市民のための名古屋市会を! Ver.3.0

一人の名古屋市民が「地域委員会制度」「減税日本」に対する疑問をまとめるサイトです。(since 2011/3/3)

令和2年度名古屋城天守閣木造復元・市民向け説明会

 名古屋市は1月22日から「令和2年度 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」を開催している。

www.city.nagoya.jp


 そもそも「名古屋城天守閣木造復元事業」というのは、2020年7月に名古屋城天守を木造で建て替えるというものであったはずで、つまりすでに竣工期日を過ぎているにも関わらず、その工事の目処も、竣工が遅れている理由も理解し難い事業となっている。そして完成の遅延について、その理由や完成の見通しを知るものは、名古屋市民の中で恐らく一人としていない。なぜなら、事業に携わっている名古屋市職員ですら完成見通しについて知り得ないし、遅れの本当の理由*1はさておいて、建前の理由ですらその実情が公開情報とはなっていないのである。

 更に言うならば、呆れたことに。この事業を最重要課題としている筈の河村たかし五期名古屋市長も、名古屋城天守木造化について、その事業の遅れの理由を理解していないし、完成時期の見通しも持っていない。

 そうした中で、名古屋市が市民に向けてどのような「説明」をするのか、伺ってみた。

 1月22日、名東文化小劇場において、私は次のような質問を投げかけてみた。


追記:
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000136/136007/shiryouhen.pdf

会場で配られた「資料冊子」の4頁から「事業の経緯」が載っているが、これから虚偽(または、「嘘はついていないが本当のことも言っていない」という隠蔽)がある。この経緯を見ると、平成27年12月に事業公募が行われたとあるが、この事業は天然自然に湧いて出たものではない。市民からの発案でもない。この事業の起点には重大な虚偽がある。

1.平成26年6月定例会における河村市長発言は虚偽ではないのか


名古屋市会平成26年6月定例会中の6月27日 河村市長は次のように発言している。


天守閣につきましても、よく文化庁に問い合わせされましたけど、これはショッキングな話で、鉄筋コンクリートによるもう一回再建は認めないということを文化庁がはっきり言っております。したがいまして、あと何年もつか知りませんけど、30年なのか、50年なのか、100年なのかわかりませんが、もう朽ちたときにはあれは壊さないけません。


そうすると、何にもなしになってしまうのか、それとも、木造再建をするかということで(略)」


ssp.kaigiroku.net


「鉄筋コンクリートによるもう一回再建は認めないということを文化庁がはっきり言っております」との明言が議事録に残っている。


 ところが、令和2年6月 文化庁が「史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ-鉄筋コンクリート天守等の老朽化への対応について(取りまとめ)」を公表した、そのなかに次のような記述がある。


耐震診断等により耐震強度が不足していること等も踏まえ、築後50年を超過したこれらのRC造天守のうち、いくつかの天守においては、従来果たしてきたその機能などに鑑みつつ、コンクリート部分の再アルカリ化、構造補強等の長寿命化のための措置が行われた。
(略)
RC造天守等においても同様に、財務省令上は耐用年数を超える一方、従来果たしてきたその機能などに鑑みて、今後も、老朽化対策の検討に及ぶことが想定される。
(略)
RC造天守、その多くは往時の外観を模して再現されているように、史跡等の往時の姿を今に伝え、その本質的な価値を正しく理解していくうえで一定の役割を果たしてきた。
(略)
また、天守自体が『歴史的景観の形成に寄与』する近代の建築物として国の登録有形文化財(建造物)として評価されているものもある(略)」


www.bunka.go.jp


これは名古屋市会において河村市長が公表した文化庁の方針とは異なる。この発言の根拠を明示せよ。


もし、この発言が事実でないのなら、当事業自体が虚偽より行われていることとなる。



2.天守木造化に向けた木材調達は、議会の条件を満たしていない見通しの誤りと、不必要な予算の浪費の説明がない。


名古屋市会平成30年6月定例会7月4日の議事録には経済水道委員長として減税日本ゴヤの鹿島としあき議員が次のように報告している。


「第97号議案(いわゆる木造化に向けた木材、約94億円の予算)に対する 議会の決定においては、次のような条件のもとで認める。
(略)
1、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
(略)
1、名古屋城天守閣木造復元事業について、市民の理解を得ながら市民とともに事業を進めることができるよう、説明会やシンポジウム等さまざまな場面において丁寧に説明をしていくこと(略)」


ssp.kaigiroku.net


しかし、現在に至るも『現状変更許可の見通し』は立っておらず、なぜ『現状変更許可』が降りないのかの理由についても市民に説明がない。


市民は説明もなく、94億円の木材費の負担と、1年当たり1億円という費用負担を強いられている。天守木造化に向けた木材調達は、議会の条件を満たしていない見通しの誤りと、不必要な予算の浪費の説明がない。


 この質問の1について、何ら回答が得られなかった。回答とは異なる論点外しのごまかしに終始し、本来であれば、文化庁の意見と言われるものによって始まった木造化事業であり、その文化庁の意見が異なるか、全く虚偽であったのなら、事業そのものを停止すべきではないのだろうか。

 そう重ねて追求していたところ、質問時間が無くなってしまい。結局、私一人で市民の質問時間をなくしてしまうということになった。


 そもそも質問時間が余りにも短い設定であったことや、終了時間を厳格に守ろうとする運営の問題もあると思うのだが、確かに私も余りに短慮に過ぎた。そうした反省を踏まえて、2日めの港文化小劇場における説明会では発言することなく、黙って見守るようにした。

 そうしたところ、2日目にはジャーナリストの水野誠志朗さん

(こちらの記事の筆者)
news.yahoo.co.jp


 名古屋市市民オンブズマンの内田隆さんなどの質問が投げかけられた。
www.ombnagoya.gr.jp

お二人をはじめ、市民からの質問は4名いらっしゃり、その詳細は名古屋市オンブズマンのページに委ねます。


 さて、余分な事を2つ。

  1日目、私が質問時間を使い果たし、それでもちゃんとした回答が得られなかったために、市職員を呼んでしばらく押し問答となった。その中で職員の一人はアンケート(文書)で質問をいただけば、回答する。というような事を言っていたが。いままでも様々な機会に質問は投げかけているが、そうした回答が公表されたり、HPに掲載された試しはない。
 こうした席で提出したアンケートに記載した質問項目について、そうした質問や回答について名古屋市は公開してこなかった。この日の質問事項等についてもHP等に掲載する方針ではないとの発言があった。
 名古屋城天守木造化事業に対する懐疑論や否定論が、名古屋市のサイト上どこにあるだろうか、どこにもない。結局、現在の名古屋市や河村市長は、自身の意見に反する市民の意見は否定、無視、隠蔽するのであって、民意の尊重であるとか、民主主義といった市政運営には興味はないらしい。そうした民意無視の姿勢が顕著に現れたのが、保存活用計画に対するパブリックコメントの公開削除の問題だ。

ombuds.exblog.jp

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

暴力的に、民意を圧殺するのであれば、暴力的に訴える以外にない。

 ーー 暴力を肯定しているのではない、名古屋市の運営自体が、河村たかしの態度自体が、権力者の横暴、暴力であると言っている ーー

名古屋市は、公平に事業に対する疑問や否定論も公表し、ホームページに掲載すべきだ。

 もう一つは、いつものことながら、河村たかしの「論点外し」の詭弁術についてだ。

 地域委員会の議論についても、「行政の民営化」であるとか「地域活動の担い手」などの論点外しで議論をごまかしていた。そのために結局「地域委員会」自体の議論が深まらないまま、この公約は消え去ってしまった(解決すべき問題だけは残ったまま)

 減税政策についてもそうだ。「国の借金は借金ではない」であるとか(これは「MMT」にも繋がる議論なのだが、結局河村たかしは「MMT」すらまともに理解していない)「リチャード・クーさんの本」などと議論を煙に巻いたが、そのリチャード・クーさん自身、地方自治体の減税政策など否定的にしか捉えていない。
ichi-nagoyajin.hatenablog.com


 今回の質疑でも「石の文化と木の文化は違う」であるとか、議論をごまかしていた。

 河村たかしは「奈良ドクトリン」と言っていたが、それは「奈良文書」の誤りであろう。*2
http://www.japan-icomos.org/charters/nara.pdf

 しかし、この「奈良文書」も基準となるのかは怪しい。
 なんせ、こんな事になっているのだから。

www.heijo-park.go.jp

そうはいっても、「平城京問題」も含めて、様々な議論があることは事実で、そうした議論を踏まえると。

「現名古屋城天守保存」こそが「奈良文書」に合致しているとも言える。

なぜそう言えるかは、稿を改めよう。なにせ大村知事に対して、批判するつもりが、その批判の根拠とした専門家から、自分自身否定されてしまった河村たかし五期名古屋市長であるから、議論について、弱い弱い。

ichi-nagoyajin.hatenablog.com

こんな人物の打ち立てた理論に乗っていると、捏造でもしないことには理論の穴にハマりまくることになる。人生においてこんなロスはないし、こんな恥もない。


*1:本当の理由は至極簡単だ。河村たかしの虚偽と無能に尽きる。

*2:河村たかしは文章を読まない。彼の口から出るものは主に「耳学問」に過ぎない。それも居酒屋を舞台とした聞きかじり(文字通り)の知識しか語らないため、曖昧で底が浅い。