市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

増田市議、離団への経緯(2)

 前回先送りした、増田市議が離団を決意するに至った事情について、書いていきます。
 
 昨年の7月2日に佐藤夕子減税日本ゴヤ市議団団長(当時)は自民党控室を訪れる、昨年の混乱を釈明する場として訪れたものだったようだが、その際にボイスレコーダーを忍ばせて持っていたようなのだ。ボイスレコーダーによって録音していたという事実が発覚したのも、佐藤市議の方から、当日の議事録、詳細な発言録が提示され、「こんな詳細な発言録、ボイスレコーダーで録音でもしていなければ作成できない」と追求され、録音の事実を認めたということらしい。「記憶で書きました」とでも言い張ればいいだろうに、悪びれもせずに録音の事実、それも「無断録音の事実」を認めてしまったから、もう、その時の議論の内容や、その議事録の真贋はさておいて、この無断録音が大問題となった。

 これには前段があって、それ以前に議会視察旅行における懇親会で、自民党市議が減税日本の市議に対して叱責をしている様子が「無断録音」され、「パワハラである」として週刊誌に掲載され、刑事告発民事訴訟になっている。減税日本側の代理人は、証人を出すと言っていたようだが、当日現場にいた誰も証人に立たず、刑事告発も空振りに終わっているようだ。(もちろん、民事訴訟も立証困難なようだ)問題は、週刊誌の告発が、市議選の直前で、あからさまな「選挙妨害」を企図した誣告ではないかという事だ。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

 自民党控室における話し合いの席上、ボイスレコーダーを隠し持ち、音声を録音した佐藤市議の行為が、こうした告発を企図した、まるで「おとり捜査のための盗聴である」と断じられても致し方あるまい。佐藤市議が故意に話し合いをこじらせ、対応した自民党市議が声を荒げたら、その部分だけを切り取って、あたかも「大声でパワハラを行う自民党市議」というような告発に使うつもりじゃなかったのかと思われても仕方がない。

 この「無断録音」(「盗聴」と言う人もいる)は減税日本ゴヤの中でも問題となり、「非を認め、謝罪したほうが良い」という意見を述べる者が多かったそうだが、佐藤市議は非を認めず、正当性ばかりを主張していたそうだ。

 名古屋市会議運は、佐藤夕子市議に対して、11月13日までに「無断録音についての見解」をまとめて、文書で提出するように要求した。この文面について、減税日本ゴヤの中で「無断録音は今後しません」という一文を入れるかどうかで議論が起こり、揉めたという。最終的に結論が得られなかったので、会派内で多数決をとり、この一文を入れるという結論に達した。しかし、議運に提出した文章には「必要性、相当性」という条件が書き加えられ、今後も無断録音を認めるかのような表現に改変されていた。河村たかしや減税が振り回す「多数決民主主義」は幼稚なものだと思っているが、そうした多数決すら守らず、このような「嘘」をつくのが、佐藤夕子市議ということになる。

 増田市議が田山宏之市議に「どうしてこうなったのか」と尋ねると「夕子さんがギャーギャー騒ぐから仕方ない、これでいいんだ」という返答が返ってきたそうだ。中日新聞はこれを増田市議の「不満」と表現したが、どこかの家庭内争議でもあるまいし、いやしくも公職者が、公党の会派内会議において多数決で議決した事項を「ギャーギャー騒」いで断りもなく覆したのであれば、それは民主主義を愚弄する行為であり、それ自体報道する価値があるのではないだろうか。


 この他にも「委員間討議についての申し入れ」について、会派内の一部の議員だけ(役職者でもない、団長である佐藤市議のお気に入りの人たちだけ)で対応を決めてしまっていた。当然党内運営における民主制、所属議員の意見を尊重してほしいとの申し入れに対して佐藤市議は「市議団団長として、市長と相談して決めている」と異論を認めなかった。

 この委員間討論については佐藤団長から各市議に対して締め付けが有り、事前にQAが配られ、「これ以外のことは絶対に発言しないように、逆らったら、離党、離団処分があり、次回は公認しない」と脅されたそうだ。減税日本は「民主的な党」であり、「党議拘束」も認めなかったはずだが、細かな委員間討論にまでこのような制限が加えられる事態となっていた。

 こうした佐藤団長の専横に増田市議は半年ほど前から離党の決意を固めたという。

 更に信じがたい話も出てきている。こうした離党を決意した増田市議に対して、佐藤団長は「他党の男性議員との不適切な関係がある」などという噂を吹聴したというのだ。増田市議は佐藤団長に LINEでことの真偽を正すと同時に抗議をしたが、否定も含めてなんの回答も得られていないということなのだ。そうした噂を流したことについて、佐藤団長は認めるということなのだろうか。

 増田市議にも家族が有るので、配偶者にことの報告をすると、「いつ何時、子どもの生活に影響が出るかも判らない、子どもの生活を守るためにも議員を辞めてほしい」と言われ、離党の話を出すと「佐藤さんと離れられるならそれでいい」と言われたそうだ。

 こうした事が明らかになってくると、いよいよ佐藤団長の増田市議への「当たり」は厳しくなってきたという。しかし、普通ならそんなに大きくない会派であり、党勢も拡大しなければならないのであれば、佐藤市議も、増田市議からの批判に耳を傾けるべきだろうと思うが、そうした諫言を聞き入れず、却ってそうした批判を圧殺しようとするとは、それこそがパワハラであろうし、組織としても問題行動だろう。

 市長選に続く南区における市議補選において、佐藤団長は減税日本ゴヤ所属議員に「増田を会派から追い出す」と明言していたらしい。

 ここから佐藤団長のご乱心が始まる。「増田市議はスパイだ、他会派に情報を漏らしている」というスパイ疑惑や「盗聴器が仕掛けられている」(「盗聴」したのは佐藤市議のほうだろう)と盗聴器発見業者に検査を発注したりし始めたそうだ。この辺り、知事リコール事務局における御乱心行動に似ており、興味深い。


 政治的文脈で行きづまると、ひとはスパイを疑ったり、盗聴器を気にするようになるらしい。
 
 佐藤夕子市議の専横、身勝手な行動はすでに地元東区でも有名で、普通の支援者が「佐藤夕子は何を勘違いしているのか」と評しているようだ。佐藤夕子減税日本の中で、専横を行えるのは、代表である河村たかしの下で、県会議員、衆議院議員として付き従ってきたからで、しかしそれでも政治理念による繋がりとは思えない。単なる「減税日本生活協同組合」として、議席を私有化し、歳費を食んできただけだろう。

 間近に迫る衆議院議員の任期満了を見据え、自民党は東区選出の中川市議を、2区の候補として擁立することを表明している。つまり、衆議院解散となれば、東区において、市議補選が行われる。当然、中川市議の後任を自民党は擁立するが、驚いたことに、減税日本も東区(追記:佐藤夕子市議は、東区選出である)に市議を擁立するとの意向のようだ。党内でこのように批判がされている佐藤市議の後釜? 甘い甘い、佐藤市議はそのままで、もう一人の市議を擁立し、2年後の統一地方選挙の際には、市議は佐藤夕子そのまま、補選で市議となった者は、県議に横滑りさせる意向という。

 河村たかしのお膝元であれば、その集票力を使って、こうした行為も可能だろう。

 しかし、選挙によって議席を確保し、かと言って選挙民、有権者の事など、お構いなし。単なる「減税日本生活協同組合」を維持していくこの姿。これこそ「政治の私物化」ではないのだろうか。

genzei758.com

減税日本生活協同組合」のメンバー表だ。

takashi-kawamura.com

この「ビジネスモデル」を構築した人物だ。

www.chunichi.co.jp

そこの宣伝機関だ。

これらの者たちに、増田市議は足蹴にされた。
しかし、足蹴にされ、主権を侵害されているのは、増田市議だけではない。

名古屋市民、愛知県民すべての主権が侵害されているのである。


 増田市議はマスコミに次のようにも述べている。


 「ほかにも会派所属議員の政務活動費の使途や、議員報酬800万円にまつわる金銭管理の在り方など、今後お伝えしなければならないことも少なからずあることを加えてここに申し上げておきます」

 こうした事実を、報道しなければ、河村たかし一派による、政治の私物化は是正されない。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

追記:名古屋市会の議事録に、増田市議の告発が掲載されている。

名古屋市 令和 3年  議会運営委員会 06月22日-01号(名古屋市会 会議録・委員会記録検索システム)

令和 3年  議会運営委員会
開会日時   令和3年6月22日 午前11時1分  開会
               午前11時21分 散会
会議場所   議会運営委員会室
 (略)

     (午前11時1分 開会)

○小川委員長 
 ただいまから、議会運営委員会を開会いたします。
 (略)

○小川委員長 
 次に、「その他」の事項であります。
 会派未来の増田議員より、議会運営委員会の場で陳謝と経緯の説明をしたい旨の申出がありました。委員外議員の発言をお許しいたします。
 (略)
     〔増田議員入室〕

○小川委員長 
 それでは、増田議員に発言をお許しいたします。

◆増田議員 
 私が先般、離党・離団したことにより、議会運営に多大なる御迷惑をおかけしましたことを心よりおわび申し上げます。申し訳ありませんでした。
 ここで、離党・離団に当たって、私が決意するに至ったことを御説明させていただきます。
 昨年度、減税日本ゴヤは、幹事長が多数交代するなど、団の異常事態ともいえる状態が続いておりました。それを平常な状態に戻すため、かねてより、6人の幹事長が交代するという前代未聞の議会混乱の原因をつくった佐藤団長の辞任を含めた党・団の組織体制の改善を代表である河村市長に申し入れておりましたが、それを一度も聞き入れてくれることはありませんでした。
 特に、昨年の7月2日に佐藤議員が行った自民党控室における無断録音については、会派内では、非を認めおわびしたほうがいいとの意見が多数あるにもかかわらず、佐藤議員本人は、今日まで自身の正当性ばかりを主張してきております。
 昨年11月13日に議会運営委員会に提出された無断録音についての見解を取りまとめるために開催された減税日本ゴヤの団会議では、無断録音は今後しませんとしたほうがいいという意見が多く出たため、多数決を採ったところ、佐藤を除く全員が、今後無断録音をしないということに賛成の挙手をしました。
 しかし、実際に提出された文面には、唐突に必要性・相当性という表現を使って、無断録音を認める文言が入り、団員の思いを一切酌み取っていない文章となっておりました。どうしてこうなったのか、田山議員に尋ねると、ゆうこさんがぎゃあぎゃあ騒ぐから仕方がない、これでいいんだと理不尽な返答が返ってきました。これが事実です。
 無断録音の件だけでなく、会派人事や昨年9月の「委員間討議についての申し入れ」等、団会議で諮るべき案件でも、一部の団員だけで決定をし、事後報告とするのが常でした。このような運営を改善するよう何度要求しても、市長と相談していることを理由に、団員の声を軽視する姿勢を続けてきました。
 常任委員会での発言についても、佐藤議員は、委員会は自分の意見を言う場ではないと主張し、「委員間討議についての申し入れ」が議論されていたときには、佐藤議員自身が作成した偏った考えのQAを団員に配付し、これ以外のことは絶対に発言しないよう、それに逆らったら離党・離団処分、または次回公認しないと、脅しとも取れる発言を繰り返し、団員の言動を制限しました。
 佐藤議員が、減税日本副代表という優越的な地位を背景に、団員の言動を制限したことは、パワーハラスメント以外の何物でもありません。自分の身を守るためには他の団員を犠牲にすることをいとわないその姿勢が、昨年度の大混乱を導いたと思っております。
 恣意的な言動を繰り返し、名古屋市会全体を混乱させているにもかかわらず、何の反省もない佐藤議員と行動を共にするのに限界を感じ、半年ほど前に離党の意志を固め、離党の時期は影響の少ない市長選後と決めておりました。
 ここまでが離党・離団の理由として、報道においても御説明してきましたが、それだけが理由ではなく、離党・離団を決断せざるを得なかった最大の理由は、これまで佐藤議員から信じられないほど受けてきたモラルハラスメントパワーハラスメントです。それについて一部御説明させていただきます。
 まず、市長選中である4月19日、佐藤議員が私と他会派の男性議員が男女の仲であるという事実でない情報を吹聴していると聞きました。同日にLINEにて、佐藤議員の真意を確認するとともに、そのことを抗議いたしましたが、現在に至るまで何の返答もありませんでした。
 私も家族を持つ身でありますので、吹聴された以上、事実でなくてもうわさが流れる可能性があるため、すぐに主人に報告しました。主人からは、こちらが悪くないのは分かっている。だけど、事実でなくても、うわさでも流れれば、子どもが--すみません。ちょっと待ってください。こちらが悪くないのは分かっている。だけど、事実でなくても、うわさでも流れれば、子どもが学校でからかわれたり、いじめに遭う可能性だってある。佐藤さんの嫌がらせは年々エスカレートしていて、このままでは、いつ何どき、子どもの生活に影響が出ることが出てくるかもしれない。だから、子どもの生活を守るためにも議員を辞めてほしいと言われました。私はこのとき、市長選後に離党する意向をまだ伝えていなかったので、それを伝えると、主人は、佐藤さんと離れられるならそれでいいと納得しました。
 このときを境に、私を追い出す嫌がらせに拍車がかかるようになりました。恐らく私がこのことを知ったことで、これから顔を合わせにくくなるために、執拗に私の過去の言論に難癖をつけ、離党に追いやりたかったのだと思います。
 また、その後の南区の補欠選挙の際にも、ほかの所属議員に、増田を会派から追い出すと言っていたことも聞いております。ほかにも、私や他の議員が他会派に情報を漏らしているスパイであると代表に吹聴し、代表から突然いわれのない叱責を受けたこともあります。また、私ともう一人の議員が市役所控室内に盗聴器を仕掛けたと思い込み、団員に無断で団費を使い込み、盗聴器発見業者に発注した事実も確認しております。
 まだまだ挙げれば切りがないほどの、たくさんのハラスメントを私は佐藤議員からこれまで何年も受けてきました。
 6年前、今までの環境を変え、子育てしながらの議員生活となることを決めたときは、相当な覚悟が必要でした。その覚悟と決意を持って議員となったにもかかわらず、身内に背後から矢を打たれるような形で退路を断たれたことが、ただただ悔しくてなりません。
 私は離党・離団したときには、理由は当団の組織体制のみしか触れていなかったのに、なぜ今になってこのような形で皆様にお知らせしたかと申しますと、減税日本内でこれからもこのような不当な制限がされていく中で、佐藤議員に指摘した議員が第二、第三の私のようなハラスメントを受けるのではないか、団を私物化し、正当な議員生活を恣意的に制限、抑圧し続けるのではないかという懸念が消えず、私の発言がそれを少しでも抑止できればと思い、公表する決意をいたしました。
 ほかにも、会派所属議員の政務活動費の使途や、議員報酬800万円にまつわる金銭管理の在り方など、今後お伝えしなければならないことが少なからずあることを、加えてここに申し上げておきます。
 私自身、幹事長を経験したことがあることから、定例会直前の離団は多くの方に迷惑をかけるのは重々承知しておりましたので、予定としては5月末頃の離党・離団が望ましく、どんなに遅くても6月10日までにはと思っておりましたが、5月27日に佐藤議員が私の過去の言論に難癖をつけ、不当な理由で離党勧奨を受けたことから、このタイミングで離党・離団すれば、その内容を認めてしまうことになるために、6月2日に勧奨理由に対する不服の申立てをしておりました。
 しかし、その後、申立てについての返答を待ちましたが、一向に党からの返答はなく、時間だけが過ぎてしまったため、6月13日に離党届を速達簡易書留で減税日本事務所へ代表宛てで発送しました。離党届に対しても何の返答もないまま、6月15日に党全体のLINEに、党幹部議員が私から離党届が届いた事実を党全員に知らせました。
 6月定例会を佐藤議員と同じ環境で過ごすことは、精神的に耐えることが困難なため、間際のタイミングである定例会開会直前での離党・離団となってしまいました。
 こういった経緯ではありましたが、理由のいかんを問わず、多くの方に御迷惑をおかけしたのは紛れもない事実であり、心より反省しております。改めておわび申し上げます。大変申し訳ありませんでした。

○小川委員長 
 御発言が終わりましたので、増田議員には御退室いただいて結構です。
     〔増田議員退室〕

○小川委員長 
 最後に、この際何かございましたら……。(「委員長」と呼ぶ者あり)

◆松井理事 
 動議を提出します。
 コロナ禍を理由に議運の審議を打ち切るよう強く主張した一方で、無断録音については一晩中でも説明するための時間を設けるよう発言し、自分の都合のみを優先する要求を繰り返したことや、また、議運の席上と既に総務環境委員会の審議で結論が出ている7月2日の自民党控室での無断録音の取扱いについて、一事不再議という議会のルールを無視し、その音源を聞くよう繰り返し主張したこと。さらに増田議員の離団に当たり、議会運営上、確認が必要な事柄についての説明責任を果たさなかったこと。
 以上の理由により、会派間の交渉を担うには不適切であるため、やむを得ませんが、佐藤理事の不信任動議を提出いたしますので、よろしくお取り計らいお願いいたします。
     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

○小川委員長 
 ただいま、松井理事から佐藤理事の不信任動議が提出されました。
 賛成者があり、本動議は成立しております。
 本動議は、一身上の問題でありますので、佐藤理事には御退席を願います。(発言を求める者あり)御退席願います、先決です。
     〔佐藤理事退室〕

○小川委員長 
 この場合、お諮りいたします。
 先ほど提出されました佐藤理事の不信任動議に対し、佐藤理事より一身上の弁明が求められております。これを許可することとしてよろしいでしょうか。
     〔「異議なし」〕

○小川委員長 
 御異議なしと認め、発言を許可することとし、佐藤理事に御入室いただきます。
     〔佐藤理事入室〕

○小川委員長 
 それでは、佐藤理事に不信任動議に対する一身上の弁明をお許しいたしますが、効率的な議事運営のため、弁明は5分程度まででお願いいたします。

◆佐藤理事 
 では、ただいまの不信任動議につきましては、私は全く承服しかねます。
 まず第一に、私を理事から降ろすために、皆さんが、いろいろ昨年度の団長から出ている、あなたとは交渉ができないということを最初に持ち出されました。しかし、それは私が理事になる前に話し合うべきことであったにもかかわらず、会派の皆さんのしっかりとした引継ぎができていないせいか、今になってやっていること。そして、その理由を配慮したと--市民の皆さんに迷惑をかけてはいけないから配慮したというようなこともおっしゃられましたけれども、私はしっかりと議会運営に携わってやっていこうとしているときに、コロナ禍の中で私を降ろすことこそが、市民の皆様に迷惑をかけることだと思っています。
 また、松井理事からは無断録音のことを指摘されました。私は、自民党控室で松井委員長とお話をしたのではなく、ふじた議員からいろいろ言われたことであって、そこには恐怖しかありませんでした。ですから、無断録音はとっさの行動であり、そのことを私は、ぜひ私の意見を聞いてほしい……。

○小川委員長 
 佐藤理事、不信任に対する弁明のみですので、よろしくお願いします。

◆佐藤理事 
 でも……。

○小川委員長 
 不信任に対する……。

◆佐藤理事 
 不信任に対して私は納得できない理由として……。

○小川委員長 
 動議と関係のない発言はやめてください。

◆佐藤理事 
 無断録音のことも言われていますので、そのことも申し伝えたいと思います。
 あと、また、増田議員のこともその一つになっているとしたら、私は反論もしない、そして、同意もしないということは理事会で申し上げました。

○小川委員長 
 佐藤理事、議会運営に関することで松井理事は出したので、そこは動議に対する内容で確認をよろしくお願いします。

◆佐藤理事 
 はい。
 増田議員の一方的な発言を……。

○小川委員長 
 動議と関係のない発言を繰り返すのはやめてくださいね。

◆佐藤理事 
 いきなりこういう形で何の予告もなく、皆さんはいろいろここに来るまでにされていたかもしれませんが……。

○小川委員長 
 いや、そういう憶測で物事を話すのはやめてください。まず、動議に対する弁明ですので、よろしくお願いします。

◆佐藤理事 
 私としては、全く理由からしても受け入れられるものではありませんし、市民の皆様にも私から説明をすることもできません。これがもし通るのであれば、私は私なりに、市民の皆様に真実とこれまでのことをお伝えしなければならないと思っておりまして、全く不信任動議には承服しかねるということを私からは言わせていただきます。

○小川委員長 
 はい。
 それでは、退室願います。
     〔佐藤理事退室〕

○小川委員長 
 それでは、ただいまから佐藤理事の不信任動議について、起立により採決を行います。
 本動議に賛成の方の起立を求めます。
     〔賛成者起立〕

○小川委員長 
 起立多数であります。
 よって、本動議は可決されました。
     〔佐藤理事入室〕

○小川委員長 
 次回の議会運営委員会は7月5日、月曜日、午後1時30分を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上で、本日の議会運営委員会を終了いたします。
     (午前11時21分 閉会)

会議録表示

この最後の小川委員長と、佐藤理事との対話については、少々解説が必要だろう。次回にそれを述べる。


 前回、「幹事長に必要なスキル」を書くといったが、本文中に収められなかった。その条件を2つ上げてみると、単に「幹事長」だけではなく、政治家や交渉を行うものに必要なスキルであるとわかる。

幹事長たるスキル
1.嘘をつかないこと。嘘をつかなければならない時には、それが嘘とならないようにすること。
2.交渉相手の目的を正確に把握できること。相手が何を求めているか理解できなければ、交渉などできない。
  特に、相手の建前上の目的などに惑わされず、正確に交渉相手が求めている目的を把握する必要がある。交渉相手自身、自分の目的を把握していないことも有る。

 河村たかしには1はない。ちょっと議論で困ったら、口から出任せを言ってしまう。別にそんな出任せを言う必要すらないのに。なぜ、口から出任せを言ってしまうのかというと、自身の能力以上に、能力が有ると見栄を張り、嘘を付いているからだ。無能であるという簡単な事実を認められないからだ。河村たかしは「褒めてくれん」であるとか「威張る」というような、およそ70歳を過ぎた政治家が口にするには憚られるような事柄を口にする。河村たかしの行動原理は、母親からの称賛であり、小さな自我を満足させてくれる、他者からの信任である。つまり、満足な人格形成に成功していない。しかし、一部の人間(特に、母性が強い者、父性が強い者は、こうした歪で欠落した人格を好む。「かわいい」と感じるのだ。しかし、それは相互依存の入り口でしかない)

 例えば、名古屋城の木造化において、様々な法律条件があるとの指摘、そうした条件をクリアするには、「2020年のオリンピックに間に合わない」という批判に対して、「文化財だから、元は国宝の復元だから」と論点をずらす(この度、文化庁から文化財の復元であっても、各法的条件はすべてクリアしてくることという条件を付けられ、壁に突き当たっている)そして、完全復元であれば、エレベーターは付けられないじゃないか、現在のバリアフリー法を無視するのか。という議論には「ヒトが背負って上げる」だの「新技術を募集する」だのと、論点をずらす。さらに、これには「本物の城は、バリアの塊であって、その復元物に車椅子で入ろうとするほうが間違っている」(河村支援者の発言、新自由主義者らしい、弱者切り捨ての理論。私はこうした主張をする「心の弱者」こそ切り捨てたい)などというような乱暴な議論まで持ち出される。

 嘘を嘘で塗り固め、相手が追求する気力を失うように仕向ける。

 話を戻すと。

 まず、嘘はつくべきではない。特に自分の脆弱な自我を守るためのような嘘(平たく言うと、見栄を張るための嘘)など意味がない。しかし誰かを守るため、事情によって嘘を付かなければならなくなる時もある。(それでも、そうしたジレンマに陥らないように知恵を絞る事が先決だが)そうした場合には、それが嘘とはならないように努力するべきだ。

 仕事をする上で、経験がないから仕事が来ない、仕事が来ないから経験が付かない。というループが有るようだが、このループを断ち切るには、無理やり経験を作るしかない。自費で案件を作る(つまり、勝手になにか作る)か、とりあえず「安請け合い」してみて、血みどろの努力をしてみるか。だろう。請け負って仕事が完遂できなかったら、そこでおしまいだ。政治とは違い、民間の仕事は嘘を許さない。

 次の2こそが政治家の政治家たるスキルだろう。そして、河村たかしが持ち得なかったスキルだ。交渉において、自分の要求を押し付けても、実は誰もその押し付けに従いはしない。実際にはそうした要求に応えることによって得られる、利益を見越して、要求をかなえるにすぎない。社員は社命に応えることによって所得や地位を得られると思い、親は子どものわがままを聞き入れることによって、子どもの育成に利益があると思うからわがままに付き合う。人が動く理由は利己主義に尽きる。

 ここは特に重要だから指摘しておくと。肩書、権力を持った者は、その権力によって周囲の人間がひれ伏し、言うことを聞く事に警戒しなければならない。これは人間において恐ろしい毒である。この毒が回ってしまうと、周りが権力に沿った命令に従っていても、それに満足せず、それ以上の要求を行うようになる。社員の私生活にまで口をはさむ企業経営者などもこうした類だ。肩書によって人を使役している者は、それが自分の能力であるかのように感じてしまうが、それは肩書の力でしかない。それがなくなれば誰も耳を傾けもしない。

 人間は利己主義であり、そうした利己主義のぶつかり合いを放置しておいては、さながら万人の万人に対する闘争が起きてしまう。その整理を行うのが法律であり、慣習である。そして社会を成立させる様々な「関係性の束」と呼ばれるものだ。

 他人を動かすにはどうすべきか。その者の目的を的確に把握し、その目的に達する道筋が、こちら側の意向と合致するように誘導することだ。そのためには他人の心が理解できなければ叶わない。政治家が人の心を深く理解しなければならない理由はここにある。他者の心、悩み、望みが理解できない者は、他者を動かすこともできないし、社会のリーダーにもなれない。ましてや政治家などできるわけがない。

 これは、ジョージ・ワシントンの逸話だと記憶しているが、ワシントンが子どもの頃、牧場では牛が飼われていて、夕方になって放牧していた牛を牛飼いたちが牛舎に戻そうと誘導していった。そうしたところ、一頭の子牛が牛舎に戻ろうとしない、牛飼いたちは力ずくで首に縄をかけて引っ張ったり、お尻を叩いて動かそうとするが、どうしたわけか子牛は頑なに動こうとしない。そうしたところ、一人のメイドが牛の目の前に指を差し出した。そうすると、牛はその指を吸い出した。それを見計らって、メイドは指を吸わせたまま子牛を牛舎にまで誘導していったという。これを見ていたワシントンは、「牛を力づくで動かそうとしても、動かない。しかし牛の求める物を与えてやれば、誘導ができる。人間も同じで、無理強いをしても動きはしないが、その者の求めるものを与えると誘導すれば動かすことができるのだ」と気がついたという。

 これこそが、政治の要諦であり、社会において、人を動かそうとするリーダーの必要不可欠のスキルだろう。