市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

最も幸せな統治形態

市長記者会見

 4日に河村市長が年頭記者会見を行った。その様子をPAGEは書き起こしという形ではなく、要約として掲載している。

news.yahoo.co.jp

 一般メディアでは触れられていないが、PAGEでは「コロナ対策については、ワクチンの後遺症の対応に取り組む」と当たり障りのない表現で伝えているが、現場では「泉大津市の市長さんが言うには、若い人の場合はコロナで死んだ人より、ワクチンの副作用で死んだ人のほうが多いらしいですよ」などと切り出したようだ。また「信頼できる最新科学の情報」を「虎ノ門ニュース」ででも見たのだろうか。なぜ、河村が「虎ノ門ニュース」の受け売りを話したがるのかは、下に譲るが、少々看過できない問題をはらむので、そちらを指摘しておきたい。

 この泉大津市の南出賢一市長は「反ワクチン」では有名だそうで、市からのワクチン接種の案内に、独自のコメントを付けているようだ。

www.city.izumiotsu.lg.jp

 こちらは、市の公式なものなのでまだ表現は抑えられているが、こんな感じの会合にパネラーとして参加もしている。

https://koewoageyo-sympo20211225.peatix.com/

 また、こんな活動もしている。

note.com

 文中「泉大津の子供を守りたい」とか言っているようですが、誰かの発言に似ていますね。


 気になったのが「アトミックカーボン」というワードで、「東大が臨床研究の論文」を出していると言っているようですが、「東大 臨床研究 論文 アトミックカーボン」などのキーワードで検索してみると。

「小豆由来の極小粒径の炭素の抗腫瘍効果についての研究」
https://bloomington-vet.com/images/alternative/MJ.pdf


 という論文が出てきて、共同執筆者に「東京大学医学部附属病院肝胆膵外科」の所属者は居るようですが、どこに掲載されたものか判別が付きません。サイトは

bloomington-vet.com

のようですしね。

 論文をざっと読んでみても、シャーレの中の検体に対して行っている研究のレベルで、即座に有意性を言えるものなのか疑問がわきます。取り敢えず否定するだけの材料は持っていませんが、「アトミックカーボン濃縮2Lで¥16,831」とは良い商売だと。

www.amazon.co.jp

 そんな墨汁を薄めたような代物で、どんな効果があるかは判りませんが。こうした代替医療の問題点は「本来の治療を受ける機会を失わせる」という所にあると思っています。

 どんな疾病に対しても、医学や薬学の専門家が鵜の目鷹の目で治療方法を模索しています。そうした知識の集積は、時系列で言えば100年以上(「神農本草経」の成立が3世紀から5世紀と言われているので、知見の積み重ねは1000年以上と言える)、空間的には世界各国に及びます。そうした人類の営為以上の治療方法があるというのは、あまりにも傲慢ではないかと私は思います。

 詳しくは後に述べます。

愛知県人権尊重の社会づくり条例について

 愛知県がいわゆる「ヘイトクライム」に対応するために、「愛知県人権尊重の社会づくり条例」を採択しようとしてる。これに対して反対している人がいる。

voice.charity

 このサイト開設者は知事リコール運動の際に、名古屋駅街頭で「天皇陛下の肖像を焼いた」*1とか「特攻隊の死を揶揄した」*2とか「在日の若者とともに被災地を嘲笑する作品」*3などといった、「あいちトリエンナーレ・表現の不自由展」の出品作品に対するデマを街宣していた人物で、その後、南区における名古屋市会議員補欠選挙に、愛知県内でヘイトスピーチを繰り返し、ある時は国防服の一団とともに外国人を追いかけ回していた人物を候補に擁立し。中区市民ギャラリーで「わたしたちの不自由展」が行われた際には、掲示板に、自作のチラシを勝手に掲示したとして告発を受けた人物のようだ。

 この人物がデマを撒き散らしているのは、確信犯ではなく、どうも、本当にそう思い込んでいるからのようで、いくら反証を突きつけても、「揺るぎない確信」を崩すことはできそうもない。もう、お勝手にという以外無いようだ。(匙を投げるという)

 そこそこお金を使っているし、時間も相当消費している。生活に影響がなければよいがと思うが、まあ、しょうがないだろう。

 この人物は「差別などない」と言っているが、差別は厳然とあり、いわゆる「ヘイトスピーチ」も繰り返されている。

togetter.com

 これは、一昨年、名古屋市栄で行われた春節祭の際に、その傍らで大音響をもってヘイトスピーチを展開していた「愛国倶楽部」の模様だ。全体の風景も異様だが、スピーカーの数を見れば、どの程度の音量であるか判るだろう。記録では2013年に栄バスターミナル北側で騒いで以来、10年近く春節祭に対して、嫌がらせ街宣を行っている。この前年の「嫌がらせ街宣」に対して、圧倒的多数のカウンターが参集し、周囲を横断幕で囲ったりしたために、この時には「自分たちで自分たちを囲って」この様な異様な展開となったようだ。参加者もめっきり減っているし、そもそも何のために、何をしているのかもわからない。

 厳然と愛知県、名古屋市ではこのようなヘイトスピーチの実例があるのであって、そうした行動は社会全体で抑制しなければならない。なぜならば、ヘイトスピーチは「表現の自由」の範疇に収まるような話ではないからだ。

 昨年8月30日、京都府宇治市ウトロ地区で放火事件が起きた。人的被害こそ無かったものの、ウトロの歴史を紹介する資料が多数焼失したといい、人的被害が出ても不思議でなかったほどの酷い犯行だったようだ。12月に入り、犯人が検挙されたが、それは衝撃をもって受け止められた。犯人はそれに先立つ7月24日に名古屋市の民団関連施設にも火を付け10月に逮捕されていたからだ。つまり、犯人はたまたまウトロにおける放火を行っただけではなく、特定の民族に対する攻撃の意図を持って、放火という行為を行った蓋然性が高い。これは明らかに「ヘイトクライム」であり、犯人を犯行に走らせた背景に、この民族に対するなんらかの感情を抱いていたことを伺わせる。そしてその感情は、どこまで事実に基づくもので、どこから事実から遊離したものかわからないからだ。

 偏見は偏見を助長し、ありもしない「恨み」を生み出す。

 根拠もなく、歴史的経緯を無視した「在日特権」を信じこんでしまった者も多く、今も「天皇の肖像を焼いた」だの「特攻隊の死を揶揄した」だのと、新たなデマが繰り返され、偏見が偏見を助長する。

 「ヘイトスピーチ」を社会が警戒しなければならないのは、日本における関東大震災後の「朝鮮人虐殺事件」やドイツにおけるユダヤ人虐殺、ルワンダ内紛時の「千の丘ラジオ」の事例など、そうした言動が深刻な「ヘイトクライム」に繋がるからである。

 日本における関東大震災後の「朝鮮人虐殺事件」については、どうせ歴史改竄主義者は「でっち上げた」ぐらい言い出しそうなので内閣府の次の見解を示しておく。
報告書(1923 関東大震災第2編) : 防災情報のページ - 内閣府


ウトロ放火事件(2021年8月30日)
antiracismkyoto.wixsite.com


 このウトロ地区における放火犯が、名古屋で放火をした日付は、7月24日であり、その直前7月8日には中区栄ギャラリーにおける「わたしたちの表現の不自由展」に爆発物様の物が送りつけられ、同展は中止に追い込まれている。まだ何も関連を示すものはないが、私は差別を起点とした行動には、断固とした異論を唱えたい。それは私自身が、不合理な差別など受けたくないからだ。

私は、自分が差別を受けたくない、なので、誰かが差別を受けている事を見過ごすことはできない。

これらに共通するもの

 まず、なぜ河村が「虎ノ門ニュース」の受け売りを語りたがるのか、その理由から考えてみよう。

 ある人が「政治家と政治屋の違い」を語っていた。「政治家は次の世代の事を考え、政治屋は次の選挙のことを考える」私は一期目、二期目の議員が選挙を最優先に考えるのは否定しない。逆に一期目、二期目で「次の世代の事」を考えていてもほとんど何もできない。日本のシステムでは期数を重ねないと自身の政策など形にできない。しかし、三期、四期と期数を重ねても、選挙の事しか頭に無いようでは「政治屋」のそしりは免れないだろう。

 河村たかしの行動原理は、すべて「次の選挙」しかない。どう選挙に通るかしか考えていない、では、地道な政策実現を模索するのかといえば、この人物のどこをつついても「地道」なんて言葉は出てこない。結局、メディア露出「自分の名前がテレビ、新聞に載るか」しか興味がない。そこで出てくるのは「ヒトと変わったことが言いたい」「ヒトと変わったことがしたい」という発想だ。河村たかしが金メダルを噛んでしまったのも、そうした変わったことをすれば、「市長なんてことするんですか」「あ、こりゃ悪かったな」「もう、河村市長ったら、おちゃめなんだから」「ワハハ、ワハハ、ワハハ」ぐらいの展開になると思っていたのだろう。自分が73歳の汚れたジジイである事を忘れていたのだ。

 元々ワクチン否定論に親和的で、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の問題の時も、わざわざ市費を使って調査をさせ、問題が究明できたら、HPVワクチン副反応被害者のヒーローになれるとでも思ったのだろう。ところが、逆にHPVワクチン副反応について否定的な結果が導き出されると、それはそれで重要な知見であったはずなのに、結果を隠蔽しようとした。事実やワクチンの対象者、科学的知見よりも、自身の売名を優先させた行動としか理解できない。

 HPVワクチンについては、確かに副反応のように後遺症に苦しむ人がいるのは事実だろう、それは否定しない。しかし疫学的にもワクチンによって抑制される子宮頸がんの発症と、全体的なワクチン副反応の発生比率では、がん抑止の方に有意性があるのは明らかであり、副反応の可能性は肯定しつつも、ワクチン接種を進めるべきなのは明らかだ。また、実際に存在する副反応、後遺症に苦しむヒトの実態を踏まえて、その原因や治療法、対処法を解明することも重要なはずだ。そうした意味からも、この「名古屋スタディ」の隠蔽は許されるものではない。アンフェアだ。

 また、上で挙げた「人権条例」に反対するサイトの開設者。文章は自分で考えたのか、そういえば「チャンネル桜=頑張れ日本」が、先日名古屋で行っていた街宣と趣旨が似ている。2020年の栄におけるヘイト街宣の模様を紹介したが、その幕に「草莽崛起」の文字が見える。この言葉は、チャンネル桜の代表である水島某のテーマでもあるという。

 「草莽崛起」、吉田松陰が言ったと云われる言葉で、「草莽」とは「草むら、やぶの意味から転じて仕官しないで民間にいる在野の人」を言う。「崛起」とは「山がそびえ立つこと」をいい転じて「頭角を現すこと」をいう。

 この言葉が「立派」と思えるのが、この国の文化が地に落ちている一つの証左である。この言葉はいやらしく、さもしい。

 在野から、頭角を現して、目立ちたい。立身出世をしたいという欲が見える。私利私欲から発した言葉であると見抜けないのなら間抜けだ。

 こうした姿を呉智英*4が「大衆食堂の人々」の中で書いている。同書の出版は1996年だそうだ。すでに30年近く前に、指摘されている。

 うろ覚えだがおおよそこうだ。呉が大衆食堂で食事をしていると、テレビから政治ネタのニュースが流れてきて、それを見ていたオヤジが適当な能書きを述べていた。いわゆる「居酒屋政談、床屋政談」のたぐいだ。呉はなぜヒトはこんないい加減な事を口走るのだろうと怪訝に思った。ヒトは何か言いたい。一家言あるように振る舞いたいが、かといってそのために勉強したり、努力することはしたくない。そうした大衆が増えることで、知識人が否定される。大衆迎合主義がはびこる。

 在野から、特に何も努力、勉強などしなくても、思い込み一つで声を挙げれば、頭角を現して周囲(Facebookとかツイッターのフォロワー)から称賛され、「承認欲求が満たされる」、「草莽崛起」。チャンネル桜で放送された通りの事をサイトに纏めて「意見書」として作れば、愛知県知事にも意見が言える。
虎ノ門ニュース」で「信頼できる最新科学の情報」を手に入れて、受け売りを話し、地元新聞が名前を掲載してくれていれば、市長で居られてぬくぬく税金で食っていける。


 ナカムラクリニックの中村氏が面白いことを言っている。

 「最も幸せな統治形態は、優れた政治家による独裁じゃないかな。民主主義って一見よさそうだけど、常に衆愚政治に陥るリスクがあるし、多数決が常に最善の答えとは限らない。」

 衆愚は自分の事を衆愚と思っていない。

 墨汁薄めた水を飲んで喜んでいられる人々には、そうした社会が「幸せ」なんでしょう。幸せってのは、不都合な事柄から、一切目を瞑った先に得られる物でもあるからね。

 ま、私はまっぴら御免ですけどね。


追記:
衆愚は自分のことを衆愚と思っていない。

「大衆食堂」から30年たち、ホフスタッターからも60年が過ぎている。

中日新聞論説委員が、政治における民への「信」は、食の保証であるかのように誤解し語っている。最も恥ずかしい誤りだろう。顔淵第十二の教えは、軍事による安全や、公助による保証(食の保証)を言っているのではない。それよりも政治への信頼。つまり政治が、社会のリーダーが、社会の成員に嘘を言わないことを示している。

月刊WILLに掲載された河村たかしの寄稿にも「朱子学の最高道徳は『親に考なれ』」などという馬鹿げた発言が載っていた。
ichi-nagoyajin.hatenablog.com

せめて「儒教の教えに考がある」程度なら、まだ判る。なぜわざわざ「朱子学」を持ってくるか。これが「大衆食堂」の風景だ。いわゆる「知ったかぶり」をするために中途半端な知識をひけらかせたつもりに成って、却って誤る。最も恥ずかしい行為だ。

まあ、先日の矢野財務省事務次官歴史認識も酷かったが。知識を軽視し、大衆に迎合する今の日本という社会に、複雑化する世界情勢や様々な困難に打ち勝つ可能性はあるのだろうか。日本社会は「自分たちが決定的に馬鹿になり、社会が力を失っていること」を自覚すべきだ。

今の世代の私達のような馬鹿が、今後の世代のために憲法を改正するなど、傲慢の極みだ。昭和の戦後にあった叡智は今の世代には無い。あの当時の人々よりも、今の私達の世代の方が優れているなどと、どうやれば思い上がれるものか、私には理解できない。

昭和、平成、令和と大衆の能力を失ってきた日本社会が今できることは、教育に力をかけ、せめて次の世代を育てることではないのだろうか。

追記の追記:

康子饋藥、拜而受之曰、「丘未達、不敢嘗。」(郷党第十の十二)

孔子が体調を崩した、康子が薬を送った、孔子はありがたく受け取ったが。
「私はこの薬についてよく知りませんので、今は口にしないようにいたします」と飲まなかった。

なんだか「政治的毒殺を恐れた」とか物騒な解釈をしている人もいるけど、
私が習った時には「自分がよく判らないものには手を出さない」この慎重な姿勢こそが、保守である。と言われたものだ。

怪しげな改革主義や、政策にホイホイのるのは、よく判りもしない薬を口にするようなもので、どのような副作用があるか判らない。(正統的な医療に於いては、副作用の発生確率や、発生時の対処方法も模索されている。それを超える効果が期待できるから適用を勧められるわけだ)しかし、代替医療などにはこうした知見が圧倒的に不足している。




名古屋城天守有形文化財登録を求める会」では、
一月に一回程度、
北区にある「北生涯学習センター」で月例勉強会を開きます。

  令和 4年  1月25日 (火)
        午後18時30分~
        第3集会室 

         2月22日 (火)
        午後18時30分~
        第3集会室 

 2月22日(火)は、特別企画として。
  建築士が読み解く!
  名古屋市が作成した「幻」の名古屋城天守耐震改修案

  として、建築士 の 渡邉正之 様に
  現天守の耐震改修について、お話を伺います。

※どなたでもご参加いただけます、参加費無料。


*1:大浦さんの作品に対して

*2:中垣さんの作品に対して

*3:Chim↑Pom↓の作品に対して

*4:最近、彼を名前だけから「中国人」とか言っているバカも居て、なんとも微笑ましい