今朝(6月12日)の中日新聞の社説は「名古屋城の復元」について、「『ます解体』は乱暴だ」というものだった。
そもそも名古屋城などの文化財の「復元」については、文化庁の基準がある。
この中で「復元以外の整備手法との比較衡量の結果、国⺠の当該史跡等への理解・活用にとって適切かつ積極的意味をもつと考えられること」と定められているにも関わらず、名古屋市は大阪城における「平成の大改修」で行われた長寿命化(コンクリート脱酸化)について調査、検討していない。
こうした不当性を訴える声に、異論に耳を傾けてこなかったのは、市長だけではない。
中日新聞も同罪だろう。
9.21住民監査請求について - 市民のための名古屋市会を! Ver.3.0
文化庁は「史跡等における歴史的建造物の復元に関する基準」の中で、「歴史的建造物の復元が適当であるか否かは、具体的な復元の計画・設計の内容が次の各項目に合致するか否かにより、総合的に判断することとする。(中略)ウ.復元以外の整備手法との比較衡量の結果、国⺠の当該史跡等への理解・活用にとって適切かつ積極的意味をもつと考えられること」と定めています。
名古屋市の説明では、現天守は「耐震改修しても40年しかもたない」とされておりますが、「耐震改修」というのは文字通り、建物の耐震性について改修することであり、直接建物の寿命を⻑期化させるものではありません。建造物、特に鉄骨鉄筋コンクリートの建物の⻑寿命化改修というものは別にあって、それは先行する大阪城において「平成の大改修」の一環として行われております。
行政事務として先行事例に見習う、前例を踏襲するというのは当然の事であろうと思われますが、名古屋市は、名古屋城天守の整備に対して大阪城における事例を参照しておりません。そこで行われた⻑寿命化工事による効果を考慮、比較衡量しておりません。上記文化庁の基準にも合致せず、不当であります。
更にまた、文化庁より「戦後都市文化の象徴である RC 及び SRC 造天守を解体するにはなお議論を尽くす必要がある」(6月市会本会議における渡邊局⻑の答弁)との指摘があったとのことです。
名古屋城天守の有形文化財登録を求める会_平成30年9月21日声明.pdf - Google ドライブ
名古屋市は「名古屋城の復元」について、505億円ででき、採算性があると主張しているが、この主張の根拠はあやふやであり、その算出根拠には疑義がある。
にもかかわらず、「名古屋城調査研究センター」なるものを設置し、文化庁からの「天下り」を受け入れている。この維持費については505億円の枠内なのだろうか?
また、先行して購入した約100億円の木材の保管のために(つまり、本音では2022年完成など不可能であると覚悟しているということだろうが)約3億円の工費を使って木材保管庫を作るという。この費用も「無駄」なものであり、更にこの保管庫の設置される公園を潰すということは、市民の福祉を削減するということに他ならない。
まだ姿も見えていないうちから、多大な追加予算がかかっている。
説明とは異なる負担を市民は求められている。
中日新聞はこうした事実をこそ報じるべきではないのか。