市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

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東山動植物園のコモドオオトカゲ導入の陰で

 8月23日に名古屋市東山動植物園コモドオオトカゲ(別名:コモドドラゴン)の展示が開始される。絶滅危惧種に指定されており、今現在日本における飼育・展示は行われておらず、東山動植物園での展示が国内唯一のものとなる。

www.higashiyama.city.nagoya.jp

 これを受けて名古屋市の河村市長は「10年来の悲願、公約を果たせた(大意)」と報道に応え、地元メディアも歓迎の姿勢で肯定的に報道している。しかし、名古屋市のこの動きは果たして全面的に肯定して良いものなのだろうか。名古屋市の祝賀ムードの裏で抑圧された者がいるのではないか。

 名古屋市におけるコモドオオトカゲ導入の端緒は、河村市長の発言によると2014年からとなっている。これは同年名古屋市とロサンゼルス市が姉妹都市提携55周年を迎えた記念として河村市長が同市を訪れ、その際にロサンゼルスで繁殖したコモドオオトカゲの移管を提案された(同年8月18日市長記者会見)。

名古屋市:平成26年8月18日 市長定例記者会見(市長の部屋)

 しかしこの件はそれ以降進展せず、2018年8月6日の市長記者会見における記者からの質問にも「ロサンゼルスの(コモドオオトカゲ導入の)話は本当かね、それ知らなんだ、俺。ロサンゼルスにあったわけなんですか、昔」と河村市長自身失念している。

名古屋市:平成30年8月6日 市長定例記者会見(市長の部屋)


 2018年にアジア競技大会インドネシアで開かれ、2026年の同大会開催地である名古屋として、同地を河村市長が表敬訪問し、その際にコモドオオトカゲの導入を交渉するとしていた。しかしこの話もそれ以降沙汰止みとなっていたが、東京都の上野動物園が飼育の権利を持っていたシンガポール生まれの個体について、同園が受け容れられないとの事情となり、代替として東山動植物園が受け容れを表明し今回の来日となった。つまり、名古屋市としては話程度には出ていたものが、ひょんな棚ぼたのように実現したものと言える。上記河村市長の失念発言のように、公約として是が非でも実現しようとしていたものではない。

 しかしともあれ、貴重な絶滅危惧種であるコモドオオトカゲ名古屋市に来るというのであれば、それは良いことなのではないか、ある事情を知らなければそう言えるだろう。

 2018年5月10日朝日新聞に次のような報道が載っていた。
静岡県河津町の爬虫類専門の動物園イズー(白輪剛史園長)に、世界最大級のトカゲでインドネシア固有種のコモドオオトカゲが来ることになった。10日にインドネシア政府の担当者らが園を訪れ、輸出許可に向けた施設の最終確認などをする。」

izoo.co.jp

 しかし同施設にコモドオオトカゲはやってこなかった。同年にインドネシアを訪れた名古屋市の動きが、影響したのかはわからない。「イズー」では、2015年から導入を目指して活動し、2017年には飼育施設も完成したが、今日に至るも導入はできていない。(白輪剛史園長のX投稿等)

 名古屋市は河村市政になってから、周辺の市町から「名古屋市だけ良ければ良いのか」との批判を受けている。河村市長は自ら掲げる「減税政策」によって名古屋市に人や企業が集まると主張していたが、それは名古屋市が周辺市町から人や企業を奪うと言っているに等しく、中部圏の核である名古屋市の施策としていかがなものかとの批判は絶えない。実際に河村市長の掲げた「名古屋市内でのSL走行」を実現するため、大井川鉄道のSLを借り受けたわけだが、その際にも「日曜日ごとにSLを借りて名古屋市内で走らせる」というような発言をして、観光の目玉にSLを維持してきた大井川鉄道にとっては、その目玉を名古屋市に奪われるような施策に乗れるはずもなく頓挫している。さらに周辺環境の問題から旅客数が伸び悩む「あおなみ線」へのテコ入れとして、JR東海あおなみ線の終点である「金城ふ頭駅」に設置した「リニア・鉄道館」を無視して、始点の隣である「ささしまライブ」に名古屋市がSLを中心とした鉄道資料館を作るなどとアナウンスして呆れさせても居る。

大井川鉄道との関係についての市長会見>
名古屋市:平成25年2月18日 市長定例記者会見(市長の部屋)
名古屋市:平成25年9月2日 市長定例記者会見(市長の部屋)
名古屋市:平成26年10月2日 市長定例記者会見(市長の部屋)
名古屋市:平成28年5月9日 市長定例記者会見(市長の部屋)

<ささしまSL博物館について>
名古屋市:平成24年10月22日 市長定例記者会見(市長の部屋)
名古屋市:平成24年11月19日 市長定例記者会見(市長の部屋)

 東山動植物園コモドオオトカゲ導入に関していえば、230万都市の交通至便な施設に展示されれば、多くの人々が訪れ賑わうだろう。しかし一方で静岡県河津町という地域で爬虫類専門の動物園として特色を打ち出している施設が地道な活動を続けているのであれば、そこに巨大組織が横車を押すような有り様は、いささか人倫にもとるのではないか。選択と集中という効率化志向は、礼節を軽んじるものなのだろうか。名古屋市にそれを糺したいと同時に、そうした名古屋市の在り方を礼賛するばかりである地元メディアの中にも、一社ぐらいはこうした「イズー」の苦境にも目を向けるべきではないのかと思わずに居られない。