統一地方選挙に向けて様々な動きがみられる。これについてアレコレと述べてみたい。
1.リコール署名簿についての減税日本の説明責任
2.名城住宅跡地における中国領事館問題
3.山本太郎が名古屋に来ましたヨ
4.議席は誰のモノ
1.リコール署名簿についての減税日本の説明責任
リコール署名簿についてはその選挙流用問題や流出問題が起き、名古屋市会でも議論になった。名古屋市会としては市民からの請願を受け、減税日本に対し「説明会を開くよう」要請をしていた。ところが「ネットワーク河村市長」の代表、平野一夫氏はこれに応えようとはしない。(特に、平成24年8月22日の総務環境委員会における平野参考人の回答は事実誤認も含めて無茶苦茶な内容だ)
そうした事態を受けて減税日本ナゴヤの団長である鹿島市議が任期切れの直前に「市議として説明責任を果たしたい」と説明会を開いたようだ。
鹿島としあき氏によるリコール受任者名簿に関する説明会・参加者ふなと豊子 | 船戸 豊子のブログ
この事については素直に評価する。しかし、その様態や他の減税日本の議員のこの問題に対する認識はどのようなものなのか、非常に気になる。(こういった「責任感」という事については後ほどもう一度述べます)
この鹿島前市議の説明でちょっと驚くのは、受任者が総数としてハッキリしない。と言われている部分と、そうした方々に(参議院選挙か衆議院選挙か不明だが)郵便を送ったところ「受け取り拒否」で戻されてくる事例があるということだ。
もはや河村市長がリコール署名を選挙に利用しようとしていた事は揺るがしがたい事実で、その署名簿が中村孝道前市議の事務所からも出てくるなど、管理もずさんだったことは明白だ。それに対して平野氏などはいい加減な釈明ばかりを繰り返していた、結果として「ネットワーク河村市長」が市民に嘘をついていた事は明白なのであって、そこまで苦労して集めた名簿でも、このように歪んで利用しようとすれば、「受け取り拒否」に遭うだけで選挙利用などできないという事なのだろう。
河村市長は戦略的にも戦術的にも間違いを繰り返したという事だ。
2.名城住宅跡地における中国領事館問題
3月14日、名古屋駅前において「頑張れ日本!全国行動委員会 愛知県本部」と「中国への名城住宅跡地売却に反対する会」が「中国への名城住宅跡地売却反対」を訴えて街宣活動と署名を集めようとしていた。
この問題については当ブログでも度々扱っている。
2012-02-19 重層的な歴史の価値
2012-09-06 事実の提示
地元には「名城住宅跡地利用を考える会」があり、ここが開催した会合に河村市長が参加し、中国領事館建設には反対だという意見を述べている。
http://meijyoukangaerukai.jimdo.com/
また、様々な機会をとらえて国に要請するとも市民に約束している。
ところが、河村市長がこの問題を国に要望したという話は聞いたことが無い。昨今、お得意の北角秘書を使った「公文書」でも外務省やら財務省に提出したという話も聞かないし、上記「考える会」の会合以降、名古屋市の公式な「国への提案」を観察しているが、一向に河村市長はこの問題について動こうとはしていない。
名古屋市:国の施策及び予算に関する重点事項の提案(市政情報)
私としては領事館を建てるのならしかたがないと思っている。すでに別の場所に領事館は有るのであって、まさかそれまで「出ていけ」とでも言いたいのだろうか?
ただ、現在問題になっている場所についてはあまりに敷地も広い。また、領事館となれば地元商店街などに対する経済効果が期待できない(固定資産税も入らない)
なので、当該敷地の一部でも地元地域との共同利用や開発を行い、地元にもメリットのある計画にして欲しい*1し、そもそももうちょっと少ない敷地で良いのではないかと思える。
こうした交渉はできるのではないか?というか、こういった交渉こそ「政治家」の仕事なのではないのだろうか?
しかしこの問題は暗礁に乗り上げています。
これはその街宣の様子だが、左から次世代の党愛知3区衆議院候補だった井桁氏( 参照 ) そして愛労連事務局員から次世代の党へ転向したO君*2 ( 参照 )そして頑張れ日本の敷島通信こと山下俊輔氏*3となる。この山下という人物がどのような人物かはこれをご覧頂けばお判りいただけるでしょう。
(YouTubeのサイトに飛びます。動画の途中から再生されます。音声が流れますのでご注意ください。あまり愉快な音声でもありませんから)
https://www.youtube.com/watch?v=mF9-NyYppNY&t=444
これは彼等「在特会」が自分たちで公開している動画ですからね。
大須で街宣中、たまたま通りがかった、たぶんロシア人と思われる外国人観光客に罵声を浴びせ、緑色のジャンパーを着て追いかけ回しているいるのがこの山下俊輔氏です。
次世代の党の、党としての活動ではないのかもしれないが、こういったグループが、この問題を取り上げて名駅で街宣活動や署名集めをしている。
こうした問題と同時に、やはり「従軍慰安婦否定発言」やら「南京虐殺否定発言」を繰り返し、中国に対して差別的な言辞を繰り返す。名城住宅跡地利用問題が、こうしたグループに政治利用されてしまっているのです。
結局、河村市長などが口約束ばかりで実効的な政治を進めないために、こうした「反社会的グループ」にこの問題を政治利用されることになってしまうのだろう。
参考 治安の回顧と展望(平成26年版)警察庁警備局 p.24
追記:この問題に関してはすでに2010年(平成22年)に名古屋市民1万人の署名が提出され東海財務局は売却審査の無期限延期の方針を決めた。この上「署名」を集める意味はあるのだろうか?
単なる政治利用に思えてならない。
3.山本太郎が名古屋に来ましたヨ
同じ3月14日に山本太郎参議院議員が名古屋に入り、政治団体「無所属の会」の街宣活動に参加したそうだ。
山本太郎参院議員、松原美佐子氏・杉浦聡氏・安間優希氏(名古屋市議選立候補予定者)街宣 | IWJ Independent Web Journal
全部で2時間以上ある動画。見ましたよ。とりあえずね。一言でいうと「退屈この上ない」話です。こんな街宣やっていれば、そりゃ投票率も落ちますよ。*4
山本参議院議員の話というのは、なんだろうか。テレビで行われている政治談議そのものでしょうね。所々に「陰謀論」じみた話も出てきて引きます。
山本参議院議員の話を聞いていて気が付くのは「答えは簡単です」とか「簡単です」という言葉を多用する事ですね。街宣においてこういった言葉を使い、話を単純化すると確かに聴衆は話に引き付けられるのでしょう。この手法を使う別の人がいます。
維新の党、大阪の橋下徹市長ですね。
橋下市長や山本氏は「簡単です」といって様々な問題を単純な図式に説き起こして見せているようですが、本当に現実の問題とはそんなに単純なのでしょうか?
「簡単です」という言葉は単なる「単純化」にしか見えません。本当に簡単なわけではなく、簡単に理解するために、様々な問題に関連する事柄を切り捨てているだけのように思えます。政治の文脈でこれを行えば、切り捨てられ考慮されない所に追いやられた人々は顧みられません。いったいいつ「自分が」切り捨てられるのかと思うと気が気ではありませんね。
それと、松原さんの街宣では聞き捨てならない発言が紛れ込んでいたのですが、それは欄外で論じます。
4.議席は誰のモノ
さてさて、本日のメインイベントです。
お話の主人公は我らが河村名古屋市長であり、減税日本から東区の市議に立候補しようとしている佐藤夕子元衆議院議員であります。そして、その為に減税日本からはじき出された東区の市議(前職という事になる)近藤徳久前市議です。
すでにお伝えしたように、この近藤という人は、たぶんお会いになればだれでも同意いただけると思いますが、まじめで腰が低く、穏やかな人物です。*5およそ他人から嫌われるような事はしない人物です。
減税日本の活動にもこまめに参加し、河村事務所に持ち込まれる陳情も、地元の東区という事でこの近藤前市議がさばいていたと言います。
当ブログでも無視していたわけではありませんが、書くネタがないほどちゃんとしていたというか、普通の人だったわけです。
その近藤前市議の元に河村市長の奥さんがやってきて次期市議選への立候補を辞退せよと通告した。納得のいかない近藤氏が河村代表の元に説明を求めに行くと「佐藤夕子元衆議院議員を東区の市議候補にする、お前(近藤)では市議選に勝てない」と突き放された。( 参照)
すると、この事情を聴いた地元の支援者が「さすがに河村さんの言う事でも、これはおかしい」「近藤はまじめにやっていた」「佐藤ではかえって勝てない」と反論が湧き、近藤氏もこのまま引き下がって引退か、佐藤氏と選挙を戦っても再選を目指すか、苦慮していたそうです。そして、地元の声に押されるように再選を目指して減税日本から離脱し、生活の党に籍を置いて活動を続けている。
さて、この状況を受けて。
生活の党、名古屋市東区、名古屋市議選挙立候補予定者・近藤徳久のもとに、毎日のように河村代表や佐藤夕子元衆議院議員から電話が入るそうだ。立候補を止めろだとか、恩知らずだとか、散々な言葉に、近藤氏の奥さんもまいりかけているということだ。
「他党の候補」にこのような「嫌がらせ」をすること自体、非常識を免れないだろうが、いったいなぜ河村代表と佐藤元衆議院議員はこれほど東区の市議の座に固執するのだろうか。
この事情を探っていた人物が、恐ろしい話を聞きつけてきた。
河村氏周辺では、2年後の名古屋市市長選に河村氏は出馬せず、佐藤夕子元衆議院議員(河村氏の想定では市議になっている)を市長選挙に出馬させようという計画があるそうだ。
そうしてみると、もともと県議だった佐藤氏を、なぜ今回 ーー無理やり近藤氏を外してまでーー 市議選挙に擁立したのかが理解できる。佐藤氏の名古屋市市長選挙立候補が目的にあったわけだ。
その為に佐藤氏を2年でも名古屋市政に関わらせたかったということだ。
・・・いよいよもって呆れる。
佐藤氏は2年間、市長選挙への踏み台に市議の座に座ろうというのだろうか。
東区の県議や市議やましてや市長の座は、河村代表の私的所有物なのだろうか?
そもそも今に至って河村氏は市長として名古屋で何をやろうというのか?名古屋城の木造化か?1000mタワーか?あおなみ線にSLを走らせるために佐藤夕子氏を名古屋市長に据えて、「河村市政の継承」をさせようというのか。
もうこうなってくると。
愛知県議選挙、名古屋市東区選挙区においては民主党、新人、國政直樹立候補予定者。
名古屋市会議員選挙においては、生活の党所属。近藤徳久前市会議員。
に、奮起を期待する以外にない。
欄外。松原氏の発言で聞き捨てならない部分。
上の山本太郎の街宣動画の中で、松原氏は教育者だった経験から「いじめられている子がいたなら、その子の優れたところを他の子に見せてやればいじめはすぐに止まる」というような発言がありました。これも山本参議院議員の言う「簡単」と同じことで、あまりに問題を単純化しているのではと思います。全てが全てではないだろうし、そのような解釈で教育やいじめにアプローチする事が正しいとは思えません。
松原氏のこの発言は「条件付き承認」を現しています。
つまり、いじめられている子どもでも「その子の優れたところを他の子に見せてやる」つまり、その子が「優れている事」を見せる事によって、いじめを止めさせようとするのは、ヒトは「有意性」によって価値があるといっているに等しい。
(こうした思考の齟齬が、社会的運動にコミットしているはずの松原氏が、新自由主義者の河村氏・減税日本と接合した矛盾を生み出しているのだろうが、それは判ってもらえない)
いじめ問題の本来のアプローチは、「予見性の不能」を前提とすべきだ。どういうことかというと、今の、その集団の価値観では全く価値を見いだせない個体であっても、排除せず集団に受け入れるという考え方です。社会においては誰も、価値が有ろうと無かろうと、他人に誇れる部分が有ろうと無かろうと、排除されるべきではない。最近の知見*6では、社会は予見可能ではないので、今、価値を見いだせなかった個体の特性が、社会変動によって価値を持つことがある。社会は無条件な多様性を受け入れておいた方が社会全体の生存可能性が高くなる。と示されています。
いじめ問題で松原氏のいうようなアプローチが功を奏する可能性は否定できませんが、事はそんなに単純であろうとは思えない。(そんな特性も無い子にはどうすればいいのか?そんな子はいじめられても「仕方がない」と放置するのだろうか?)
また、例えば「オール与党批判」を語っていたが、生活の党は愛知県知事選挙においては大村知事を推薦している。これも矛盾だろう。
STAP細胞問題を取り上げたりしてメディアの陰謀説を語っているけど・・・まあ、お好きにどうぞ。
結局、松原氏は昔から一貫して、自分の語りたいことを語るだけで、他人の言っている事は全く聞かない。まったく議論も成立しないし、私から見ると、名古屋市政の問題点などについては興味も無いようにお見受けする。
本当に、名古屋市会議員になって、何がやりたいのでしょうか。
それと、最後。山本参議院議員は松原氏を「責任感が強い」と言われていましたが、私にはとてもそうは思えない。松原氏もリコール署名簿収集運動に関わっていたにも関わらず、その流用、流出問題対して何ら説明責任を果たそうとはしていない。
問題を追及しようともしていない。
こういった問題を放置したままの人物を「責任感が強い」と言われても説得力に欠ける。
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