市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

ネトウヨ市長の怪気炎(月刊WILL)

現在発売されている月刊WILLに河村たかしの寄稿が載っている。(寄稿というより、談話を書き起こしたもののようだ)
まず、月刊WILL自体、この7月号の「総力特集」が「中国は人類の敵!」とか来ていて、たいがいファナティックな代物になっており、脳みそが痒い。

河村たかしの寄稿文は題名を「年収八百万・退職金ゼロ 名古屋市長の怪気炎 名古屋のコロナ対策は日本一ー「庶民革命」最後の四年間へ」とくる。果たして、四年間続くのか見ものだが。

「年収八百万・退職金ゼロ」というのには、公約とした国会議員年金の受け取り拒否について、一体どうなってしまったのかという論点と、市長の給与は「日本一安い」のかもしれないが、通常置かれていない「特別秘書」の給与や経費が高額にのぼり、その効果が見られないという問題が有り、本当に河村たかしが「安い市長」かどうかは、疑問がある。*1

全7ページ、24パラグラフの寄稿を分解していくと。

河村たかし包囲網
1)全政党が反河村になった
2)リコールはコロナの今は無理と会長の高須さんに言った
3)署名偽造問題は市長選挙に響いた
4)政界を引退しようとは考えとらん
5)名古屋の感染者が少ない理由は「丁寧な健康観察」にある
6)濃厚接触者を二日前に範囲を広げた
7)感染症の疑いのあるひとには2週間の自宅待機をお願いする
8)全員の健康観察をすればいい
・”サムライの街”だからこそ
9)モノをいうのは人海戦術
10)ベットやワクチンが足りないと報じて不安を煽っても意味がない
11)名古屋モデルがもっと他の地域に伝わればいい
12)名古屋は”サムライの街” 結核がどうの公衆衛生がどうの
13)鳥インフルエンザ、殺処分が究極の隔離政策
14)隔離政策が一番
15)経済とコロナの両立には名古屋モデルが理想的
・議員の給料が高すぎる
16)当面はコロナ、4年でやりたいことはたくさん
17)名古屋を世界の中心都市に、木造名古屋城を百年後国宝に
18)政治家の給料が高すぎる、自分は給料800万円、退職金なし
19)名古屋市の市会議員も800万へ、憲法改正できないのもコレが原因
20)減税したほうが良い、財政危機はウソ
・「庶民革命」の総仕上げ
21)一人も死なせない、スクールカウンセラーを置く
22)高校入試なんぞ必要ない
23)中学生は内申点なんぞ気にせず好きなことに熱中すりゃいい
24)子どもには自由に好きな事させればいい


だいたい、こんな感じ、結局市長選挙の際の政治談義の粋を超えない。見事なまでに具体的な政策からかけ離れた、テレビのワイドショーのコメンテーターレベル。今なら芸人のホンコンでもできる程度の談話でしか無い。底も浅いし。

最終パラグラフ(24)には、「朱子学の最高道徳は『親に考なれ』」というような発言があるが、そんなバカな話はない。そもそも儒教の核は「仁」であって、「孝」は「八徳」の一つでしかない。「最高道徳」などというものではない。「朱子学」では「性即理」という概念を構成して、この「八徳」から「仁・義・礼・智・信」の「五常/五徳」を「性」の現れであると考え、これが「理」につながると説く。つまり「忠・孝・悌」の「三綱」と峻別している。また、三綱については、元々「法家」の思想が流入したものと退ける者もいる。

これをもってしても、河村たかし、及び月刊WILLの論考が振りまく「保守思想」の底が透けて見える。いやしくも「保守思想」を語る雑誌が、この程度の基礎教養を欠いているというところに、この日本の絶望的な「保守」の思想的退潮を感じざるを得ない。


各パラグラフに、簡単にツッコミを入れておく。
1)常識で考えれば、反河村にならざるを得ないから、自民党から共産党まで否定した。
2)こっそり、「会長は高須さん」と別の意図がある言葉、こういった所がセコい。
3)自分のまいたタネ、なのに反省はない。
4)なんのために政界にしがみつくのか。楽ちんだからだろ。私利私欲、老醜そのもの。
5)~(15)コロナ対策の話題に見えて、単に「名古屋モデル」の自画自賛。しかし、その実態は職員が必死で動いているだけ。一部報道されたように、河村が介入しなかった事でなんとか形になっている。しかし、それでも市中感染の広がり、変異種の広がり、ワクチン接種等、新たな課題に対する問題意識や具体的な方策は一切ない。見事なまでに「テレビのコメンテーター」レベルの無責任な発言に終始している。

現役市長としては、本当に問題だろうが、職員や知事から「居ても居なくても一緒、いっそ居ないほうが良い」と言われているのであれば、これで良いのだろう。

市議会が、国や医師会と協議して、瑞穂競技場を利用した集団接種会場を用意しようとしているのに比べても、この他人事のような発言はあまりにみっともないだろう。

ところで「名古屋は”サムライの街”」などという主張は初めて聞いた。開府以前は三英傑が生まれたように、濃尾平野は専従戦闘員を養成できるほど豊かだった。しかし、信長は安土に、秀吉は大阪に、家康は江戸に拠点を据え、尾張徳川御三家の一つにしかならなかった。(そのうえ、将軍を出していない)つまり、開府以降は政治的にも軍事的にも力を失っていたのが尾張藩、名古屋ではなかったのか?それが決定的になったのは、青松葉事件などに代表される幕末の尾張藩の動向であり(それがそのまま否定されるとは思わないが)。あるいは、白虎隊に代表される、会津藩のような事跡を残すのであれば、「サムライの街」という言葉にも説得力が有るだろうが、尾張藩(名古屋)にはそうした事実はない。

またぞろ、誰かと酒でも飲んだ際に、特殊な歴史フィクションを吹き込まれたということだろうか。

16)~(17)ダウト!
名古屋城天守が木造化されて、百年経っても「国宝」になどならない。復元建築でも無理なんだから、「復元的整備」建築物は、どこまでいっても、レプリカはレプリカ。インチキな人物は、文化財についても「本物」の価値が判らない。まあ、最近は偽造が本業のようになっているんだから仕方がないが。

京都の金閣寺は1929年に旧国宝となる。1950年に消失し、1955年に再建された。すでに再建から70年以上が経っているが、国宝どころか文化財にもなっていない。
(国特別史跡は「鹿苑寺庭園」である)

頓挫した名古屋城天守木造化があと4年程度でどうこうなるなど明確な嘘だ。

収支計画を提出することが、議会がこの計画を承認した条件であるとすると、結果、収支計画には「長期すぎて計画は立てられない」という結論であったのだから、収支が不明確なままなのではないのか?

(18)~(20)市長給与や議員報酬に絡めて、財政論。コレもウソ。嘘というよりも悲しいのは、説明しきれていない事だろう。「財政危機はウソ」というが、ではどのような理屈で「河村流減税」が肯定されるのか、その論理的裏付けを語れない。そして、他の地域で追従されない理由。つまり、経済政策として論理的に間違っているという簡単な理屈が理解できていない。

コロナ対策で「名古屋モデル」を自画自賛するが、誰も第三者は「名古屋モデル」なるものに注目してなどいない。この「河村流減税政策」も、各地において見直し、終了がされ、今では日本全国で「名古屋だけ」毎年、100億円強の市税が垂れ流されている。

次の(21)~(24)における、安っぽい教育論もどきに関しては、どこかの安っぽい居酒屋で安っぽい酒に酔った安っぽいオヤジが周りの迷惑も気にかけず振りまく身勝手な話ぐらいの意味しかないだろう。

唯一具体的な政策と思われる「スクールカウンセラー」にしても、対立した副市長が導入した政策であって、たまたま「問題がないから」進んでいるってだけだろう。

これにしても、いろいろな議論が有るが、まったく動く様子は見えない。実際に、児童の自殺事案も出ているのだが、それを受けてどのように次の対策を打つのかという議論もない。そもそも市民からの意見集約もされていない。まったく、勝手に自画自賛を繰り返しているにすぎない。

ここのところ、河村たかしだけでなく、高須克弥、百田なんとか、竹田なんとか、有本どうしたとか、門田何や高橋某参与いうバカな右翼共の発言を見る機会が増えたが、彼ら、彼女らの発言を見ると、自信満々に無茶苦茶な事を言ってる。こうした傾向というのは、いわゆる「ダニング=クルーガー効果」ではないかという気がする。「優越の錯覚」(Illusory superiority)といわれるもので、早い話が「バカは、自分がバカな事がわからない」というものだ。日本には「夜郎自大」という言葉があるが、まさにコレだろう。

最近河村たかしは、とみに自画自賛を繰り返すようになった。コレはSNSの利用と関連しているのかもしれない。今までであれば自身の発言というものは記者会見や議会など、それなりに批判に晒される場で発せられていた、そうした場で聴衆の顔色を伺って引っ込めた話も多い、1000メートルタワーなんぞ、その好例だろう。しかし、リコール騒動で増えたフォロワーに向け、発言していると、一々肯定的なリプライが付く。否定的なそれも付くが、元々認知バイアスがかかっているのだろう。目に入るのは、自分を肯定するメッセージだけなのだろう。今、ツイッターで度々繰り返される河村の発言は「地を這う疫学調査」という主張だが、ツイッターなどでは議論は深まらず、単に「いいねボタン」で肯定する反射運動だけが残る。これで簡単な「エコーチェンバー」は出来上がり、河村たかしは「地を這う疫学調査」が広く肯定的に受け入れられていると思ってしまい、上記寄稿でも「名古屋モデル」として自画自賛してしまうわけだ。

周囲に健全な批判者が居ない、つまり裸の王様のいっちょあがりだ。

最後に、論語の言葉を贈ろう。

為政 第二 十七:

子曰。由。誨女知之乎。知之爲知之。不知爲不知。是知也。

子曰く、由、女に之を知ることを誨えんか。之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり。


河村たかし、及びその言葉を真に受けるものは、その一つ一つが恥と知らなければならない。

追記:
果たして「減税日本」という政党は、民主的な政党だろうか。
私は下手な趣味の会以下だと認識している。

政党「減税日本」の規約によると、「毎年5月に総会を開く」(第7条の1)事になっているが、開かれていない。
http://genzeinippon.com/wp-content/uploads/2021/02/%E5%85%9A%E8%A6%8F%E7%B4%84%E3%83%BB%E5%85%9A%E5%93%A1%E5%8B%9F%E9%9B%86.pdf

ママゴト以下の政党ごっこでしかない。



追記:
メーテレが放送した「民意偽造 ~軽んじられた”名前”~」が
6月13日(日)に テレメンタリー2021枠(テレビ朝日)で 放送されるようです。

www.tv-asahi.co.jp


*1:人物が安っぽいことは間違いがない