市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

裁判-中京都-陸前高田

 うわ!ビックリした。自分のブログを開けたら突然、自民党の谷垣総裁のバナーが表示されて、「自民党 Lib Dems 伝えたいことがあります」ときた。これは、Google AdSense の影響です。同サービスがこのサイトを政治に興味を持つヒトが見るサイトだと判断したためでしょう。しかし、自民党Google AdSense にお金出してまでこうやって広報掛けているんですね。

 言っておきますが、私が自民党を支持していて、それでバナーが出ているわけではありませんよ。そう思われると自民党には不利益になるかもしれない。

 本日はまず、裁判のお話から。
http://news.google.co.jp/news/story?gl=jp&pz=1&cf=all&ned=jp&hl=ja&q=%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E3%80%80%E8%AD%B0%E6%B1%BA%E3%80%80%E8%A8%B4%E8%A8%9F&ncl=dr9uAwuOaL7XjNMQHlbN24mUwkmYM
 ↑このリンクは、自動的に「タイトル」を読み取ってきます。Google が収集したニュースをキーワードで抽出したもので、本日の判決だけでなく、すでに陸前高田へ河村市長が出かけたニュースが混ざっていますね。
 この裁判のニュースが流れるから、昨日無理やり(予算審議直前なのに)陸前高田に出向いたのでしょうかね? (実は、河村市長は、市長として大切なところには行っていないのではないかという疑惑(?)があるのです。そっちには行かずに陸前高田には行くのね)

 陸前高田の話題は後ほど触れます。

 この裁判の判決を聞くために本日、名古屋地方裁判所に行ってきました。1102法廷。開廷は時間ピッタリ午前10時。その他の案件も幾つかあったようで、次々と判決主文が読み上げられて、最後に2つ「原告、名古屋市長、河村たかし、被告、名古屋市会」という主文が読み上げられました。いずれも「原告の請求を棄却する」つまり、河村市長の「負け」ということになります。

 いまから、少々ややこしい事もいうかもしれませんが、その前に指摘しておきましょう。

 この報道の中で読売と http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120119-OYT1T00537.htm  と毎日 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120119k0000e040208000c.html は報じていましたが、裁判の感想を聞かれた河村市長が「なかなか行政が一度判断したものを裁判でひっくり返すのは難しい(読売)」「行政がいったん判断したものが裁判でひっくり返るのは難しい(毎日)」と言ったようですね。これ奇異に感じませんか?

 この裁判を提訴したのは河村市長ですから、裁判で「ひっくり返そう」としたのは河村市長ですよね。そのひっくり返そうとした対象物が「行政が一度判断したもの」(?)
 議会は議会で行政ではないですよね。
 というより、地方自治において行政とは首長そのものですけどね。
 この判決のおかげで今日は法律の条文を読み続けているのですが、地方自治法の規定を見ると。

第百四十九条  普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
        :

第百五十三条  普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し、又はこれに臨時に代理させることができる。
○2  普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁に委任することができる。

 つまり、事務を行うのは長(執行責任)で、代理させたり、委任させたりしてもいいというだけの事なんですよね。この地方自治における首長の責任というのは異常なほど重いですね。他の、例えば警察組織なんかですと司法警察員(※1)に一定程度の権限を与えています。しかし、地方自治体においてはこういった「判断/責任」は首長が負う事になるのですよね。

 昨年、守山の吉根地区で浸水被害が発生し、その後に河村市長が現地を訪れました。その際、河村市長が「今日は、名古屋市の防災の偉い様を連れて来たので、よく話してちょう」と言ったといいます。あそこにあった水門の管理責任者は名古屋市長である河村氏ご当人なんですが、他人事のようですよね。当事者性が無い。

 この判決に対する感想と、守山の水害の後の発言を勘案すると、河村市長は、実は名古屋市の行政における執行権者が、自分であるという事が判っていない可能性が無いかな? 
 または、理屈では判っていても執行権を「腹に治めていない」

 彼は「総理を目指す男」とか言っていましたが、ず〜っと、野党の国会議員なんですよね。民主党内で推薦人20人を集められなかっただけでなく、いままで非自民のスタンスを貫いた(というか、結果的にそうなった?)上に、内閣に入ったことが無い。
 なので執行者、執行権者としての動き方、責任の重さを味わったことが無いのかな?

 そもそも法律の解釈がおかしい。
 減税論で経済理論の解釈がおかしいことは判ったけれど、この裁判や一連の行動で地方自治法や法律の解釈の仕方がおかしいことが露呈しました。(※2)

 そもそもなぜ民主党代表選で推薦人が集まらなかったか。「ほかの議員に嫌われ、無視された議員時代のむなしさ」(2009年6月24日の発言)を味わった理由は何か。

 裁判の詳細については1月18日分のエントリーに書くことにしましょうか。周辺の感想をアレコレ書いていてリミットに近づいてきました。

 更に本日は中京都構想についての所管事務調査が有ったわけですかね。総務環境委員会で河村市長も参加して議論されて。そこで名古屋市を拡大して400万人にするという案が出されましたね。名古屋を解体するだの、拡大するだの中間自治体がどうとか。大阪の都構想もそうですが、さっぱり全容がつかめない話ですね。

 この中で河村市長は「名古屋共和国」というような事も言っていますね。独立だ!とかね。いよいよ「地域政党」の勢いをかって、小沢派に乗っかって民主党代表選に祭り上げてもらって、(小沢氏の振り付けで)総理になってみよう。という構想が崩れてきているので、日本国の総理は諦めて「名古屋共和国」の初代国王にでもなるのですかね。

 まあ、名古屋市民があいも変わらず河村マジックに騙されるのであれば好き勝手にしてください。そんな国が出来たら私は瀬戸内海で漁師をさせてもらって暮らします。

 名古屋共和国、独立という話の中で、必ず出てくるのが「名古屋市民の納めている税金」「上納金」があって、それを名古屋市民が使えないのはおかしい。というような話で。こういった「豊かな者だけが、その豊かさを享受できればいい」「自己責任」「地域の事は地域で(他の地域の事は知りません)」という、もはや自由主義でもない自由主義。あるいは個人主義、利己主義が河村流民主主義、河村流自由主義の根底にはある。

 減税を期に、周辺自治体から高額納税者が名古屋に引っ越して来る。というような酷い事を平気で言える。イチロー選手にとっての豊山町や、鳥山明氏にとっての清須市の関係なんぞ無視した幼稚な発言も極まれりといった趣だけれど。

 名古屋の市民が豊かな暮らしが出来るのも、豊田市がしっかり稼いでくれるからで、豊田市がしっかり稼げるのも、日本各地の各種の産業が連携しているからだろう。その先には東北の農村で収穫された野菜などもあるだろうし、日本海側で、今頃は豪雪で苦労されている地方の産品もあるだろう。

 映画「七人の侍」のあのシーンを思い出す。
 七人の侍では三軒の離れ屋が防衛線の外にあり放棄せざるを得なくなる。三軒の村人にしてみれば大きな自己犠牲だ。利己的に考えた場合、果たして自分の家まで放棄して村の存続に協力する意味はあるのか?やがてこの村人は共同の訓練を放棄しようとする。
 ここで、志村喬演ずる島田勘兵衛はこの農民に訴える。

 「離れ屋は3つ、部落の家は20だ、3つのために20を危うくはできない、また、この部落を踏みにじられて離れ屋の生きる道はない、戦とはそういうものだ、他人を守ってこそ自分も守れる、己のことばかり考える奴は己をも滅ぼす奴だ」

 今、名古屋は豊かだ。しかしだからといって名古屋が負担している税を、名古屋だけで使ってよいものだろうか。名古屋は名古屋だけで生きているわけではない。所得の再配分とはこの名古屋自身を生かすためにあるのだ。

 「他人を守ってこそ自分も守れる、己のことばかり考える奴は己をも滅ぼす奴だ」

 本日、中京都構想の議論で、またぞろ河村市長はこの税の独立を語っている。
 その一方直前には、陸前高田へ出向いて支援の継続を約束している。

 河村市長という人物の頭の中では、この両者はどのように整合しているのだろうか?



※1:警察官は刑事訴訟法には「司法警察職員」とされます。この中で司法巡査と司法警察員に分かれており、捜査の指揮は司法警察員しかできないとなっている。こういった区別で言うと、司法巡査は補助要員のような扱いになるのでしょうね。(実際にはもっと具体的に規定がありますが)
 テレビドラマ「踊る大捜査線」で最終回に、キャリア入庁の真下警部補が土壇場で警部に昇進して捜査権を握り、証人を確保するだかなんだかしたというエピソードがありました。あの境目が司法巡査と司法警察員の境目です。(現実にはあんなアメリカ法廷劇のような劇的な逆転は起きないでしょうけど)

※2:まだ、議会報告会を開催しないようですが、議会報告会を政務調査費で行えというのも、地方公共団体という法人と、憲法の定める地方議会の意義が判っていないという以外ない。
 議会報告会を政務調査費(一旦、会派、議員個人に公布されたもの)で運営したら、違法な寄付行為に当たるのではないか?

 あと、これも余分かもしれないが。本日「議会改革推進会議」も開催されましたね。その座長は第一会派の浅井団長でしたが、「議会報告会」の事をずっと「議会報告」と言っておりました。「議会報告会」というのは基本条例で定義された言葉ですから。
 こういった言葉をぞんざいに扱う文化が、減税日本ゴヤが力を得られない根幹でしょうね。