昨日の「保守と右翼」という記事は、いわゆる左派と右派といったようなの政治的イデオロギーを超えて、今の日本には対峙すべき問題があるという意識から書いた。
つまり、「新自由主義」それも、少し前に喧伝された「地域政党」の基盤となった、「新自由主義」に対峙すべきであるとの想いからである。
望むものは現実の政治
今の日本の社会情勢は混迷している、閉塞感が漂っている。
経済は収縮し、明日という日は今日よりも明るいようには思えない。
文化は殺伐とし、明るい話題や希望を持てる話題よりも、不安や不信を感じさせる話題ばかりが多い。
そして、政治は停滞し失望ばかりをもたらす。
こういった不安、不信、失望などに「新自由主義」の政治家は「明確な回答」を出してみせる。
大阪の橋下市長であれば、「大阪都構想」であり「維新八策」であろうし、名古屋の河村市長であれば「減税政策」と「地域委員会」なんだろう。
これさえあれば、経済は発展し、子育ての不安も解消し、いじめや引きこもりという問題も解決し、雇用も増進すれば介護の不安もなく、ちょちょいとぬれば切り傷から擦り傷、お父さんの水虫やお姉さんのにきびまで、たちどころに消えてなくなるよ、お立会い。
おっと、途中から「がまの油」の口上が混ざった。
冗談はおくにしても、様々な問題に対して、そんなに簡単に解決策が見つかるわけが無い。現実の政治の中で様々な問題を調整する必要があるだろうというのは、少し落ち着いて考えれば直ぐにわかる事だろう。
それよりも、現在の問題そのものが、そもそも「新自由主義」や「設計主義」がもたらした急進的な改革、構造改革の結果なのではないだろうか。
政治が停滞しているのは衆議院では民主党、参議院では自民党が第一党となって、議席がねじれている事が原因で、その為に民主党政権は毎年の様に予算と引き換えに首相の首を差し出している。良いも悪いもこれで政治が前に進むわけが無い。
経済が収縮しているのは構造改革によるデフレ(供給過剰)が原因であるし、そういった経済状況が過当競争を激化させて社会から余裕を失わせている。
関越道で発生したツアーバスの事故では7人の乗客が亡くなるという痛ましい結果になっている。「構造改革」の名の下にツアーバスへの参入障壁は低くなったそうだが、そういった「自由競争」を活性化させるという政策の結果、競争が激化し「価格競争」を生み出し、行き過ぎた経費削減が運転手に過重労働を強いていたのではないだろうか。
また、本日報じられたところでは、もともとこのバス会社は外国人ツアー客を対象としていたところ、東京電力の原子力発電所事故の影響で外国人ツアー客が激減し、その為に国内ツアーに参入をはかったという事だったらしい。
カール・ポランニーは行き過ぎた市場経済を「悪魔の碾き臼」と呼んだが、この乾ききった雑巾を絞るような「新自由主義」の求める効率化、自由競争は、すでに文字通りの凄惨な様相を呈してはいないだろうか。
現実の社会に、「がまの油」のように何でも効くような妙薬は無い。
左派の社会民主主義者であろうと、「社会的推論としての民主主義」という手続きを積み重ねる事で政策を進めるべきであろうし、右派としても設計主義には必ず陥穽がある、という歴史的な積み重ねから得られた智恵のある政策立案をするべきだろう。
例えば、経済政策などはバランスであるから、*1現在はデフレ局面であり財政出動、歳出拡大が政策的には正しいに決まっているが、これも需給バランスが逆転した際には慎重に政策の舵を切る必要がある。
左派にせよ、右派にせよ、このような態度を持って、現実に則した政策を積上げる努力が必要なのだろう。
大阪の橋下市長や名古屋の河村市長のように、子どもじみた決め付けで、積み木をぶちまける様な政治家(アジテーター)には耳を貸すべきではない。
望まないものは嘘やまやかしの政治家
松木けんこう氏が河村市長のパーティーに参加して*2感想をブログに書いている。
金曜の夜は名古屋で河村たかし市長のパーティーでご挨拶、相変わらずの人気ぶりです。それもそのはず、言った事はやる、実行しようとする人間の代表格。
http://kenko-matsuki.jp/tsubuyaki.html
何だかんだ言ってウソはつかない、しっかりした主張を持っている人は支持されます。民主党政府は河村たかしの研究をした方がよろしいかと思います。
民主党の中と比較すると、河村市長は「言った事はやる、実行しようとする人間」で。
「ウソはつかない」らしい。
と、すると。民主党の中というのは河村市長以上に言った事は実行せず、ウソばかりが蔓延していると言う事になる。
これだけは幾らでも指摘してやるし、何度でも言い続けていきます。
河村市長は政策実行力などありません。
そして、市民に平気でウソを言っています。
政策実行力がない証拠として、つい先日も美浜原発に異常が起きた際の「ハザードマップ」についての問題点を指摘しました。( 参照 )
経産省にクレームを付ける前に、滋賀県は昨年の9月に、すでに独自に作っている。
それが名古屋では何故できないのか。そして滋賀県の事例を知らずに経産省にクレームを付けようとしている。
それも、河村市長自身が一年近くこの問題を放置して。
恥と思わない?
河村市長が「言った事をやらない、実行力が無い人間」である証拠をもう一つ。
外務省の口上書問題。( 参照 )
在北京日本大使館の移転が中国政府に止められ、その交換条件の様に、東京の大使館用地と名古屋と新潟の総領事館用地の問題を扱われるのではないか。そのような密約が日本の外務省と中国政府の間で交わされたのではないかという疑惑が、「外務省の口上書問題」であった。
これがTBSによって報じられたのが1月31日。
この際、河村市長は「(外務省に)聞いてみます」と答えた。
ところが2月6日、13日の市長会見において一言の説明も無かった。
2月19日には総領事館用地問題を扱う地元住民の会合「名城住宅跡地利用を考える地元集会」が行われ、この場に20分程度参加した際にも何も説明は無かった。
( 市当局が独自に調査し、開示請求によって公表した資料:https://docs.google.com/file/d/0B2ymo7zTws_oQ2tFWW5MUXVSRnl2M2dCeHkwLXpGdw/edit )
河村市長は「言った事もやらず、実行力など無い人間」である。
くどいようだが、もう一つ例示しよう。
これは私が直接河村市長から「嘘」を言われて、「河村たかしは信用できない人間である」という現実に気付いたきっかけとなった事例である。
河村市長は今でも減税政策や地域委員会の話題の際に「寄附」を持ち出す。
市民の自発的な「寄附」で地域の自治を賄って欲しという話は判る。ただ、そんなことがおいそれと実現できるのなら苦労はしないが。
ともかく河村市長は「寄付文化の醸成のために、市民に訴えかける」という事は散々言っている。
平成22年9月6日の市長会見でもそのような施策を掲げて、HP上に掲載すると言っているが、実行していない。( 参照 、参照 )
松木さん、友情は大切かもしれないけれど、政治家があまりに現実と乖離した事を話していては、ご自身の発言の信憑性が疑われますよ。
「偽善者は素晴らしい約束をする、約束を守る気がないからである。 それには費用も掛からず、想像力以外の何の苦労も要らない。」 − エドマンド・バーク