昨日に続いてチラシについて述べる。チラシそのものについては昨日のエントリーに画像を掲載しているのでそちらを参照されたい。
減税日本ナゴヤが議運に寄せた回答によれば、このチラシを配布したのは名前が掲載されている5人、余語市議(緑区)、金城市議(瑞穂区)、湯川市議(南区)、とみぐちさん(守山区)、浅井市議(名東区)であるそうだ。
配布部数はそれぞれ、緑区に70,000部、瑞穂区に42,000部、南区に50,000部、守山区に60,000部、名東区に67,000部の予定だったそうだ。(総配布部数289,000部 それぞれの選挙区という事ですね)
同回答によれば。
5人の団員により、自分たちの思いを述べた広報誌ではあるものの、一部表記に誤解を招いたり、事実に反する事項も見られたことに、会派として責任を痛感しています。
とある。
「一部表記に誤解や事実に反する」とは大人しい表現だが、私が見るところでは事実に則しているところを見つける方が難しい。
例えば最後のページには「減税日本ナゴヤ誕生からの名古屋市政の取り組み」と題して様々な施策が取り上げられている。
これについて「どういう意図でこれらの事業を掲載したのか? 全て減税日本ナゴヤが政策的にやったと言いたいのか、読んだ人はそういう捉え方をする」という議運からの問い合わせに対して「名古屋市政の取り組みという意味で掲載しました」と回答している。
つまり、確かに時系列的な関係から言うと「減税日本ナゴヤ誕生からの」「名古屋市政の取り組み」には違いないが、この前者と後者は全く関係はないというのだ。
これらの施策の中で「減税日本ナゴヤの実現した施策」と呼べるものがあるだろうか?
つまり「一部表記〜」などというレベルではなく、このページは存在が丸ごと嘘ではないか。このページを見て「これは単に名古屋市政の取り組みですよ」と理解すべきで、減税日本ナゴヤが実現させた施策ですと誤解するのなら、誤解する方が悪いとでも言いたいのだろうか?
「オレオレ」と電話をかけてきた相手を自分の子どもと誤認するのは、誤認したほうが悪いとは「オレオレ詐欺」の犯人の発言だそうだが、まったく同断ではないか。
このチラシに対しての議運の質問と減税日本ナゴヤの回答について、ある報道関係者が注目していた事例がある。
3ページ目の「『非公開の理事会』を知っていますか?」についての3つの質問事項だ。
最終回答には次のように記述されている。
質問15 「多数派工作が行われれば市民の代表としての意見が潰され、少数意見を尊重するという民主的な議会運営が損なわれる可能性がある」という記載の真意は?
(回答)削除します。
質問16 多数派工作によって市民の代表としての意見が潰された具体例は?
(回答)ありません。
質問17 手続的には少数の意見は尊重されていると思うが、「少数意見を尊重するという民主的な議会運営が損なわれ」た具体例は?
(回答)具体例はありません。
つまり、全く具体的な出来事、事実から導き出された批判、意見とは言えないのだ。
実はこの「最終回答」の前の回答にその報道関係者は注目していた。
その回答とは、この3つの質問にまとめて回答したものであって、その文言は。
「(回答)あくまで『仮定の話』として書きました」
というものである。
つまり全くの空想、絵空言だというのである。
こんなものを 289,000部も名古屋市内にばら撒いて、それでいて「既存議会は閉鎖的だ」と批判されてもどう対応すれば良いのだろう。
市会議員は年間2400万円ももらって年間80日しか仕事をしていないと事実に基づかない批判をされて、どう対処すれば良かったのだろうか。
http://news.ameba.jp/20120214-115/
妄想だ。
どこかのマスコミやドラマ、映画などの影響で「既存議会は既得権益を守るために陰謀を張り巡らしている」とでも言いたいのだろうか。それならば現職議員としてチラシに書くのではなく、小説でも書けばいいのだ。しかしその際には必ず冒頭か末尾に「この文章はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」と書いておいてほしい。
というか、このチラシも最後のページにこの文言を刷ったシールでも貼って出せば問題は無かったのだろう。
さて、かように嘘と空想にまみれたチラシだが、それが如何に他人を傷つけるか。
いかに罪深い行為であるか。
このブログの本題でもある地域委員会についての議論にその一端が存在するので是非、ご紹介したい。
チラシには「なぜ減税日本は三大公約にこだわるのか?」とさも自分たちが三大公約を大切にしているように喧伝しているがこれこそトンデモない嘘だ。
河村市政の三大公約と言えば
1.10%減税
2.議員報酬半減
3.地域委員会
だ。この内、2は2009年のマニフェストには存在しない。
河村市政の背骨は10%減税と地域委員会だろう。
さて、名古屋市は2018年までの総合計画を策定した。
名古屋市:名古屋市総合計画2018策定までの流れ(市政情報)
最近、当ブログが「静かな」理由の一つにはこの「次期総合計画」が確定し、広く市民に知れるまでこの事を「敢えて」指摘せずにおきたい。「後戻りができなくなるまで黙っていよう」という気持ちがあったからだ。
この「次期総合計画」。策定の途中では当ブログは「ギャーギャー」騒いでいた。
しかしある事が判って、騒ぐのを止めた。
もう充分「後戻りはできない」状態となったと思うので良い機会だ、指摘しておこう。
この「次期総合計画」に「地域委員会」はない。
2018年までの名古屋市の市政運営に「地域委員会」は消えました。
"名古屋市総合計画2018(案)"
において「地域委員会」は「創設に向けて検討を行います」と検討対象として後退している。
そして
"名古屋市総合計画2018(案)【概要版】"
においては、どこをどうひっくり返しても「地域委員会」という文言は存在しないのだ。
この事実を踏まえて、次の書き起こしをご覧いただきたい。
総務環境委員会、10月8日の議論の様子だ。
ふじた委員(自民) 地域委員会について、委員間討論として減税日本の皆さんにお尋ねをしたい。総合計画の時にも当局とあれだけのやり取りをやって、計画そのものは地域委員会という位置付けが非常に後退した中で、次の市会議員の任期である、すなわち2018年まで、もう全市拡大はほとんど無理だという回答を得ていて、あなた方はそれに対してすんなり賛成した。賛成なら賛成で結構です。討論をしたわけでも委員会の意思決定で何かおっしゃた訳でもない。ただ原案賛成とおっしゃった。でもあれだと、私の政治家の常識で言えば、あなた方は「3大公約の一つとして、地域委員会の全市拡大をやります」なんて次の選挙では言えないと思うんだ。お答えください。
鹿島委員(減税) 現状をみていると、やはり全市拡大は4年後であろうと難しいかなという認識はもっていますが、地域の住民が地域の事は自分たちで考えるという姿勢はやっぱりどこかできちんと残していきたいと思う。
松山委員(減税) 確かに広げられなかったのは事実の話ですし、ここから先どういう制度にしていくかということは検証の途中もあって、制度を見直していくということも、検証の見直しという事が非常に必要な事だというふうに、検証して見直しが必要だというふうな事は思っておりますので、そうした中で新しい住民自治の仕組みを作っていくことはやっていくべきだろうという認識でいる。
大村副委員長(減税) 検証を待って、それでいろいろ見直しをしていきたいと思っている。全市拡大に関しては正直なところ厳しいというふうには思っている。あとは、地域委員会に関し、私たちの思いとしては、地域委員会という精神が、要するに地域委員会という名称という事ではなく、精神が継承できればいいのではないかなと思う。
ふじた委員(自民) ということは、端的に言うと。次の選挙には「地域委員会の実現」とか「地域委員会の全市拡大」とか、この間の総合計画の表現と、私がやり取りした中身を総合して今あなた方に聞いた結論を得ると、もう書かないという事に私には聞こえるが。地域委員会がひょっとしたら地域ナントカに変わっているかもしれないけれど、地域委員会というのは3大公約として、あなた方はもう要するに「白旗」ということですよ。そういうことですか。
鹿島委員(減税) 名称はともかく、やはりその精神は残したようなものという制度は残していきたいと思う。
松山委員(減税) 地域委員会という名の下ではこれは進められなかったというのは事実なので、ここのところはもう。間違いない。ただ、そういう意味では新しい住民自治を進めていくということは変わっておりません。
大村副委員長(減税) 同じでございます。
ふじた委員(自民) 葛迫局長をはじめ、窪田さん、吉木さん、岩田部長から、全部名前上げれんけど、(地域委員会制度準備担当部のメンバーは)謝罪を要求してもいいよ。
少々長くなったが、地域委員会の制度準備についてはこの6年ほどの間におよそ延べで57名の市の職員が関わっているそうだ。
制度の性質上、夜や土日に出勤する事もあっただろうし、様々な問題にもぶつかっただろう。(途中から 特にうるさい市民も現れた事だし)
私自身が河村市政の問題に大きく関わったのがこの課題だ。
6.20 ActAgainstKawamura! 河村たかし名古屋市長の暴走を止める! | 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を!
そもそも当ブログの一発目の話題が「地域委員会」への疑問だったのだ。
名古屋市地域委員会への疑問について | 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を!
この6月20日の行動を期に、私は匿名での活動を諦めて表にも出て活動し、取材するようになった。それはすべてこの地域委員会制度が余りに危ういからだ。
いや、一部耳を傾けていたメンバーも居たらしい。
実は減税日本ナゴヤ設立直後、地域委員会の一次試行の際、その委員を経験していた玉置市議の呼びかけで地域委員会の勉強会を会派内で開催したそうなのだ。
けれども誰も集まらず、結局玉置市議と舟橋市議の二人だけが市の職員などを交えて意見交換を続けていたそうだ。結果としてその両人はいち早く減税日本ナゴヤを離脱する事になる。
つまり、やはり河村市政の3大公約の中で、最も早く、具体的にその施策の有効性/無効性が評価できるのが「地域委員会制度」であったという事なのだろう。
チラシに戻るならば地域委員会ついての文章の結語は「それが、更に地域に広がって行くことを望みます」とどこか他人事のようだ。
そりゃそうだ、最初から減税日本ナゴヤのメンバーにとって、地域委員会など他人事で、何が問題で、本当はどうするべきかなど考えようともしていなかったのだから。
この審議のやり取りでも「地域委員会という精神」であるとか「新しい住民自治を進めていく」とか。選挙民、有権者の耳触りの良い言葉は覚えたようだが、実際に制度をどう進めれば良いのかには何も知恵を使おうともしない。
もっとも醜悪な事に、この6年間。学区連絡協議会や、区政協力委員について最大の問題となっていた課題については何も手を打ってこなかった事については全くの無自覚なのだ。これはすでに当ブログで指摘しているし、鹿島委員に対しては直接説明もした筈だ。
もっと許しがたい実態もある。河村氏の提唱するこの地域委員会騒動に隠れて、名古屋市における従来からの地域自治の担い手である学区連絡協議会や、区政協力委員について、この6年間、最大の問題となっていた課題については何も手を打っていないのである。その事について全くの無自覚なのだ。これはすでに当ブログで指摘している
名古屋市地域委員会制度終了のお知らせ - 市長のための市会ではなく、市民のための名古屋市会を! Ver.2.0
更にいえば、鹿島委員に対しては直接説明もした筈だ。
最大の課題、それはこれら地域の担い手の高齢化だ。
6年間、確実に高齢化は進展している。
それをこの「名古屋市総合計画2018(案)」は「創設に向け〜」と呑気この上ない。
そして減税日本の委員は「精神」だの「新しい住民自治」だのと実態の無い空論を弄ぶ。
結局、チラシを配布した5人だけではなく、減税日本ナゴヤ、河村たかしの「減税日本」自体が腐っているという事だ。
河村たかし市長は「税金で食っている者は極楽だ」と、公務員批判を繰り返していたが、それは大きな誤りだ。公務員は組織の中で職責を果たしている。本当に「税金を貪り食う 極楽の住人」は河村たかし市長本人ではないか。そしてそれに群がっている減税日本の面々だ。
映画「千と千尋の神隠し」において千尋の両親は「神様の料理」に手を付けてブタに変えられた。
税金という「神様の料理」に手を付け、その職責も果たさずに居る者もやはりまた ブタ と呼ぶべきなのではないか。
河村たかし市長と減税日本ナゴヤの市議は、地域委員会制度準備担当部のメンバーの下に行って謝罪すべきだ。
そして減税日本ナゴヤの市議は今回の混乱を来した責任を感じて、市会事務局の職員にも謝罪すべきだ。
減税日本ナゴヤの諸君、並びに河村たかし市長に告げる、君たちに人の上に立つ事はできない。