるが、コックさんが議員であるとして、厨房の衛生が議会内の清潔さであると考えられる。そしてそこから出てくる料理が行政サービスで、それが料金(税金)に見合うだけの味と量と栄養価であれば良いのではないだろうか。

 そのコックさんの報酬や海外視察について、料理を味わう客である市民は気にするだろうか。逆に、安い賃金で、得体の知れない料理人が作る料理よりは、しっかりとした報酬を得て、責任とプライドを持って調理してくれる事を望むのではないだろうか。
 また、海外視察にしても、料理学校やレシピ集から料理を作るだけではなく、料理人が実際に海外に出かけて見聞を拡げ、様々な味や食材に触れてくれていた方が、豊かなメニューに出会えるのではないだろうか。

 そもそも客としての市民にしてみれば、そういった報酬や海外視察などは市民生活に直接の関係が無い、もっとも遠い課題である。
 それよりは、待機児童対策や防犯、防災といった身近な課題、つまりコックさんが作るべき「料理」について知りたいのではないだろうか。

 何を「市民に近いテーマ」と捉えているか、完全に取り違えている。これは彼等減税日本ゴヤの市議たちが、意味もなく、毎日毎日、名古屋市東庁舎の市議団控え室に「出勤」して来て、時間を潰して遊んでいるからに他ならない。(本当に、何をしているのか、それこそ公開して欲しい)

 直接市民と向き合い、地域や住民の声を聞いていないから、何が「市民に近いテーマ」か理解できていないのだろう。

 (3)についてはこれもその通りだ。しかし、だから、「民主主義の理念」を保証する為にも、減税日本ゴヤの団長である浅井座長が、小委員会を非公開にすべしとした昨年の決定から、今年意見を翻した減税日本ゴヤ自身の「議論のプロセスを公開」すべきではないだろうか。

 まず、それが先決だ。

 減税日本ゴヤの今のあり方は「民主主義の理念」とは程遠い。

 さて、実はこの議論の直前に名古屋市会としては珍しい「名古屋市会理事会参与会議」という会合が開かれ、要請書というものが提出されている。少々時間をさかのぼる。

減税執行部に退陣要求?(7/9)

 6月30日に朝日新聞に次のような記事が載った。

減税執行部に退陣要求名古屋市議会5会派「議会に混乱」

 名古屋市議会の自民、公明、民主、共産、減税日本新政会の5会派は29日、「議会運営に混乱を来している」として、最大会派の減税日本ゴヤに対して、執行部の交代を求める文書を提出した。

 文書はこの日、減税日本ゴヤを交えた計6会派の団長会議の場で出された。
 出席した市議によると、執行部交代を求める理由として、減税日本ゴヤの市議が今月2日に開いた議会報告会の運営方法に異議を唱えた・市議会の議会運営委員会の場で「名古屋港管理組合議会の議長選をめぐり自民市議の恫喝があったのでないか」と根拠の無い発言をし、その後撤回した。などが挙がった。自民が発案し、他の4会派も同調したという。

 また、減税日本ゴヤの市議が昨年末、当時所属する委員会から派遣された東京への視察に、事前に申請しないまま女性を同伴したことが発覚したことから、5会派は国内外の公費の視察自粛も要請した。減税日本ゴヤは、7月2日までに対応を協議するという。

 ここで述べられている「団長会議」というのが市会では珍しい「名古屋市会理事会参与会議」という位置付けになるらしい。
 本来は、自民党の渡辺ヨシロー団長が理事会とは別の団長会で、減税日本ゴヤの浅井団長を諌めるつもりで論点整理した文章を、「名古屋市会理事会参与会議」と位置付けにして紙をコピーして配布したものらしい。
 実際にその紙が(何故か)手元にあるが(開かれた名古屋市会、バンザイ!)宛名も発行日付も発行者も書かれていない。文章の中に「懲罰」という表現もあるが、勿論、「そういうこともありますよ」というだけで、本気で求めたものではない。つまり、朝日新聞がいうような正式の要請では無いようだ。

 そもそも、この報道を聞いた時に、私の頭にハテナマークが灯った。

 いくら、トンチンカンな事が続いても、市会の各会派が連名で、特定の会派の内部人事について「手を突っ込む」という事はない。(一般的に「治外法権」とも言われる)なので、これは「筆が走った記事」だと思った。

 しかし、筆が走った朝日の記事も記事だが、それに対する減税日本ゴヤの対応はもう一段「走っている」

 なんでも、朝日新聞の名古屋本社の相当な上層部に減税日本ゴヤ市議団として抗議が飛んだそうである。市議団と言っても、朝日新聞のその上層部は面識がなく、河村市長/代表の意向がなければ抗議のルートは無かっただろうと言われている。

 勿論、朝日新聞の現場記者は、こういった頭越しをやられて気分が良い訳が無い。

 ちょっとこの文書(以下、ヨシローメモ)を要約してみる。

一.新年度から今日までの不祥事騒動の概要
 1)議会報告会について全会一致で予算要望する合意をしている。しかし、推進会議小委員会で山田委員から予算要望について疑義が出された。

 2)同小委員会で山田委員は6月2日の議会報告会について、司会進行役の議会運営委員長の司会進行が不適切で公正中立な議会報告会運営が為されなかったと指摘した。しかし、そのような事実はなく、同委員長に謝罪がなければ懲罰事案として調査特別委員会で懲罰の対象となる恐れもある。

 3)議会運営委員会の席で園田委員も事実確認もなく「恫喝した」と発言、その後撤回した。*1

 4)河合議員は杉並区に委員派遣された際に女性を同伴した。杉並区に謝罪、議長に説明がされていない。*2

二.不祥事の影響
 1)上記以外にも。軽率であり信用を失墜させた。
 2)度重なる減税日本ゴヤの不祥事騒動によって正常な議会運営が行えない。よって、下記のとおり要請する。

三.要請の前提
 具体的な要請をするに当たっては、下記事項の実現が前提となると考える。
 1)正常な議会活動及び議会運営が確保されること
 2)名古屋市会の信用が失墜しないこと
 3)本会議、議会運営委員会、議会運営委員会理事会等の場における合意事項については、遵守すること

四.要請の内容
 1)執行部の刷新を行い、議会運営の正常化に協力すること
 2)他都市に迷惑とならないよう、当分の間、一切の国内外の視察を自粛すること

 つまり、要請内容の「人事刷新」と「視察自粛」は別の部分から出ている。
 河合市議の杉並区への行動を受けて、「他都市にまで迷惑をかけるな」ということで「視察自粛」を「要請」し、「人事刷新」についても、滞りがちな議会運営を正常化したいが為であることが伺える。

 これについて減税日本ゴヤから回答書も出ているようだが、これも発行者も発行日も、宛て先も何もない文章であり、更に凄い事には、どうもこの文章は前段に「ナニカ」が書かれていたらしい。支障があるためにその部分が割愛され、文章の途中から回答書として送付されたようなのである。(文章に意味不明の記号が手書きで書き加えられている)

 この文章の中身については、非常に重要な問題を含んでいるので、その部分は後述するとして、正直言って、先のヨシローメモに同意した各会派はこの減税日本ゴヤからの「回答」には納得がいかなかったようで、7月2日に全会派幹事長の連名で「6月2日の議会報告会についての確認事項」という文書が作成されている。

 この文書で確認された事項というのは、6月2日の議会報告会における司会(議運委員長)の進行は公正中立であり、特定の会派に対して偏向したものではないこと。そして、全会派で議会報告会の予算要求をしていくこと、である。

 つまり、ここに論点の2がある。

 それは、議会報告会の予算要求をしていくことが良いのかどうかという議論が山田市議から提示された(ヨシローメモ(1))。山田市議が議会報告会の予算要求に批判的なのは6月2日の議会報告会の進行が公正中立とはいえなかったからだ。(ヨシローメモ(2))ということになる。


*1:引用者注:園田議員はその後副幹事長職を辞職

*2:引用者注:同日市議団が杉並区に謝罪