市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

地域コミュニティを破壊するもの(2)

大阪維新の会・橋下市長の「減税」に対する考え方(2012年2月2日)

 ツイッターで橋下市長が「減税」に対する政策を語っていましたので拾っておきました。
大阪維新の会・橋下市長の「減税」に対する考え方(2012年2月2日) - Togetter

このツイートを見ると、減税政策は置くにしても、橋下さんって、実は「官僚の洗脳」に非常に無自覚、無防備なの事が判ります。

石原都知事新銀行東京で1000億円ぐらいですか。
そして橋下氏は府知事時代にWTCで96億円。

両者ともにゴツイ損失出していますけど、
そういう意味では名古屋は手堅かったですね。ヨカッタヨカッタ

追記(2月3日):
朝日新聞が刺激的なリードで記事にしたようです。

「河村市長はナンセンス」 橋下市長、ツイッターで批判(2012年2月3日1時5分)

 大阪市橋下徹市長は2日、簡易投稿サイト「ツイッター」で、「減税日本」代表の河村たかし名古屋市長を「今の段階で増税か減税かを政治家が意見表明するのはナンセンス」と批判した。

http://www.asahi.com/national/update/0202/OSK201202020214.html

総務環境委員会1月30日

 1月30日の名古屋市会・総務環境委員会の録画を見た
"総務環境委員会(1月30日)地域委員会制度骨子案について(総務局関係)"
"地域委員会制度骨子案(平成23年12月)地域委員会制度準備プロジェクトチーム"

 前回の所管事務調査では骨子案にスケジュールが組まれていて、まるで議会に事後承認を求めるようなプランとなっていた事で、付き返されて再度提出となったようだ。
 今回の委員会審議でも議員間討議の取り扱いについて、委員長の判断に異議が出されて中身の議論に入る前に一悶着起こってしまった。

 新しい制度であり、色々と異論もあるわけで(私は、頭っから批判していますけど)それであれば丁寧な運営と、詳細で強度のある説明をしなければならない筈なのだろうが、どうも逆になってしまう。

 例えば今回の案では「16歳から地域委員に立候補できるようにしてはどうか」という話が紛れ込んできた。委員会討議を聞くと22年の試行時に20歳以下で参加表明したのは1名だそうだ。ここで異常*1なほど被選挙権の年齢を引き下げて、どのような効果があるか判らない。ほとんど、それを発表する際の河村市長の記者会見ぐらいしか意味がないのではないか?つまり、単にマスコミ受けするネタでしかない。

 また学区連絡協議会からの推薦委員については選挙による信任を必要としないということになっているが、逆に学区連が委員を推薦しないということになると、つまり委員を学区連から出さないということになると、その地域における委員選出が不調という事になり、その地域では地域委員会は開かれないと言うことになる。

 そうすれば、これもやはり地域の住民で作るはずの準備委員会と、学区連の間に亀裂やしこりが残るのではないかと危惧される。実際に、地域委員会の開催準備を住民自身が行うということで準備委員会が考えられているが、この準備委員会の進め方次第ではこのような危惧は起こりうるだろう。

 そもそも選挙に固執する事もそうだが、地域と言う生活に密に接する同志で行うには、あまりに危険が多すぎる制度設計になっていると思えてならない。地域の連携や助け合いを助長すべきであるだろうに、この制度は不協和音や争いごとを顕在化させるような制度に思えてしまう。*2

 その選挙制度に関しても、面白いやり取りがあった。地域委員会の選任には、郵送による選挙を行うとしているのだが、不正をやろうと思えば幾らでもできてしまう。「そもそもこの制度は公正なのか?」という問いかけに、市の幹部が「若干のリスクはあると思う」と答えられた。

 凄い回答だ。

若干のリスクはある

 「若干のリスクはあると思う」

 「行政の言う言葉じゃない」という指摘がなされたが、私もそう思う。今までこのような回答は国会答弁などでも聞かれた事はないだろう。
 技術的なリスクを消し去る事はできないという話ではない、制度設計に穴が残っているという話を認めるということだ。

 行政に民間経営のノウハウを導入してみるという考え方はあちこちで散見される。行政には無駄が多く、民間は効率的に仕事を進めているという乱暴な議論なのだろう。(おお、そういえば今日、そういった乱暴な結果の一つが起こったな。東京証券取引所のシステムダウンも、効率を追求するあまり社会的インフラの満たすべき条件を軽視した結果なんじゃないのか?)

 そして、水は低きに流れ、人は安きに流れる。
 民間の経営ノウハウを導入して、効率は上がらないかもしれないが、こういった粗雑な議論だけは公的セクタを蝕む。
 若干のリスクがあっても「挑戦してみよう」というのは、民間企業であればリスクをかぶるのは企業側自身である(基本的には、本来は*3 )しかし、行政において割を食うのは一部の住民であって、行政職員ではない。職員は責任を取れないのだ。

地域を切り裂くもの

 地域自治、地域コミュニティは今、力を失っている。
 その担い手は減り、さらに高齢化が進む。

 大都市においては「人口」は増えても、こういった自治にコミットする「住民」は減っている。

 先日某電機メーカーが大量のリストラ策を発表した。それに伴って、あるグループ子会社は、業務拠点を東京都心のオフィス街から関東の外れにある製造拠点に移すという発表をしたらしい。

 金融資本のルールである「資源の最適な配置」という訳だろう。(と、いうよりもどうも事実上の会社整理、倒産の為の人員整理の一環らしいが)
 しかし、こんな荒っぽい人事政策を進める会社に勤めていては地域コミュニティなど成立させられるわけがないだろう。企業からしてみれば、自身の存続も危ぶまれる中で、地域コミュニティの事など配慮できる訳はないのかもしれない。

 こういった企業の姿勢の一つに「単身赴任」という問題もある。「単身赴任」というのは家族を切り裂き、地域を切り裂くものだが、当たり前のようにどの会社においても行われている。

 なんでも風の噂では減税日本の議員の中には「越境入学議員(居住区とは異なる選挙区から立候補して、選出されている議員)」どころか、名古屋市民でもなかった御仁がいらして、その方は奥さんやお子さんを遠い都市(東京とかね、大阪とかね)に残して事実上「単身赴任」されているそうだ。

 果たして、こんな事で地域の実情を知る事ができるのでしょうかね?

減税の皆さんに公約の提案

 さらに、やはりここでも河村市長は間違っていた。
 河村市長は議員はボランティアでいいとか、一般市民並みの給料であるべきだと訴えていたが、一般市民並みの給料を貰っている人は、一般市民の事は判らない。*4
 
 なぜなら、一般市民は自分の生活を防衛する事に精一杯で、他の市民の事など見ている暇がないのだ。どうだろうか、そうではないか?

 確かに、一般市民並みの給料であれば、その生活実感というものは判るだろう。しかし、それは一個人の生活実感であって、市議として必要なのは、地域に住む様々な人々の声ではないだろうか。自分の事だけ身にしみて判っていても、幅広い視点は得られないし、様々な問題も判らない。
 やはり、他の市民の相談にのったり、地域の問題に向き合おうと思ったら、一般市民よりも若干は多くの可処分所得を持ち、あるいは制度以上に手を差し伸べる事ができるだけの力が必要かもしれない。
 ましてや兼業など、ほんの一部の恵まれた環境に居るものができるだけで、現実的には不可能だ。時間に追い立てられるだけで何の役にも立ちはしない。

 また、例えば議員たちが納める党や会への「上納金」も、こういった資本の蓄積があるおかげで一定の活動が可能なのであって、野党であれば政策立案や、政権の正誤について研究するためにも、一定程度の金銭は必要となる。

 議員となって得られる一定の経済的余裕と言うのは、議員として当然、全体の奉仕者としての自覚があるに違いないのであるから、制度では掬い切れない人々の為にこの余裕を使うであろうと渡されているものといっても良いだろう。*5

 議員になってヒョコヒョコとビルを建てたり買ったりする行為は恥と思っていただいて良い。

 おお、そうだ!河村市長さんよ。
 どうせ、国会に転進するんだから「政党助成金の廃止」を公約に入れればいいんじゃない?これ公約に掲げなさいよ。国民にアピールできますよ。

 どうせ、減税党では政党助成金、受け取れないんだから。

おまけ

 本日ある方がおっしゃった言葉。
 大阪の橋下市長、大阪維新の会代表の提唱した「維新塾」
 大村愛知県知事が募集した「東海大志塾」
 
 それに、河村市長も「塾」を作られるという。
 
 なら、真っ先に、今の減税日本の市議、県議をここに入れて教育すべきじゃないのでしょうか?


*1:地域委員会の会合は夜開かれるのだから、保護者同伴という事になるのか?

*2:つまり、地域予算と言うお金を使うからには、選挙によって選任されたという地域からの信任が必要となるということであったが、22年の試行のような投票率、参加率で果たして地域からの信任が得られたと言えるのだろうか。選挙さえ行えば地域からの信任を得たと言う議論は、少々形式主義であり、飛躍しすぎていると思えてならない

*3:巨大金融資本などの損失は、一私企業が被る損失を超えて、潰すには社会的影響が大きすぎるとなる。こうなると、リスクは社会化され、利益は私物化できるといったアンフェアな状態がひき起こる。スティグリッツなどが批判しているのがこれである

*4:そして結局、名古屋市会の議員は現在「報酬800万円」になっている。これは、以前手に入れた試算によると、月の手取りとしては15万円程度の金額であり、「給料」としては一般市民並みでもない。河村市長やその支援者たちの議論は常に乱雑で乱暴だ。市長の800万円というのは給与であり、勿論その他に活動経費は市の経費が使える(チョンマゲ付けて東京でビラをまくのも市の経費です)しかし、市議の場合は事務所費から交通費まで一切合財報酬から支出すると言うことになる(政務調査費については参照リンクを読んでください政務調査費と議員報酬について - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0

*5:勿論、金銭を直接渡すような行為は法律で禁じられれているが